カンヌ国際映画祭受賞「存在のない子供たち」on Netflix

存在のない子供たち/ナディーン・ラバキー

レバノンの貧困、移民問題を問うフィクションだが、あまりにリアルで胸が締め付けられる。
貧しいとされる国ではよく見られるストリートチルドレン。
彼らがどんな出生でどんな環境で生きているのかをリアルに描いている。
どの国でも同じように、彼らは不衛生な狭い家に大人数の家族とひしめき合うようにして生活し、子供は学校に通わず下の子の育児をしながら仕事をして生活を支えている。

主人公の子供は責任感が強く頭が良い。
両親から常にひどい言葉を浴びせられながらも、下の子供達の面倒をよく見て、工夫をしながら時にドラッグを売ったりしてお金を稼ぐ。
人のお金を盗むチャンスもあったのに、なぜか盗みもせず世話になった同じような境遇の不法滞在の女の赤ちゃんの面倒を健気に見ている。

ストリートチルドレンが物乞いをしたり、働いたり、盗みをしたりという光景は様々な国で見てきた。
顔見知りになると笑顔を見せてくれることもあるが、基本的には分かり合えないことを目が物語っている。
こういった子供たちを救うために、援助したり、養子をとったりということをNGO団体がしているが基本的な解決には至っていない。
中には闇の社会で子供が数百ドルで売られたり、臓器だけ取られたりと、非常に命が安いのだ。

彼らの行き場のない怒りがこの映画では炙り出されている。


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