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さよならの形があのとき味わったあなたの目玉と同じ硬さだったことなど
長々と書くつも そうだね。 りはない。書きたいから書くだけだ。予期せぬ別れもあるけれど、確実にこの瞬間で奇妙な幸福感と共にねじれながら潰えていくものもある。その別れはある種、憎しみにも近い。なにも、ひと同士の別れだけではなく、私が私自身 いちじくが腐りゆく速度と同じ速度であなたを嫌いになる に対して抱いていた希望のよ すう すう うなものから身を引き剥がすときもそうなのだ。私が私に対して諦めることが少しずつ増えているのに、その別れ方はいつまで経っても上手くならない。努力すればなんとかなる、とどこか頭の片隅で思っているけれど、努力したところでどうにもなら じゃこ じゃこ ない事柄はいくつも溢れている。愛で溢れているのではなく、諦めで溢れている。頑張ったよね? 頑張ってないよ。 それは頑張りじゃなくて見栄を張っただけっていうんだよ。
いろいろあったねの音がする雨がずっと降り続けていてほしい
知識を得れば得るほど、経験を得れば得るほど、諦めることが増えていく。世界の解像度が上がっていくに あなたとわたししかいない惑星でいつまでも憎み続けていたい つれて、見たくないものも見えてし 早く、早く。 まう。言葉の端に滲んだ後悔を、感じ取ってしまう。目の端に捉えたその後悔を、あなたの逡巡を。そんな目の澱みに、私は介入することはできない。そこから、抜け出すも、溺れるも、あなたの努力次第なのだから。コーヒーをマグカップに注ぐ。明け方 しん しん 降り続ける 特有の冷え込みに負けてクローゼットからカーディガンを取り出した。寝る前に消し忘れたほの明るい電球が私の肉体の輪郭を確か ほら、ほら。 にする。
ゆめゆめお忘れなきよう透明な愛がかつてそこにあったことを
眩しい光は痛みに変わる。真実は 泡が割れるとき聞いたの妖精たちの声を なにも救済なんかじゃない。太陽を見つめれば視覚を失う。プラトンの洞窟の比喩では、影を見つめる さん、さん。 のではなく、光の方へ向かうことが説かれるが、その光を見つめることは果たして本当に幸福に結びつくのだろうか。真実は時にグロテスクで、知らなければよかったと後悔 神様は神様のことなんにもしらないだってあたしたちずっと泣いてばかり することがある。知識は世界の解像度を上げるが、必ずしも解像度の高さは美しさと同値ではない。曖昧さが、複雑さが、捉えたままの感覚を美しく留めることがある。
もう済んだこと もう済んだこと もう済んだこと もう済んだこと
多く交わさない言葉のなかにも、こぼさない言葉に、伝えられるはずだった事柄に、思慮に、真実が織り交ぜられている。それを明らかにすることが、必ずしも幸せとは思わない。口にしないことで、一般化しないことで、美しく存在できる論理は存在している。確かな実感として、「そうであればいい」と祈ること、顔を思い浮かべながら幸せを願うこと。祈るという行為は、慎ましい医療行為に似ている。
Everything gonna be okay いつかただしくあなたを愛するから
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