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「幸せ」って何?(幸福について問うとき、幸福の分類)

今回と次回の記事では、「幸福とは何か」ということについて検討します😊

今回は、人が幸福を問題にするときとはいつかということと、幸福の便宜的な分類を示します。

次回は、哲学の三大幸福論と言われるアラン、ラッセル、ヒルティの幸福論の検討をします。くわえて、古代ギリシア・ローマの思想と仏教&キリスト教、さらにはシェイクスピアと椎名林檎まで触れて、僕なりの「幸福観」を提示します!(カオスですね笑)

幸福を問うとき

人は幸福であるとき、おそらく「幸福とは何か」と”切実に”問うことはありません。問わずにいらいれない状況に居合わせているからこそ、人は自分事として「幸福とは何か」という問いを問うからです。幸福への問いには、人生への懐疑、不安と絶望、自己の存在の意義への問いなど、深刻な問題意識が結びついています。

幸福の分類

幸福という概念の意味内容は実際には多様ですが、今回は3つ提示します。

Ⅰ. 無事安全としての幸福
Ⅱ. 生きがいとしての幸福
Ⅲ. 恵みとしての幸福

Ⅰ. 無事安全としての幸福

無事、安全、長久、安泰に過ごすことが幸福だよね、という考え方。そうした幸福観には「自分さえよければ」という少々エゴイスティックな心情が入り込む余地があります。けれども、衣食住をそろえて安全に生きようとすることは人間の当然の権利であると言えるでしょう。

Ⅱ. 生きがいとしての幸福

たとえいかに平穏無事に日々を過ごせたとしても、完全に幸福になるとは限りません。真の幸福とは、自分の没落をも恐れずに理想と価値を目指して情熱を傾けて必死に生きる人間にこそ、訪れる。たえざる「自己超克」に生きることこそ幸福!!(ニーチェはこういうこと言ってます)。生きがいを持って生きていることこそ幸福なのです。

Ⅲ.  恵みとしての幸福

人は「たまたま」生まれたに過ぎません。”だからこそ”、人は存在しているだけで幸福だと言うことができるかもしれません。というのも、偶然的な誕生によって、人は「幸福になりうる存在」として在ることができているからです。そのような偶然性を自覚し「恵み(gift)」として捉えることが幸福に結びつくのです。(逆に、生まれないほうが「幸せだ・よい」とする立場を反出生主義と呼びます。)


思考の材料

使用文献

渡邊二郎『人生の哲学』角川ソフィア文庫、2020年(基本この本の記述をもとに書きました)

シェイクスピア『ハムレット』野島秀勝訳、2002年
セネカ「幸福な人生について」『人生の短さについて他二篇』茂手木元蔵訳、岩波文庫、1992年
ヒルティ『幸福論』草間平作訳、岩波文庫、1997年
増谷文雄『釈尊のさとり』講談社学術文庫、1979年

参考文献

田口茂『現象学という思考』筑摩選書、2014年
戸田山和久『哲学入門』ちくま新書、2014年
長谷川宏『幸福とは何か』中公新書、2018年
森村進『幸福とは何か』ちくまプリマー新書、2018年

久しぶりの投稿でした! 最後までお読みいただきありがとうございました😁

次回 ↓


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