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大麻の歴史

大麻という植物は正式にはアサ(麻)言いアサ科アサ属の一年生の草本であり中央アジアが原産とされています。
茎の皮の繊維は麻繊維として用いられていて、その歴史は古く日本では縄文時代から使用が確認されています。
日本最古の麻の使用例は縄文時代早期の縄であり、魏志倭人伝にも麻についての記述があり古来より人々の生活にとても身近な植物であったことが伺えます。
繊維素材や種を食用にされていた大麻ですが、農作物としてとても優秀な植物で種を蒔くだけで勝手に育ち栽培の手間がかからず収穫が早い事で農家の貴重な収入源であったとされています。
明治初期には喘息用タバコとして”ぜんそくたばこ印度大麻草”という商品が販売されていました。

江戸時代に流行した麻の葉文様(この柄の歴史は古く鎌倉時代までさかのぼる)

衣類などの繊維としての麻の衰退

昭和5年に日本では麻薬に指定され、大麻の規制が始まり、太平洋戦争終戦後にはGHQの指示によって大麻の栽培は全面的に禁止された。
そのため繊維としての麻の需要面に影響が生じ、昭和22年に大麻取締法が制定され、繊維や種子の採取を目的にする場合は許可制の下に大麻草の栽培が認められた。
その後は綿やジュート、また化学繊維の台頭により麻繊維需要はどんどんと衰退し売値が落ち込んだことで麻の栽培は激減することになりました。

古来の日本での大麻の吸引について

古くから人々と密接な関係にあった大麻ですが繊維としてや食用としての記録は見られますが麻薬としての大麻の記録や文献などはありません。
そもそも大麻はアジア大陸の北方血一気から日本海を渡って入ってきたものと考えられていて、北アジアの遊牧民たちは古くから繊維の原料として大麻を使う一方で幻覚剤としても使用していました。
日本に渡来する際に北アジアを経由していたことを考えると縄文時代から繊維としてのみ使っていたのではなく麻薬としての使用をしていた可能性は十分にあると思われます。
現代のように喫煙・吸引という形ではありませんが江戸時代に大麻の事件を記した文献があります。その文献には麻の若葉は大変美味しいとして、寺の住職以下全員が大麻を使った料理を食べ、正気を失ったというものだ。
その文献では麻の葉の恐ろしい毒に今更震え上がったという記述があり、当時の日本人の感覚では大麻による陶酔作用を毒として考えていたようです。

日本におけるドラッグの歴史

日本では1639年から1854年まで続いた鎖国により海外の文化が入ってきにくく、近隣諸国でアヘンがまん延する中、長崎や横浜などの条約港を中心にアヘンが密輸され問題になるのは明治時代になってからである。その際もすぐにアヘンの使用や売買についての罰則を設け重罪とした。この法律は現行法にほぼそのまま取り入れられている。
その後19世紀末になると覚醒剤が発明され、戦前は疲労回復や眠気解消に効くとされ市販されていた。
1919年には日本人化学者が初めて結晶化に成功したメタンフェタミンが1941年の真珠湾攻撃当時にはアンフェタミンと合わせて24種類の覚醒剤が販売されており、この年にはヒロポンの製造も始まっていました。
特に戦場においては戦闘疲労が致命的になるので日本軍は夜戦の兵士や戦闘機パイロット、特攻隊員に支給しており、特に戦争末期に特攻隊員に大量のメタンフェタミンが投与されたのは周知のことである。
戦後は日本軍の保有していたヒロポン注射剤が市場に放出され乱用が拡散、密造品もどんどん広まっていき1971年には検挙者が1万人を超えた。
日本においてはドラッグというと覚醒剤が主流であったが欧米のカルチャーが輸入されるにつれて中高生にも大麻が広がっていった。
特に1977年に井上陽水が逮捕されたことをきっかけに報道で大きく取り上げられるようになり、周囲ではたかが大麻で…など賛否両論を展開した。

これからの大麻

近年、イギリスやカナダのように大麻についての科学的な調査・研究・医療用途への支援を行う国では法規制の枠組みの下、臨床試験が行われている。
1999年、全米科学アカデミー医学研究所は煙による害を別にすると、大麻使用による副作用は医薬品で許容されている副作用の範囲内であるとしている。
2008年、イギリスの大麻研究団体が大麻は精神および身体を含む健康問題で良くない場合があるが、相対的な害ではアルコール・タバコより極めて害が少ないとする報告書を発表している。
2020年には国連麻薬委員会が医療や研究目的の大麻を国際条約で定められている最も危険な薬物分類から削除する勧告を承認した。
委員会を構成している53か国が投票し賛成票が過半数を超えた。
アメリカやヨーロッパ諸国は賛成票を入れたものの日本は反対票を投じていた事を考えると日本においての医療大麻解禁への障壁はあるものの世界的な流れを見ると大麻の合法化を後押しするものではないかと思われます。

大麻が合法である国

嗜好用・医療用ともに合法な国としてウルグアイとカナダがある。
また国により州などの一部区域で試行目的の非犯罪化、もしくは医療目的で合法化している国としては下記の国が挙げられる。
・アメリカ
・ポルトガル
・イスラエル
・ベルギー
・オーストリア
・オランダ
・イギリス
・スペイン
・フィンランド
・ドイツ
・韓国など
他の国でも少量の所持は非犯罪化や所持や使用は非犯罪化などにしている国もある。
日本では麻薬・覚せい剤乱用防止センターが大麻の有害性を主張しているが医学的な根拠は定かではない。
日本でも大麻合法化される日が来ることを待ち望んでいる人も沢山いると思いますし、何より麻という植物は古来より日本人と密接な関係があったものなので、研究や臨床試験を進めて大麻合法化に踏み切ってくれるといいですね。


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