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今、ここにいる

あの選択をしたから
今、ここにいる。
あの選択をしなかったら
今、ここにいない。

半年前会社を辞めた。長年勤めた職場。人間関係も良好。居心地も悪くない。でも私は辞めるという選択をした。結婚以来久しぶりの人生の選択。
辞めるのなんて簡単だけど、私にとって辞める事へのハードルは高い。
正社員として働き、出産後はパートに切り替えて。いやちょっとまって。なんなら学生時代、アルバイトの時からずっと同じ職場だ!合計何年務めたの?自分でもビックリ!お疲れ様だよ。私。

でもまあ、忍耐力もない、ヘタレな私が、よくもまぁこんなにも長く同じ会社で働いたよね。おそらくあの時の自分に対する後悔?心残り?不完全な思いがずっと心の奥底にあったから辞められずにいたのだろう。

それは中学生の頃。部活でバレー部に入部した。運動音痴の私だが、友達に誘われてなんとなく。でも予想していた通り運動が苦手だから苦痛。人見知りだから先輩との上下関係も上手くない。仮病で休む事も増えた。ある日、顧問からおもいきりビンタされた。全員。連帯責任だって。なんの連帯責任かよくわかってなかったな。そのころ親にだって一度もビンタされたこともないのに…。昭和だね。今じゃ、体罰になるよ。
バレー部を辞めた。

次にバトミントン部に入部した。おもしろくなかった。すぐ辞めた。
高校ではテニス部に入部した。次こそは最後まで続けよう。
遊びと彼氏に夢中になった。辞めた。

私って何しても続かない人間。
卒業式なんかに、部活メンバーで盛り上がっているのを見ると、みんなキラキラしていてまぶしかったなぁ。青春だなぁ。そういう仲間って卒業後も繋がっていたりするでしょ?同じ時期を一緒に頑張った仲間って特別だよね。

そんな思いがずっと心の奥底でくすぶっていて、3人の子供達には最後まで続ける事の大切さと青春しなさい!って言ってきた。
娘はダンス、長男はバスケ。自ら選択した。今は親も部活にかかわる時代。おもいきり青春してほしかったから、人見知りの私だけど積極的に保護者とも関わった。
娘が踊っている姿はまぶしくて、長男の運動神経は幸い主人に似ていて、試合で見る姿は本当に私の子供?優越感に浸っていた。
心残りだった、不完全燃焼だった私の青春を子供達にリンクして、私も青春というものを少し味わえた気がする。

かたや次男は小さい頃からマイペースで運動音痴の部分が垣間見えた。
あ…。私に似ている。
男の子だし、これは早めにスポーツさせなければ。嫌がる息子をお兄ちゃんの入っているミニバスに無理やり入れた。同級生の他の子より早めに入部させていたこともあり、はじめこそは良かったが、運動神経のいい子達がどんどん頭角を現す。一人抜かされ、また一人抜かされ…。試合では部員が多いから、ベンチすら入れない時もあって。みんなより早く入部させたのに…。当の本人はマイペース。私がなぜか焦る。家や公園で私と自主練したりして。でもバスケ未経験な上に運動音痴の私と一緒に練習してもそりゃ上手くならないわ笑

主人はいつだって冷静。「そんなに焦らなくてもいいんじゃない?」
少年野球から高校までずっと部活を続けていた主人は、部活をやっていない私なんかよりずっと息子の気持ちをわかっていたんだね。
長男も好きなことさせたほうがいいんじゃない?と言う。
なんとなくわかってはいたけど…。もう後戻りはできない。なんの後戻り?ただの部活だよ。笑っちゃうよ。完全に親のエゴです!と当時の私に言ってやりたい。

今の部活は親も少し過熱し過ぎな気もします。私もそれに流されていたのだけれど。そのうちお腹が痛い、頭が痛いと言い出すようになりました。
試合でシュートを決めても、その日私が褒めてもちっとも嬉しそうでない息子。部活や試合では私の顔ばかりみる息子。
なにか違和感を感じました。

私の顔色を伺ってる…?

主人と話し合い、次男の気持ちを確認しました。

「部活辞めたい?」
「辞めない。」
「怒らないよ。嫌だったら辞めていいんだよ。」
「辞めたい…。」
「じゃ、辞めようか。」
「うん…。」

私は息子に選択肢を与えなかった。本人の為と思い、嫌がる息子に無理やり部活をさせて…。
あの頃、ビンタした顧問と同じじゃない?息子もどうして部活をさせられているのかわからなかっただろうに。
最低だよ私。最低だよ…。辞めていいんだよ。ごめんね息子。ごめんね…。

それから次男の表情も明るくなり、新しい友達も増え、毎日楽しそうでした。と同時に気が緩んだのかまるまると太っていきました。でも本来の息子の明るさと笑顔が戻って、あの頃はデブでもかわいいと思えた私。当時の写真をみると、よくもまあこんなに太っていたね。私は何を食べさせていたのかねぇ…笑

そしてここから息子の辞め癖オンパレードが始まります笑。
私はやっぱり何か運動をさせないとという思いがあり、(懲りないねぇ。どんだけ運動コンプレックスあるの?笑)
今度は本人の意見も聞いた上でまたテニスやら水泳やらさせてみたけど、案の定続かなかった。やっぱ、私に似てるわ。

でもあの頃の私に言いたい。その子にもっと勉強させて!
お勉強大事ですよね。なにやってんの私。2年後中学生だぞ!

次男は中学生になりバドミントン部に入部した。でも3か月で辞めた。(またかよ。)
理由は男子全員バドミントン部を辞め、ハンド部に移ることになったから。テニスもかじり程度やっていたから進めたけど、ハンド部に入部するといって聞かなかった。弱音を吐いたこともあったから辞めるか聞いたけど、卒業までは頑張る…。あら、どうしたの?
「もうこれ以上辞めたくない‼」
だって笑。
息子よ。万年ベンチで最後まで頑張ったね。

失敗も後悔も不甲斐なさも、全ては自分が決めた選択でしか感じる事はできないよね。他人が決めた選択じゃなくて。


今年次男は高校生になった。息子の高校には軽音部と写真部がある。今度こそ息子の大好きな音楽と写真で活躍できるかな。楽しんでね。
「俺、ハンド部入るから…。」
は?なんで⁉
「絶対好きなことしたほうがいいよ!」
もうこの頃には部活という呪縛から解放されていた私。
何度言っても今回ばかりはめずらしく頑なに自分の意見を主張する息子。
「どうして、ハンド部に入りたいの?」
「ハンドやりたいから‼」
(ウソつけ!中学生の時は早く引退したいって言ってたクセに笑。)

主人や長男がいうには、思春期だし女の子の目もあるんじゃない?だって。
そうなのかな。確かにスポーツしてる男子はかっこイイけど、軽音部だってかっこイイと思うけどなぁ…。
でも息子が自分で決めた選択。成長してるって事だよね。尊重しよう。

あれから4か月。部活は楽しいか聞くと、
「中学の時に比べたら、休みが多くて顧問も先輩も優しくて最高~‼」
本当だよ。あんたにとっては最高の部活。自主的に運動しない子だから、適度に体を動かしてくれるし、強豪校でもないから親もあまり関わらなくていいし、私にとっても最高だよ。

ふとある日、次男に聞いた。あんたは将来何したいの?夢はなに?
「ラッパーとDJ!」
 …。
「いいんじゃない笑」
やっぱり音楽好きなんだよね。


人は常に選択の連続。どの選択をしても、最終的にゴールは決まっている気がする。近道になるか遠回りになるかは自分の選択次第。遠回りになれば、失敗も増えるだろう。でもその分たくさん経験ができ、発見ができ、新しい自分に出会えるだろう。

続ける事にこだわらず、いろいろ選択して、新しい自分を発見しよう。
子供達、いろいろ選択して、たくさん挑戦してね。

私も仕事を辞めるという選択をしたから、今ここで文章を書いている。

「あの選択をしたから」 今、ここにいる
















#あの選択をしたから

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