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先送りにしていた「やりたい」。サイトの運用改善を部署全体でやった方法

こんにちは。ウエディングパークの「ン」編集部のあっこです。

「直したいとは思っているけど、今のミッションを考えると優先度は高くない」
「改善したいけど、KPIへのインパクトは少ないよね」
「いつか手が空いた時にやりたいね、といって後回しになっている」

そんな風に、やりたいけど優先度は高くない仕事の課題ってありませんか?
私自身の採用や広報業務でも、やりたいけど優先度は高くない…ということは多く、手を付けるタイミングが後回しになることも。

今回はそんな、先送りにしていた「やりたい」を解消する仕組みづくりのお話。

サイト運用の課題改善に、開発部門全体(ディレクター・エンジニア・デザイナー)で始めた「ギルド」をご紹介します。

話し手はプロジェクトのリーダーである村上さんです。

チームが抱えていた課題・解消したかったこと

まず、プロジェクトを始める前(2020年3月)の当社の状況を説明します。

・ユーザーの増加、機能の追加、サイトの経年などで、サイト運用のタスク(システムの経年劣化、問合せ、不具合など)が年々蓄積
・KPIなど目標逆算のミッションでの工数が埋まっている
・問合せや不具合など突発的な対応は発覚都度、原因箇所に詳しいチームが巻き取って対応している

そんな状況の中で、下記の課題が出てきました。

・対応する人が偏ってしまう
・突発的な対応が増えるとミッションとなるKPIにコミットできないこともある
・改善すべき箇所の把握や運用改善を、先回りして行えていない
・善意での改善への行動が、可視化・共有されない

“このままでは、ユーザーの使いやすさ・探しやすさ追求のための、チャレンジする基盤が揺らいでしまう!”

そこで、こういった課題を解決したいと、メディアを開発するメンバー全員でサイトをより良くするプロジェクトを始めることにしました。

・・・

みんなで自社サービスを改善する「ギルド」

実施したのは、それぞれのチームがKPIを追う中で漏れてしまいがちな運用改善案件を「クエスト」として、開発部門みんなの「ギルド」で管理・運用するという方法です。

サービス開発の楽しさをもっと知ってほしい、「面白そうだな」と思って積極的に取り組んでもらいたい、という思いから、オンラインゲームのように他の人と協力するプロジェクトを「ギルド」、与えられるミッションを「クエスト」としました。

みんなが「ギルド」でたくさん自社サービスに触れることで、サービスのことをもっと好きになり、好きなサービスを開発することで開発自体ももっと好きになってほしいと考えていました。

ゲーム3

運用方法は下記です。

・「クエスト」は、活躍や成果を共有できるようにスプレッドシートで管理し、開発部門全体にオープンに可視化
・プロジェクト運営チームが「ギルドマスター」として「クエスト」を管理
・開発部門のメンバー全員が「ギルド」に所属し「クエスト」の発注・受注が可能(※ただし職務グレードによって受注できる「クエスト」難易度に制限がある)
・一人につき、3人日(24時間/四半期)「ギルド」に充ててOK

STEP1
メンバーが、運用課題となる「クエスト」を発注(通常クエストと緊急クエストの2種類)

STEP2
ギルドマスターが、クエストに★~★★★の難易度と優先度をつけ整理・可視化→部門長がクエストの優先度や実施を最終判断

STEP3
メンバーが、自らチャレンジしたいクエストを受注・実行しクリアする

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シラケさせない!参加したみんなが楽しめる「工夫をつくる」

出だしでコケないことが重要だな”と考え、どうやって盛り上げるかを考えました。

部門全体のメンバーに伝える前にまずしたことは、

・運用改善のプロジェクトにすぐ反応してくれそうな数人に、“こんな取り組みが始まるからよろしくね”と個別に声掛けしたこと
・クエストのイメージを沸かせるためにギルドマスター自身がいくつかのクエストを発注したこと

取り組みを部門全体に発表した時の反応は良好で、クエストを発注するメンバーも多くいました。

4月は発注中心の期間となり、5月以降に受注やリリースが増えていきました。(STEP2の発注→受注のフローが多いことは改善予定です)

そしてこの「ギルド」を進めていく時に大切にしたのは、「シラケない」ようにするためのケア

頑張ってくれている人にスポットを当てたり、オープンなコミュニケーションで取り組みや進捗を全体に見えるようにしていきました。

具体的なアクションとしては下記です。

・毎週開発部門の定例ミーティングで、実績や活躍したメンバーを紹介する
・チームを越えたナナメの関係での開発案件を紹介する
・日報で「ギルド」について書いてくれたら反応・返信する
・Slackにギルドチャンネルをつくり、コメントやスタンプで反応する

また、マンネリ化しないように、“部門長からの緊急クエスト発生!”などイベントとして変化をつけたり、該当しそうなメンバーには各マネージャーからもプッシュしたりといった効果もあってか、前半は様子を見ながらやっていたメンバーも、ペースが掴めて受注やリリースが増加したり、優先順位を上げてやってくれたりと、プロジェクトの進捗が加速していきました。

ギルドのSlack

|Slackチャンネルの一部

「ギルド」に限らず、プロジェクトをやる時のポイントは、みんなで楽しみながらやるために、一緒に活性化してくれる「2人目に踊る人」を見つけることだと思います。(先日のこのnoteに共感して言葉をお借りしました!)

まず自分が一番最初に楽しんで盛り上げて、「楽しそうだな、まざってみようかな」と思ってもらえることも大切ですし、根回しなど、動きやすい雰囲気づくりをしておくことが始める時に大切なことだと感じています。

自分が普段から2人目に踊る人になっていると、自分が新しいことを始める時にも見つかりやすいです。

そしてプロジェクトでは、同じ事を続けていると飽きてしまうもの。飽きない仕組みづくりも大切で、マンネリ化せず緩急をつける工夫を考えて運営することも大事だと思います。

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「誰か」ではなく、みんなで取り組んだからこそ、辿り着いた成果

プロジェクトの成果としては、約2か月半の間に30個の運用課題が改善しリリース出来ました。

発注クエスト数:149
受注クエスト数:60
∟着手前:16
∟進行中:7
∟リリース完了:37
※2020年6月26日現在

また、運用課題の可視化や解消のサイクルに関しても仕組みが出来て、今はまだリリースされていないクエストも、次の四半期で実施したりKPIに紐づく案件に組み込まれたり、ほとんどが何かしらの形で実現できる予定です。

この他にも、「ギルド」を通して組織面でもポジティブな反応がありました。

「クエスト」をクリアしていく形で行ったので、テンポよくリリースでき、頑張っている人にスポットライトを当てることができたので、小さな自信を積み重ねることや開発へのハードルを下げることに繋がったこと、
また、当初の課題と加えて、所属チーム関係なくクエストごとにチームが組めるので、新しいコミュニケーションが増えて仕事でのナナメの関係が増えたことも、今後に繋がる成果でした。

「誰か」がやるのではなく、みんなが「ギルド」で運用課題の改善をやってくれたことによる大きな成果だと思っています。

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運用改善にとどまらない、今後の「ギルド」の広がり

運用改善は、地味な作業に見えるかもしれませんが、全てのサービスにおいて「要」です。今後は、「ギルド」をブラッシュアップするだけでなく、

・今まで以上に営業部門と協力してクライアントサイドの課題も吸い上げ、改善サイクルをまわす
・数字として見える効果を多くの人に実感してもらうことで、Webサービスには欠かせない、運用改善の意義を実感する人も増やしていく。
・育成や、0→1のチャレンジや新しいものが生まれるきっかけにも、この「ギルド」が役立つ仕組みをつくりたい

と考えています。

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先送りにしていた「やりたい」は、楽しみながらできるプロジェクトにしてみるとメンバーのモチベーションが上がったり、一気に加速するかもしれません。

そして、新しい取り組みをやろうとしている人が近くにいたら、ぜひ2人目に踊る人になってみてください。

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