Tinderで結婚した元東大生が半生を振り返る Pt.2(小学校)

Tinderで結婚した元東大生が半生を振り返る Pt.1
https://note.com/waveformant/n/ndef85c028e96

前の記事でも書いたとおり,私は母の第一志望の小学校へと無事入学する.
小学校に入学した当初の私は縄張り意識が強く攻撃的な性格であった.
私は西澤裕英(仮名)という名前なのだが,出席番号が一つ後ろの西田くんを
「名前が似ている」というだけで敵視した.
「たらこくちびる」
私が最初に西田くんに話しかけた言葉である.

小学低学年の頃は何も特筆することがない.
隣の女の子にちょっかいかけることが続き,先生から「もう君は学校に来なくて良い.家に帰りなさい」と言われたくらいだ.つまりはお調子者だった.
ドッジボールが苦手で,よく解りもしないシャーロックホームズを読んでいた.
九九を覚えたのはクラスで後ろから2番目.
好きな事しかできない,やらない子であった.

3年生になると再び受験用の塾に通うことになる.
この時に仲良くなったのが同じ学校の佐野くん(仮名)である.
彼は分かりやすく不良であった.また小学校中学年までは成績もよかった.
彼は今ならば虐めと取られても良い事をしていた.自分より弱い男の子を見つけては遊んでいた.成長の早い男の子の体を珍しそうに弄っていた.
私は彼の行動を気持ち悪いと思ったが,嫌われる事が怖くて笑っていた.
佐野くんと私は塾からの帰路が同じであり,彼は毎日買い食いをしていた.
帰りのバスの中で私にお菓子を少し分けてくれた.

ある日のことである.急に佐野くんは私にこういった.
「俺,今,金ないんだよね.お菓子あげたじゃん?金くれよ,500円.」
小学生の私はお小遣いを貰っていなかったが,母の買い物のお釣りを貯めていたので彼の要求を承諾した.
しかしいくら机の中の10円玉や5円玉をかき集めても500円には及ばない.
焦った私には二つの選択肢があった.
母の財布から金を盗むか,一連の内容を母に伝えるか.
私は後者を選んだ.
母は激怒した.
「人にあげると言ったものを後から請求する事はおかしい,私が佐野くんのお母さんに直接話をつけておく」

次の日,佐野くんは私を見付けるとこう言ってきた.
「おい,お前.金のことを親に話しただろう.それで結局どうするんだ,払え」
「母に叱られたから持ってきていない」
「お前の都合など聞いていない.払え」
「払えない」
「もういい,人との約束を破るのだな,大嘘つきもの.泥棒め」
そういうと佐野くんは私のことを突き飛ばし席についた.

その後,彼は何かと授業中に私を罵った.
「こんな問題も間違えるのか,やはり泥棒はダメだな」
「先生,そんなやつに答えを聞いてもダメですよ.すぐに嘘をつく」
子供ながらになんと人の言い分を聞かない人間がいるのだろうか,と思った.
先生も佐野くんを都度叱ったが,塾は勉強を教える場であり人格形成の場ではない
クズでも成績に貢献すればいいのだ,根本的な解決には至らなかった.

それからというものの,佐野くんの嫌がらせは長く続くことになる.
嫌がらせを受けた私はどうしようもなくなり,母に転校したいという旨を伝えた,
当時の母は長男の受験によって精神を磨耗していた.
我が家は長男と母の喧嘩によって1日1枚食器が割れていた.
後で聞いた話だが当時の母は精神薬を常飲していたらしい.

急な末っ子からの転校の願いを受けた母は再び激昂した.
都内有数の小学校にやっと入れたのである.許すはずがない.
では私はどうすれば良いのか.母に尋ねた.
「佐野は頭のおかしいやつだ.
そんなもの,無視していればすぐに飽きてやめる.
正しいことをしていれば周りも気付く」
不良の要素を持つ佐野くんはいつもクラスの中心であった.
皆は佐野くんの言うことを信じ,私は物を盗む奴だと認定された.
佐野くんの嫌がらせは小学校卒業どころか中学校まで続くことになる.

Tinderで結婚した元東大生が半生を振り返る Pt.3
https://note.com/waveformant/n/n841765556f84




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