何でもかんでも「修正」って言うな

制作サイドの仕事してて一発で全部OKなんてことはそうそう無い。何らかの手戻りがあるのが普通だし、むしろ全く無いとちょっと怖い。「この辺は何かリアクションあるだろうな」って思っていたのに問題ないって言われると拍子抜けを通り越して不安になる。これはもう僕の病気かもしれない。

手戻りがあると一口に言っても、その内容は様々だ。
大体以下の2つのうちのどっちか。

A:要求された内容と違っていたもの
B:要求通りだけど変えないとならなくなったもの

Aに関しては基本「修正」となる。もちろん技術的に不可能なものもあるので、その辺はお互いに歩み寄りしながら落とし所を見つけたりする。

Bの方は、要求段階では良いと思われていたんだけど、実際の仕上がりを見て何かしら変えないとならないと判断される場合。こういうのは「変更」「調整」となる。

言葉遊びじゃないかと思うかもしれないが、「修正」なのか「変更」や「調整」なのかは結構違う。作業者に対しての伝わり方も違うし、作業時のモチベーションにも関わる。契約内容にもよるけど、AなのかBなのかで追加料金が発生するかどうかまで違ってくる。
何かを作るということがどういうことなのかしっかり理解できている人ならこの辺の言葉選びを間違えることは無いと思うのだけど、実際のプロジェクトに入ってみると意外にもこれらの言葉を混同して使っている人は多い。


百歩譲ってクライアントさんは制作に関しては素人さんなので仕方ない部分もあるし、制作サイドもある程度は脳内で変換して捉える必要はあると思う。それはまあ思いやりってやつだ。

でも制作サイドに関与したディレクターやプロデューサーがそれを間違えるのはNGだ。それはあまりにもチームのメンバーのことを考えていないし、何かを作ることを分かってない。ちゃんと要求通りに作ったのに「修正しろ」と言われたり、後から実はまずかったと気づいた時に「直して」と言われたときのテンションの下がり具合を想像できていない。

ディレクターやデザイナーの様に直接実装に関わらない人間は、技術上専門的なことは分からないにしても、ある程度想像はするべきだ。僕自身ディレクションやデザインをするとき、ユーザはどうすれば心地よくなってくれるだろう?と思いを巡らすはずだ。それが仕事だからだ。
じゃあ実装者であるエンジニアに対して何か再度の作業を求めるとき、手を動かす人の気持ちも分かってやれよ。それが「修正」なのか「変更」や「調整」なのか、お前の言葉の選び方ひとつでチームの生産性を下げることになりかねないんだぞ。

これを「甘え」だとか「気にしすぎ」とか思うディレクターやデザイナーははっきり言ってその仕事に向いていない。今すぐ人の気持ちを考えなくていい仕事に転職するべきだ。誰の気持ちも考えなくていい、そんな仕事はなかなか無いと思うが。

あと「修正」だからって偉そうにすんな。こっちの伝え方が悪かったかもしれないんだからな。「お願いします」の一言も言えないなら幼稚園以前からやり直してこい。

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