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キャリア的なランチェスター戦略

「何かをプロフェッショナルとして極めた人は他のことも極められる、プロフェッショナルと対等に会話ができるのはどの領域であれプロフェッショナルだけ」

大阪大学数学科のとある教授

確か学生の頃に参加した数学科合宿で当時の教授先生が飲みながら言っていた言葉です。ちなみに、それに続けて

「だから僕は、人生やりなおしてビジネスマンをやることになったとしても、プロとして極めて成果を出す自信があります」

とかも言っていました。ほんまかいな。

「色々経験を積んどきたい」と言う言葉

驚くべきことにその合宿の場から15年が立ちまして、一応私自身も一端の社会人という立場で人から見られるばかりか、役員としての振る舞いを求められるようになりました。恐ろしいことです。

そして今、学生の方から偶に質問や相談を受けます。

「やりたいことが見つかったときの選択肢が狭まらないよう、たくさんの業種や職種に触れて、経験を積みたいです」

なるほどたしかに。

やはり私もただの一人の人間ですので、人生に迷った風味な思考になり「自分てCRM一本で開発してるけど、よそで通用するんだろうか」とか考えてしまったりすることもありました。

「何かを選ぶことは他の可能性を捨てることですが、何も選ばないということは何かに打ち込めていたはずの時間をも捨てることである」

とあるエンジニア

これは今の私が考えた言葉です。でもけっこう、真にそう思います。

「不動産」である必然性も、「エンジニア」である必要性もなかった

私が入社したいえらぶのメイン事業は不動産特化、まごうことなきバーティカルSaaS事業です。
そういうわけで私のキャリアはバーティカルSaaSでのエンジニアから始まり、PdMやってEMやって今は執行役員な訳ですが、ご理解いただきたいところとして「最初は不動産に興味がなかった」ということです。

なにしろしがない数学科学生だったもので、学生時代に宅建資格を取る友人が隣りにいたこともなければ、経済や経営で投資についての興味が湧くこともありませんでした。

当時の入社理由は「20代前半の新卒なのに、30代40代と戦う土俵にあげてくれたから、そしてそれに恐れをなさないヤバイくらい仕事に熱中できる連中が集まっていたから」です。

「不動産」である必然性も、「エンジニア」である必要性もありませんでした。

しかし結果として、「不動産」「SaaS」「エンジニア」は私の中で今や欠かすことのない物語の一部になり、自分を売り込むための強力な武器になっています。

やりたいこと早くからやってるやつが一番強い

結局のところ、そういうことだったんだと思います。

ただ勘違いをしてはならないのは、やりたいことはゲームソフトのように世の中に陳列されていません。やりたいことやってる人は、世の中にある自分のやりたいことが見つかった人ではなく、その時やっていたことをやりたいことに昇華させた人の方が圧倒的に多い、ということです。

自分の中にある大切な時間を一定投下して、FBを社会や上司からもらえば、「時間をかけたことが実った、嬉しい」「時間をかけたのにうまくいかない、つらい、悔しい」という感情の浮きと沈みになります。感情の揺さぶりは「次はこうしたい」という原動力になり、それを繰り返すことで「やっていること」がいつのまにか「やりたいこと」に変わります。

「やりたいことが見つかった時に困らないように、実力をつけておきたい」

人生の時間が無限なら良いと思います。という発言は、自分の年齢がいつまでも変わらない前提に立っているかもしれないことに気づいた方がいい。

3年準備するということは、スタートが3年遅れるということです。そして、何かやりたいことを始める時に、実力が十分に足りているなんて状況はありえません。

キャリア的なランチェスター戦略

早い段階で成長したい、と言うならば、より経験値の高い人と一緒に仕事をするのが一番です。

ナンバーワンと対等になれるのはやはりナンバーワンだけ。ならとっととスタートして、とっととナンバーワンになるのが一番でしょう。その点で言えば、むしろランチェスター戦略的に、特定の領域に特化したほうがナンバーワンになるための近道と言えるかもしれません。つまり、バーティカルSaaSとか、エンジニアとか。

まあそのへんは私自身の現在地からの発言ということで置いとくとしても、バーティカルとかホリゾンタルとか、事業会社とかSIerとか、そう言うのは最終的にはぶっちゃけどうでもよく、迷うところまで行ったら「正解を選ぶんじゃなくて、選んだ方を正解にするまでコミットする」と腹だけ決めて進めんでしまえ、という話ですね。

私自身も偉そうに言うだけでなく、毎日「今日が一番若い日」を迎えているという点では一緒なので、変に置きにいった見送りをしないよう、前進あるのみで100歳までいきたいと思います。

おわり。

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