もう会うことないからね。

病院勤務していた時の話しです。
入院治療で関わっていた患者さんが治癒で退院していくことはよくあります。
当たり前ですよね。
元気になって退院していくのが理想ですから。
時にはやるだけの治療をやったが治療の甲斐がなく亡くなられる方もいます。
非常に残念です。

私が関わった患者さんが退院していくときに患者さんに言うセリフがあります。
退院おめでとう！
元気になって良かったね。
もちろん言いますよ。
ですが、一番言いたい言葉は違います。

もう会うことないからね。

端から聞いたら凄い冷たい言葉です。
そんなに突き放さなくてもいいじゃないか！と中には思う方もいるでしょう。
ですが、ちゃんと意味があってのことです。
たまに患者さんに言われます。
「会うことないからなんて酷く冷たいね。せっかく仲良くなれたのに。」
患者さんと適度に仲良くなるのはコミュニケーションの一環としていいことですよね。

もう会うことないからね。の真意。
関わっていた入院患者さんと会わないということは、何よりも患者さんが元気な証拠です。
入院しなくてもいいから会わなくて済む。
外来でたまたま見かけて元気な姿を見る場合は非常に嬉しいです。
「今日、どうしたの？」
「いさ、定期通院でさ。」
「体調どう？」
「まぁまぁかな？」など軽く話します。
最後には入院はしないようにねーなんて冗談も交えながら。
再入院してきた場合はもちろん全力で治療しますよ。
早く元気になってほしいですから。
一見、酷く取られそうな言葉の真意には元気で生活してほしいという意味が込められているのです。

言葉一つで聞き手にとっては良い解釈も出来れば悪い解釈も出来る。
日本語の面白いとこだと思います。

もう会うことないからね。
文字にしてみると非常に冷たい感じですね。
みなさんにもこのような言葉の使い方はありますか？
最後まで読んでいただき有り難うございました。