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「おはよう」今日も心のなかで呟いた。

先日、「ILoveYou」を私なりに翻訳した。

実際は翻訳というよりも、超訳である。

キャリアスクール SHElikes のコピーライティングコースを受講して、コピーを作ってみようワークの一環だった。

講師はコピーライターの阿部広太郎さん。
#ILOVEYOUの超訳し方 で、色々な方のILoveYou超訳を見ることが出来る。

コピーライティングといえば、才能溢れる人が超かっこいい文章を作っている印象だった。

実際コピーライティングコースを受講して、コピーの書き方を学び、ワークでコピーを作ってみると、大変なんだけれど自分にもできるかもと思えてくる。

コピーには書き方があるのだが、書き方に従って10人が同じ題材でコピーを考えたとしても、10人全員が全く同じコピーを考えつく訳ではない。

プロのコピーライターだから、初心者だからではない。自分自身の経験や見聞きしたこと、調査したことの背景が、一人一人異なるからだと私は思う。


夏目漱石は「ILoveYou」を「月が綺麗ですね」と訳したという話は有名だ。

私は

「おはよう」今日も心のなかで呟いた。

と超訳した。

セリフっぽくなってはいないが、そこは気にしないで。

「ILoveYou」は愛を伝える言葉。
そもそも愛とは何なのか?

私は、愛とは「自由」「相手の応えはいらないもの」だと思う。

あの人が好き。愛だの恋だのの話になると、行き着く先は「告白しないの?」「結婚はするの?」
愛しているからといって、思いを伝えなくてもいいのではないか。

「気持ちを伝えて成就するといいね」
愛することは自由であり、相手の応えは必ずしも必要ではない。

私はこういうかたちも愛であると思う。


「おはよう」の一言さえも、言えなかった関係。

毎朝登校してくる姿を見て、今日も朝会えたってこっそり喜ぶ。
心の中では「おはよう」って毎日言っている。

「今日は朝から暑いね」「時間ギリギリだよ」
色々話したいことはあったけれど、直接言えなかった。

こっそり、私の心の中のアイドル的存在。


この超訳を考えた背景には、私の実体験があった。

高校時代の私には、「おはよう」すら言えなかったけれど心の中のアイドル的存在がいた。

朝登校すると、たまに登校時間が合う人。
自転車置き場で隣同士になる人。
私と同じギリギリに登校する人。
私は自転車で朝から爆走して汗だくになるのに、電動自転車で汗ひとつかかずに来る人。
席が近くになって、こっそり喜ぶ人。
試験中腹ぺこの私のお腹の音が鳴り、絶対聞こえてるよ……って恥ずかしくなる人。

アイドルがいたのだ。

アイドルはアイドルであって、付き合う付き合わないの対象ではない。
アイドルはいわば、「目の保養」な存在だった。

毎日なにかのタイミングで姿を見かけただけで、よっしゃあ!ってなる人。しおれた植物が急に元気になる栄養剤みたいな人。

「アイドル」といってもみんなの人気者の大人気アイドルでは無い。普通の同級生だ。

私の日常を彩るアイドル。

こんなアイドルアイドルって元気になっていた私だが、アイドルには在学中一度も話しかけることが出来なかった。

高校を卒業して、アイドルとも友達とも離れることになって、最初は新しい生活に慣れることに必死だった。

大学の長期休みに高校の友人と会い、思い出話や近況を話していると、次第にアイドルの事を鮮明に思い出すようになった。

あぁ……これは、後悔している。

アイドルとお話ししなかったこと、ものすごく後悔しているんだ私。

声をかけられなかったことは、ただ緊張や恥ずかしさがあったからだった。

積極的に話しかけることができて、おしゃべりすることに何も抵抗がない人には簡単なことなんだろう。
そんなことで三年間話さず、結局後悔してんのかと。

なんてばかだったんだ私は。
三年間、もっと仲良くなれたかもしれない。

アイドルのことを古くから知る人は、アイドルは喋ると面白いって言っていた。
普段は物静かな人だが、そうなんだ。
絶対楽しそうだなぁ……って、そう思ったってもう遅すぎる。

奇跡的に近くにいた時間はもう、戻ってこない。


成人式に出席するために、地元に帰った冬。

いるんじゃないか。
今日は来てるよねって期待した。

姿が見れたらそれでいいの。
スーツのイケメン姿を拝みたい下心を抑え、探した。

式典の後、みんなが会場のホールでワイワイしている時に、その姿を見つけた。

あ、…………!!


いよっしゃあ!である。
一瞬姿を見て、あゝ素晴らしいと感嘆。

この日も、アイドルと話すことは無かった。

後悔後悔後悔と思っていたが、今日は一目見て幸せだった。
それで構わないと思った。

三年間の後悔は、成人式の一日でどこかへいった。
痛いの痛いの飛んでけ〜って、今日が後悔を何処かへ飛ばしたみたいだった。

これでいいのではないか。

二十数年間の人生。
三年間を部分的に思い出すと、もっと仲良くなりたかったなという後悔はある。

大学生、社会人と長い流れで見ると、そういうこともあるよねって

後悔も私の特異な経験。


成人式で一目再会したあと、一度ちゃんと会う機会があった。

仲の良い友人繋がりで、アイドルも含めた謎の会合、ご飯呑みをした。

この日も、話すことは無かった。

と言いたい流れだが、さすがに話した。会話した。

なんでもないことを話したと思う。
だいぶ忘れてしまった。

あの時アイドルと話してみたかったんだよね。などと言ったかもしれない。
アイドルはなんて答えたんだっけ。


それからしばらくアイドルにも、その時の友人にも会っていない。


もう、アイドルには会えないかもしれない。
もう、アイドルには会わないかもしれない。

私はアイドルに、きっと会わないだろう。

再会して話してみて、嫌になったわけじゃない。
楽しくなくてきらいになったわけじゃない。

ただ会わないんだろうな、そう感じるだけ。


本当に希薄な関係だなぁ。
でもそんなものかな。

今の私に悔いはない。


参考

テーマ Day20 これまでで1番の後悔
いしかわゆき さんの書籍 「書く習慣」 からのテーマです。#1ヶ月書くチャレンジ をやってみます。

いろいろ書いてみるので、他の記事も覗いてみてください✨