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【断捨離のススメ】スマホのデータが全損して、僕はショルダーバッグひとつで遊びに出かけた - 『あなたの人生、片づけます(垣谷美雨)』を読んで

今日紹介する本 『あなたの人生、片づけます』 垣谷美雨 著

2019/12/29作成

大掃除中の皆さん!こんにちは。
皆さんは普段、要らないものを持ち過ぎていませんか?

僕は普段から、トラベル用にもなるほど大容量のバックパックを使用しています。

中にはこれだけのものが入っています。

休日に遊びに行くときも、だいたい同じ量の荷物を持っていきます。

多いですよね。自分でもそう思います。
でも、移動時間中には小説を読むかもしれないし、空いた時間には勉強するかもしれない。突然の雨に備えて傘は手放せない…などなど、いろいろ考えてしまうのです。

でも、とある事件をきっかけに、僕は小さなショルダーバッグひとつで遊びに出かけるようになりました。今までの僕なら考えられなかった事です。

今日は、僕に訪れた変化についてお話しします。
大掃除のこの時期にぴったりな、断捨離のススメです。

1.スマホのデータが全損しました

先日の熱海旅行中、僕のiPhoneが突然圏外になりました。何度再起動しても、永久に圏外です。
おかしい。確かに熱海は「昔は凄かったけど、今は時代に置いてかれてる感」のある街ですが、流石に圏外になるほど廃れてはいません。

(↑夜の熱海で飲み屋が見つからなくて、社会人にもなって“McDonald飲み”と言う世紀末事象を真剣に検討したこともあった。)

その場にいた先輩に聞いたら、iPhone 7に起こりうる初期不良なんだそうです。

(↑Apple Storeで機器交換するしかないみたい)

この世にまだ7を使っている人がどれだけ残っているかは分かりませんが、みなさん気をつけましょう。ちなみにその先輩は2回交換したらしいです。
個人的には「5G対応の機種が発売されるまで、オレを使ってください!」と言ってくれていたDAIKI-iPhone(名前)の突然の裏切りでした。

新幹線で東京駅まで戻って、丸の内のApple Storeへ。偶然にも2週間前に実家のパソコンでバックアップしていたので、機種交換だけ済ませました。

で、実家のパソコンに繋いでiPhoneを復元しようとしたら…。

「バックアップが復元できません」との表示が。

「…は?」

いやいやいやいや。まってまってまってまって。
え?なんで?データ戻らないの?

表示を見たら「〇〇が古くてバックアップが復元できません」って書いてありました。ショックで覚えてないですけど。
おそるおそるアップデートの最終更新日を見たら…。

「01/11/16」

…2016年の11月1日を最後にバックアップが取れていなかったみたい。もう古すぎて復元できないんだってさ。
この時期はちょうど先代のiPhone 5sが壊れて7に買い替えたとき。パソコンに繋げば、自動でバックパックを取る設定にしていたはずなのに、全くできていなかったってことか…。
バックアップが取れていると思っていたので、写真をパソコンやクラウドに移したりもしていません。

この瞬間、僕のiPhoneに残したデータが全て失われたことが分かりました

人生で最も絶望しました。
辛かったのは写真とメモがなくなったことです。

僕にとって写真は出来事の記録。友達との何気ない写真にも思い出が詰まっていたし、海外で撮りためた風景は、再訪したって取り戻せません。

メモも同じです。
ふと浮かんだアイデアや気になったことをiPhoneのメモに残していました。

今までも深く絶望することはありました。
でも、それは友達と喧嘩したり, 好きな人にフラれたり, 努力が報われなかったり…。自分の存在が受け入れてもらえなかったときに起きるものでした。

でも今回は違う。
人生の記録を失って、自分の存在そのものが宙ぶらりんなものになった気がしたのです。

最近読んだ本で、東日本大震災のニュースについて語るシーンがありました。

津波でご家族が流されて、何週間も経ったあとにご遺体が見つかって、泣きながらもよろこんでいらっしゃるご遺族の方がいる。やっぱり記憶だけじゃなくって、ちゃんとその人が『いた』という証が、何か必要なんだろうなと思いました。

『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。(幡野広志)』より

記憶だけじゃ心許ない。記録が必要なんです。
それを物理的に失った僕は、空っぽの人間になった気分でした。

もう本当に、ほんとうに深い絶望でした。しばらくなにもする気になれなかった。

しかし、しばらく経って気持ちが落ち着いてきた頃、僕に変化が訪れました。

2.そして僕に訪れた変化

−①こだわりがなくなった

音楽を例に挙げます。

データを失ったので、iPhoneに入れていた楽曲も全てなくなってしまいました。
そこで、僕は本格的にミュージックアプリのSpotifyを使うようになりました。

4000万曲が聴き放題のこのサービス、普段自分からは聴かないアーティストの曲も流れてきます。

(↑曲を検索すると、その曲を聴く人たちが好きそうな曲を自動で再生してくれる)

お陰でKing GnuやBiSHなど、今話題のアーティストを聴くようになりました。

(↑アイナ・ジ・エンドの歌声カッコよすぎ)

普段はMr.Childrenやaiko…など好きなアーティストの曲しか聴かないため、僕の音楽感はガチガチに固まっていたのですが、データを失って、むしろ僕の音楽生活は豊かになりました。

アプリや検索履歴も消失したので、またゼロから、自分の生活を組み直すことになりました。

−②以前よりも挑戦的になった

「失った過去を嘆くよりも、これからを充実させよう」、そう思ったのかも知れません。

これから行きたい国や, やりたい遊びが、データを失って以降、次々と出てくるようになったのです。
最近はトラベルライターのオンラインコミュニティにも参加しました。今まで興味はあったけど、なかなか踏み出せなかったものに、です。

フェスやクラシックコンサートなど、自分からはなかなか行かない場所への誘いも、自然と受け入れられるようになりました。

−③ショルダーバッグひとつで遊びに出かけるようになった

自分に訪れた変化で、いちばん驚いたのはこれです。

冒頭で書きましたが、僕は大きなリュックを日常的に使っていました。
それなのに、スマホのデータが消えて、僕はショルダーバックひとつでディズニーに行くまでになりました。

(↑お財布とポーチと文庫本しか入らん)

なぜ、このような物理的な変化が訪れたのか自分でも分かりません。
それでも、意外とこれだけでも生きていけるんだなぁって思ったし(耳持っていくのわすれたけど)、気持ち的にも身軽になりました。

そして、身に起きた変化の答え合わせをするように、僕はある積読に手を伸ばしたのです。

3.あなたの人生、片づけます

社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、ある一部屋だけを掃除する汚部屋主婦……。『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら手助けをしていく。この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!

片づけられない人のお宅に「片づけ屋」の十萬里(とまり)がやってきて、断捨離を“させる”お話しです。
十萬里さんが部屋をきれいにするわけじゃなくて、生徒に断捨離の指導をするだけです。

家がゴミ溜めのようでも平気でいられる心理状態に興味がある十萬里さん。確かに、彼女の生徒たちはそれぞれ私生活に問題を抱えています。

浮気を繰り返す彼氏がいたり、死別した妻が忘れられなかったり…。

全員がいわゆる汚部屋に住んでるわけじゃありませんが、共通して不要なものが家に溢れています。

そんな生徒の部屋を訪れて、十萬里さんは「これは本当に必要ですか?」といちいち聞いて周り、時に悪態をつきながら、彼らの問題点を次々に指摘していきます。正直めっちゃ感じ悪いです笑。

生徒たちも最初は反発しますが、断捨離をするうちに、彼らの心境にも変化が訪れます。

「では一足ずつ確認していきます。例えば、この靴は今後も履きますか?」
十萬里は手近にあった靴を一足持ちあげた。ローヒールの赤いパンプスだった。買ってはみたが、どんな服にも合わなかった。可愛らしすぎた。そんなものをなぜ買ったかというと、風鈴(彼氏の浮気相手)が似たようなのを履いてたからだ。
「もう履きません」
というより、一度も履いていない。
「そうですか、では捨てましょう」
十萬里はゴミ袋に投げ込んだ。安くはなかったのに、以外にも未練を感じなかった。それどころか、惨めな気持ちの一部が消えてなくなった気がした。
・・・
仕事に対する意欲が漲ってきたのは久しぶりだった。
もっと丁寧に生活しよう。
(別れのメールの)送信ボタンを押したとき、唐突にそう思った。
生活そのものを楽しもう。
もう誰にも振り回されずに生きていこう。
そう遠くない日に悟史(彼氏)を思い出すこともなくなり、別の楽しい思い出を作っていける予感がする。

彼氏の浮気相手に対抗して買った赤いパンプスや, 彼の影響で買った食器などを捨て、彼氏への気持ちにも区切りをつける生徒もいれば。

玄関に下りて下駄箱を開けてみると、予想通り、八割方が美津子(死別した妻)の履き物だった。美津子は足が小さかったから、デカ足の風味子(娘)が履けそうなものは一足もない。
「思いきって捨てるかな」
そう言うと、おばはん(十萬里)はにっこりと笑った。
やっと夫婦二人暮らしからひとり暮らしにシフトする覚悟ができたようですね。その調子ですよ」
・・・
「まぁ、どうぞ、お入りください」
ワシは自分の口からずっと出てきた言葉に驚いていた。
接客はすべて美津子に任せていたのだが、これからは何でもかんでも自分でやっていかなきゃならん。ワシは相変わらずワシだが、ワシは美津子でもあるんじゃないか。最近はそんな気がしている。こういうのが、早く逝った美津子の分まで生きるということかも知れん。

死別した奥さんの遺品を整理して、ひとりで生きていく覚悟ができた生徒もいます。

そして、彼らは仕事に対して以前よりも積極的な姿勢を見せるようになりました。
断捨離を通して、彼らの人生も変わりはじめたのです。

…もしかしたら断捨離とは、過去を清算し, 現状を整理する行為なのかもしれません。
だからこそ、僕らは断捨離のあとに前向きに未来を描けるようになるのでしょう。

4.過去は、時に未来の可能性を狭めてしまう

iPhoneの故障をきっかけに、結果として僕はデータを断捨離するハメになってしまいました。
それはそれは、立ち直れない程の絶望でした。

でも、現状だけをみれば、僕の日常はデータを失う以前よりも充実しています。

そして、『あなたの人生、片づけます』を読んで、僕が気づいたのは、「過去は、時に未来の可能性を狭めてしまう」ということでした。

過去の栄光にすがって、新しい挑戦ができなかったり, 今の関係性が足かせになって、新しい環境に飛び込めなかったり, 好きなものに囲まれる余り、未知なる楽しいものに手を出せなかったり…そういった経験は、誰にでもあるはずです。

確かに、過去の思い出や記録は愛おしいものであり, 大切にすべきものです。
でも今は、物で溢れた生活をしているし, 端末にはデータがたくさん保存されているし, ブログやsnsなど、様々な記録媒体があります。
もしかしたら、僕たちは過剰に過去を保存し, それを過度に飾り付けてしまっているのかもしれません。

僕はあれから、物理的にも断捨離をしました。
部屋にある不要なもの, 必要か迷うものは全て処分しました。

おかげで部屋がさっぱりとしました。
そして、「新しくできた部屋の空白を、今度はどんなワクワクするもので埋めようか?」なんて、すごく前向きになっている自分を見つけたのです。

身も心も軽くなった今の僕の前には、どこまでも開けた未来があります。
来年から、もっともっと挑戦して生きていけそうです。

皆さんも、大掃除のついでに、思い切って断捨離してみてはいかがでしょうか?

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今日紹介した本

あなたの人生、片づけます

垣谷美雨 著
2016年 双葉文庫より
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後日談

あれから少し経って、交換したiPhoneのOSをアップデートした後、実家のパソコンに繋いだら、「iPhoneのバックアップを復元しますか?」と、パソコンが言ってくれました。

え?できるの?
どうやら、以前はOSが古くて復元を受け付けてくれなかったみたいです。
バックアップ履歴は「01/11/16」のままなので、どうせ3年前のデータまでしか残ってないけど、お願いすることにしました。

しかし、終わってみたら、ほぼ完全に復元されているではありませんか。
なんと、最後にバックアップを取ったのは「令和1年/11月/16日」だったのです。

いや、なんで世界のAppleが和暦対応なんだよ。

紛らわしい。ちなみに日本人は令和1年ではなく、令和元年と言います。詰めが甘いよ、Apple。

ともかく、これで僕が失ったデータはほぼ全て帰ってきました。

けれど、僕はそのデータの断捨離も始めました。
大切な写真はクラウドやパソコンに移して、端末からは削除し, 使わないアプリも削除しました。

あの一件を経て、僕は「普段抱えていた過去が、どれだけ重かったか」に気づけたのです。
だからこれからも、過去を振り返るだけじゃなくて、たまにはその整理もしようと思っています。

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