奥野 翼

俳優と執筆の男 短編小説書いています 宮崎県宮崎市出身 つらつらと。 AmazonK…

奥野 翼

俳優と執筆の男 短編小説書いています 宮崎県宮崎市出身 つらつらと。 AmazonKindleで小説販売予定

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あの角を曲がれば 全編

「あの角を曲がれば」 小説×料理のペアリングイベント開催しました 無事に終わりました 来て頂いた方々、本当にありがとうございました 改めて、僕は幸せ者だなと感じました まさか自分の書いた小説が こんなにも多くの方々の目に届くのかと 人生というのは予測ができないことが たまに起きてしまうから やはり面白い 沢山の笑顔と真剣な目を 僕はたくさん見ることができて じんわりと噛み締めて その時を忘れないようにしました ありがとうございます イベントに来たけど時間がなくて

    • 眩しい記憶

      「二人とも、もう少し右かな。あ、うん、そこで」 「本当にいいの?一緒に撮らなくて」 「いいの。撮るほうが好きだから。しかも、誰が撮るの?」 「タイマーとかあるだろ」 「あ、そうだった。んーでもやっぱり二人で!」 春先になり 温かい春風が吹いている青と緑を背景に 若菜は写真を撮りたいと言った。 「なんだよ、こんな時に男二人で」 ハジメは少し照れながら森下の右肩に腕を回す 筋肉質の腕と体重が森下の身体を押してくる ハジメは昔から身体が大きいほうであったが 高校二年から筋トレを

      • 大切な時間

        久しぶりのnoteだ 包み隠さず伝えることができればいいが そんなこともできない気もする 私はここ2週間ほど、書けなかった サボっていたなーとか、時間を作っていなかったなーとか、色んな要素はあるが、とにかく何を言っても自分への言い訳になるので一言 見失っていた 自分自身を見失っていた 何をやるにも心ここにあらずで 日々の美しさと儚さに目を向けることを とても安易に受け流していた 強迫観念に近い何かが常に私の心の周りを包み、その灰色の霧の先に明るい道が続くということ

        • 僕らが見ている世界

          少し科学的な宇宙的な、量子力学的な話になるのだが 知っている人も多いだろう 有名な実験である『二重スリット実験』を 光の粒を飛ばしてその波の流れを観測するもの(だいぶザックリ)で、2枚の板を通った後の光の動き方をみたもの。だったはず。 実験をしてできた光の粒の波がなんとも不思議であったことから、実験者たちは、もっと細かく詳しくその光の粒たちを知るために、板を通るとき何が起きているのかを調べようと観測した。するとさっきとはまた異なる結果になる。 詳しくはここでは述べない

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        あの角を曲がれば 全編

          「好き」とか「嫌い」とか (短編)

          「人それぞれ、好みはあるからね。気に入らなかったのかな私のこと」 うつろな目をしながら隣で 短い前髪の分け目を気にして彼女は言った。 二人の目の前には 夜の街のネオンが広がる。 この街じゅうで奏でる音たちが 混ざりあって今私たちの世界を作っている。 「あんなこと言われるなんて、思わなかった。私たち、何か間違ったことしちゃったかな」 「まさか、俺たちは何も悪くないよ」 二人でなんとなく立ち寄ったバーで たまたまそこにいた客から、彼女は罵声を浴びた。 顔見知りではない、

          「好き」とか「嫌い」とか (短編)

          その思い出が今を彩るときもある

          世の中には沢山の音楽がある。 そのすべてを聴くことはほとんど無理なほどにある。 だからこそ、自分の好きな曲に出会えた時はたまらなく嬉しい。 忘れてしまった感覚を、時間が経っても思い出させてくれる。 僕にもある。 僕は小学校4年生の時に初めて触れたアーティストに夢中になった。 オレンジレンジだ。 あの時の衝撃は今でも覚えている。 あれは新しい年が始まる日だった。歳が近いいとこのお兄ちゃんと初日の出を見に行こうと約束した。祖父の家に親戚が集まって、思い思いの年末を過ご

          その思い出が今を彩るときもある

          3月の振り返り。イベント大成功。

          新年度になり、4月ももう数日過ぎましたね。 皆さん新年度はどうですか。 新年度の1月には多くの計画や目標を立てた方々も 一度立ち止まり、振り返り、軌道修正をするいい時期が この新年度のタイミングでもあります。 ちなみに僕は 新年に目標を立てていた「筋トレ」が2月半ばまでしか 続かなかったので、4月からまた再開しております。 いやはや、習慣になったはずだが、 僕は本当にサボり癖があります。 また新たに、自分のライフスタイルや やりたいことへの着手、準備を並行しつつ 日々

          3月の振り返り。イベント大成功。

          出来るだけいい時間を過ごす為に。

          日々を過ごしていると、人からの些細な言葉だったり、誰かの事を気にして(スマホの中を気にして)生きてしまうことが、特に今の現代は多いかもしれない。 僕自身そうなることは多々あるが、その時にふと考える。 その時間は勿体無い。 人生は短いのだ。 誰かや何かに時間を取られている時間は、積み重なって1日、1ヶ月、1年、10年とすぐ経ってしまう。 幼い頃は、早く大人になりたい。毎日が学校や習い事ばかりでとても退屈で、とても長く感じていた。 が、大人になると1年がとても早い。

          出来るだけいい時間を過ごす為に。

          あの角を曲がれば

          3/31のイベントで公開する小説の一部を紹介しています。是非当日は楽しんでもらえればと思います。 --------------------------------------- 「あの角を曲がれば」-If you turn the corner. おめでとう。よく頑張ったね。 母と一緒に見た合格発表通知。 来月、マコトは地元を旅立つ。  風が強い日。タクシーを降りて、両手いっぱいに食材が入った袋を抱え歩く。今日は友人宅でご飯を振舞う会があるのだ。日々これといった行事が

          あの角を曲がれば

          言葉を扱うこと

          昔、とある恋愛リアリティー番組で見た一コマが強烈に今も心に残っている。 「言葉はね。とても強くて難しくて、だから扱い方が分からなくなるの。相手にこれを言ったらどう思うかなとか、この言葉を使ったことでどうなるか。本当に想像するだけでも怖くなることがあるの。だから、私は言葉にできないの。考えて考えた結果、やっぱり言葉にできないの。だって、言葉って強いから」 確かこんな風な内容だった。僕にはそのシーンが今でも心の中にずっとべったりと張り付いたままだ。いつでも取り出せるほどに、大

          言葉を扱うこと

          居場所

          起きた朝のベッドの温もりと同じような 安心する場所があったらいい 僕はまだ見つけられないまま それでも日々を重ねていく 最近書き始めた小説は 人の気持ちが分からない 五感で感じることしか信じることができない そんな男を書いている 何が欲しくて何を言って欲しいか 僕はいつでも考えて、渡しては またひとり朝まで眠れぬ夜を過ごす 目に見えること以外は信じることが できないという男を描く事は とても容易で その実、僕もそうなんだろうなと 噛み締めるばかりである どこかで聞いた

          愛を知りたい 愛が曲がる 愛が遠のく 愛ゆえの 負けないように 転けないように 荒々しく吠える 怪訝な顔をした君がいる 本当にそれで大丈夫か 私はいつも 会話を繰り返す 私はいつも怪物に 睨みを利かせて 檻から出れないように ズンッと立ちさらす いつも求めては巻き戻す またここから求め 明け方になれども まだ覚めぬ夢の途中 愛と知りながら 叫ぶこともせず ただそこにいる 私と愛と 誠の心

          青春の二月

          じんわりと感じる 炎のあたたかさに 僕らの心は童心へ戻る あの若い日々を 空に向かって伸びた日を 今だけは鮮明に思い出す ドロまみれのくつ下 かさぶただらけの脚 赤いほほに笑い声 この景色の奥から 包み込まれるように 僕たちを囲う 負けたくなくて ほほを濡らした夕暮れが 過去になじんで今 キラキラと輝く あの日と同じ心で きしむ奥歯を かみしめ感謝し 燃やし続ける 雪消月 ________________________ 別に絶望を詠いたいとか 不幸な奴でいたいなんて 全

          青春の二月

          迫真

          影森 スズ 『最後の言葉』 目を瞑ってベッドで眠る時 切り離された孤独の世界を感じる時 青々とした芝生の上で 光り輝く空に顔を向け 陽の光に照らされると 目の前に現れる 赤褐色の瞼の色を見た時 僕は安心を覚える 母を想う時 大切な誰かと愛を交わす時 煌びやかな街と風景に 多勢が押し寄せ 取りこぼさないように この瞬間は二度とないという 眼差しに満ちた海へ 放り出される時 僕は強く不安になる 人は愛情や友情を与え受け取る 情という言葉があるから あげるもの、もらうも

          眩しい記憶

          「二人とも、もう少し右かな。あ、うん、そこで」 「本当にいいの?一緒に撮らなくて」 「いいの。撮るほうが好きだから。しかも、誰が撮るの?」 「タイマーとかあるだろ」 「あ、そうだった。んーでもやっぱり二人で!」 春先になり 温かい春風が吹いている青と緑を背景に 若菜は写真を撮りたいと言った。 「なんだよ、こんな時に男二人で」 ハジメは少し照れながら森下の右肩に腕を回す 筋肉質の腕と体重が森下の身体を押してくる ハジメは昔から身体が大きいほうであったが 高校二年から筋トレを

          眩しい記憶

          初めて書いた短編 誕生

          沢田圭介 サワダケイスケ  帰りの電車 時刻は23:24  沢田圭介は、いつもより少し遅めの電車に揺られ、平日にも関わらず電車の床に突っ伏して寝ている中年サラリーマンを横目に、乗り換え駅に着いたことを確認する。  いつからか癖になった、左足に跨いで乗せる右足をスッとほどき立ち上がる。座る時は両足を地面にしっかり付けて、骨盤が歪まないように座らなければ腰にも痛みがくるようになり、何よりそれが癖になると見た目も良くない。どこかで聞いたことがある話を思い出す。  乗り換えの電

          初めて書いた短編 誕生