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#37 授業デザイン①➰日本語教員にとって本当に大変で大切な作業➰教案

今日は、授業デザインについて、特に教案について記事を書いてみたいと思います。

日本語教員にとって(何の教科を教えるにしても)教員にとって授業デザインを考える時間って仕事の大きな割合をしめると思います。
日本語を言語として教えるクラスは、大学やその他学校では、教科書が決まっていて構造的に教えていける場合が多いです。構造的に教えることができるクラスは、先生も教えなければならない文法的な内容が決まっているので、指導書に沿って肉付けしていく作業でほぼ完了できると言えるでしょう。

しかし、教科書に沿って教えられないような場所で授業を行う場合、自分で授業を1から考えてデザインしていかないといけなくなります。

例えば、小学校の国際クラス。
まだ、通常の日本語の授業についていけない児童に日本語を教える場合、クラス内にレベル差があって、教科書をどこから始めればいいか分からない等。上級者のクラスでも既に教科書を構造的にやる必要がないレベルになっている、他には行政が行っている講座で日本語を教える場合なども。他には、時間や期間が限られている場合、例えば、1日だけ、3日だけの日本語教室で講師をする、言語ではなくて日本文化クラスなどのように、文化学習を行うようなときも、教科書や指導書に沿うかたちにはならないので、自分で授業を設計していかなければならいわけです。

もちろん、教授法は色々あるので、無理に教科書に沿って構造的に教える必要はないですが、教科書や指導書に沿えないっていうのは、地図や設計図がないのと同じことになるので、自分で地図や設計図を書く作業からしないといけなくなります。
本当に大変な作業です。

自分で授業デザインをはじめから作る場合、私がはじめにすることは、教案を書くことです。とても大切にしている作業です。

教員を始めてしばらくたつと、教案はあまり書かなくなるという方が多いと思います。
特に、教科書に沿って行える授業の場合、年度が変わってクラスが違っても、繰り返し同じことを教えていくので、教案を書かなくても授業を行えるようになってきます。私は、構造的なことを教えるクラスや教科書が決まっていてそれに沿うかたちのクラスでは、殆どの場合、メモ程度しか書きません。

しかし、はじめからデザインが必要な授業の場合は、教案を書く作業から始めています。
私の場合は、はじめからデザインする場合は、教案を書く作業に一番時間をかけています。学生時代は、教案を書く作業や書いた教案の模擬授業の時間が本当に辛かった私ですが、教員になってから、重要な作業だと改めて感じるようになりました。

まず、教案を書いて、それをたたき台にして教材を作ったり、必要な資料を作ったり、映像を用意したり、ゲームを考えたり、ワークショップを考えたり、、、。導入したい語彙については、意味や用法を確認して、例文を自分で考えたり。併せて、場目を作ったり、ロールプレイ用のロールカード、タスクを作ったり。作ったものを試したり。

文化クラスの場合は、レアリアを用意して実際に使ってみたり、体験させたりする時間を作ることが多いので、そのために必要な準備、また、部分的に専門家の方にお話ししていただく時間をとったりすることもあるので、その場合は、手配を考える必要もあります。

今書いてきたことは、大学や比較的まとまった人数のクラスでのことが中心になりましたが、少人数のクラスの場合はまた違ったことを考えなければならなくなります。

たった二人しかいないクラスを担当することもあります。その場合、ペアワーク学習をするにしても単調になってしまうので、どうしようか、、、という悩みが出てきたり、小学校の場合は、外国人児童が1名しかいないという場合もあります。読み書きができるようになるまで、教科書は使えませんし、直接法で教えていくと心理的な負担が大きくなってしまったり、その場合、一体どんな風に授業をデザインしたらいいのか?等、考えなければいけないことがたくさんでてきます。

考えなければいけないことが増えれば増えるほど、私の場合は、教案を書く時間を大切にするようにしています。整理するという意味でもですが、教案を書くことで机上では、一旦、授業デザインを完成させられますから、実践での予想をたてることもできます。

また、教案が便利なのは、授業を行ったあと、修正と次回への改善をその場で書き込めることです。
何かの紙にメモでもいいんですが、教案に書き込めると、授業のどの時間に失敗した、停滞した、グダグダになった等、どうだったかの状況をすぐにメモれる点でも便利です。教案を使って一人ミーティングができるというのも利点だと思いますが、誰か他の先生方にアドバイスをもらうときも、この時点でこんなことがあって、こんな風に改善したんですがどうでしょう?のように意見を求めるときも効率的です。

これは自分の中のルールですが、誰かにアドバイスを求めるときは、できるだけ簡潔に困っていることや改善箇所を伝えて、時間や手間をとらせないように心掛けているので、教案を見せながら説明すると相手にも伝わりやすくて便利です。

大変な作業ですが、私は、できるだけ教案を書くようにして、その時間を大切にしています。

次回の記事で教案にどんなことを書いているか具体的にご紹介したいと思います。