いつも不機嫌なパン屋さん・どうか・救われますように

おつかれさま。ほんとうに、よく頑張ったね。去年とか今年とか、人間が勝手に作り出した区切りに過ぎないのだけれど、自らのtraceを振り返るためには案外に有用なものだと思う。この記事を読んでいるあなたの名前も、表情も、声も、わたしは知るすべもないけれど、あなたにとっての2021年が少しでも救われることを願っています——救われること:街路樹のかしましさを横目にやり過ごすことができるようになること/スマホの通知に泣かなくていいようになること/映画をみれるようになること/あなたの名前を声に出して、あなた自身が読み上げることができるようになること/指先の冷たさを知覚して、温めようとすることができるようになること——。

ある瞬間に、わくわくするような気持ちが生まれるとき。ひっそりと新しいものを自分のために買うことだとか、誰も気付かないだろうけれどきちんと身だしなみを整えて歩くことだとか。その緩やかな上昇を私自身のために維持させたい。

あの夜がまだ忘れられなくてにんじんをゆっくりと茹でつつ落ちゆく中性子星

さよならばかりのこの星にうまれてYES, YES, ANYWAY,かなしみふくらめ

ゆびを縫い替えながらあなたに触れる予行練習ゆきはしづかにふりつつ

サンタクロースは憑依中モルヒネくださいこのみじめなたましいに

SOMEDAYいつかふたりはこんなに 持て余している大きな思いやり

梅の枝ばちんと落ちるとき/生まれたはずだった/嬰児は哨戒飛行中で

むーっ(あなたがいつか私の苦しさに気付くことを願っています、呪いという名前で)。

利益の分配にあっては夜空のつめたさを半分にする必要があって

もう消えそうな酸素あなたはどこまでゆきますかボンベ全部あげるから

おつかれさまでしたの音であらゆるところから湧き上がる透明な遠慮

まあまあこれが最後じゃないから そういいながら消えていったテニスボール

清潔なプールではやく死にたい笑いながらのび太くんはどこにいるの

病棟に飛び散った愛の痕跡それはたしかあなたに浴びせられるはずで

わたしから塩素が出るならば一直線にまっすぐあなたの喉へと向かう二度と声が出ないように

踊り明かそうよいつまでもわけもなく苦しい70年代の音色に唇震わせて

ほんとうにすきならばはやくクッキー焼いてよ眠れないあたしのために

暗がりのなかで熱帯雨林見つけ出しつつ僕はコーラの匂いのする背中を追い求めていて

交感中じんじんと スミマセンタブンアノヒトハボクノコトガスキジャナイ

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