エンジニアリングのホットワードと生存戦略
エンジニアを取り巻く環境の中で、重要フレーズだなと思うものを並べてみて、それらを使ってどんな生存戦略を描くのかを考えてみました。
1. 触れられないと不安になるもの
フルサイクルエンジニア
一部DevOps
フルサイクルエンジニアは「フルスタックエンジニア」と一応区分して使っていて、「プロダクトサイクルを回すのに必要なことは結構なんでもやる」という意味合いのつもりで挙げています。中にはデータ取りだったり機能提案や要件定義などがそこに含まれています。
昨今の「プログラミングだけ出来てもだめ」「上流工程にも携わり、要件や設計に対して自ら提言出来るのが望ましい」といういわゆるビジネス的な要素を体現できる「動き回れるエンジニア」として活躍できる環境がない場合、「3歩先が見えないな」みたいな気持ちになってしまうことが多い気がします。
2. 触れられないと「すん」てなるもの
クラウドエンジニアリング(AWS、GCP、、、)
SRE
テスト駆動開発
Infrastructure as a Code
SaaSプロダクトの企画
短期で不安を煽られることはないものの、業務で触れる機会がないと「自分の先々をどうしよう」となりがちなものです。特に、とりあえずエンジニアを始めてみたものの次をどうしようか、というときにここのいずれかに触れていきたいと考えるケースを多々見受けます。
少し目線を変えると「青く見える隣の芝」で実施されているキーワードとも言えるかもしれません。青く見えているだけなのか、実際に青いのかは場所次第なのは当然場所によって異なりますが。
中身の種類で言うと「健やかな開発者体験が出来る場所づくり」に由来するものなのですが、ポイントとしては「その環境で生きてきた」というよりは「その環境づくりをしてきた」という経験の方がキャリア的には重要です。
3. 触れられると自慢できるもの
データサイエンス
ブロックチェーン技術
ドメイン駆動開発
リアーキテクティング(マイクロサービスなど)
DevOps可能な組織構造
業務上これらができていると業界内でも一目置かれる、かつそこの責任者として推進している役割を担っているともなれば、助言や発信を求められるなどが期待されるものたちです。
ブロックチェーンについては、一時盛り上がりを見せたもののビジネス活用場所の模索を続けている形になっているのが現状でしたが、WEB3・NFT周りの熱が徐々に高まってきたことを受け、そろそろ着地どころが見つかるのではと個人的には考えています。
ただこれらのワードの中心として携わるには、ある程度投資体力がある企業で一定の責任者クラスに位置しているかその右腕だったり、スタートアップで参画しても生き抜いていけるタフさみたいなものが要求されるため、駆け出しエンジニアフェーズでの参画場所を見つけるのはなかなか厳しいものがありそうです。
4. 触れたいかは微妙だけどやったほうがいいんだろうなと思っているもの
EM(エンジニアリングマネージャー)
PM(プロジェクトマネージャー)
「人に関わるところ、管理」が責任として入ってくる部分は「プログラミングやってるほうが楽しいんだ。。。」「すごく大変そう。。。」ということでまだいいかな、と倦厭がちな役割と言えるでしょう。
しかし一方で「30代40代になるにつれ、いつまでもイチ現場としてやっていくわけにもいかないし、いずれはやっていかなきゃいけないよな。。。」とも考えている人は少なくないはずです。
番外:突然出てきて困惑しているもの
LLM活用への適応
ChatGPTの突然の急拡大により、エンジニアに求められる役割が大幅に変わる可能性がでてきました。サービスへの組込は各社模索中ですが、直近明らかに変化が付きそうなポイントは「プログラミング手作業の消失」です。それに伴って「作れるエンジニア」の存在価値が急落し、「継続的に動くものを作れるエンジニア」「ビジネス価値を作れるエンジニア」「人を育てるエンジニア」など、「機械にできないこと」により焦点があたっていくのはあきらかです。
これらを踏まえてどうするか
1~2に携わる機会がある環境でかつ、信頼を勝ち取りながら3を任せてもらえるチャンスを伺い、周囲の信頼を勝ち得て4をやることに意義を見出す、みたいなのが一つの現実路線かもしれません。
あとは「4をやってみてもいいかな」みたいな状況に何歳のタイミングで出くわすかは環境や人それぞれですが、「どうせやるなら早いに越したことはない」というも個人的な見解です。ビジネスやITの状況がどうなるかは絶対的な先読みはできませんが、今の日本企業の構造とエンジニアという職種の特性を踏まえると、「年齢を重ねるに従って『時間を切って売って稼ぐ』モデルはいずれ脱出しなければならない」というのは自明で「特定の専門分野が20年後も必要とされるかは不透明」というのが理由です。
どちらかというと足跡に意味づけをしていく
とは言ったものの、そう都合よくいかないのがキャリアやスキルであるので、結局は目の前で全力を出して一つ一つ経験にしつつ、後から自分がやってきたことを振り返って自分の足跡として理由づけしていくしかないというのも一つ現実でしょう。
あまり理想やベキ論に囚われて「こういうルートでなければならない」というのはせっかく選択肢溢れるエンジニア職についた可能性を失わせることでもあります。
書いていて思いましたが、これらのキーワードは「これからを考えるもの」であるのと同時に「これまでに意味を与えるもの」という使い方をする方がむしろ有効かもしれません。
長々なりましたが、そういうところで一旦のまとめとさせていただきたいと思います。結論なんて出ないよ(身も蓋もない)。
おわり。
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