奥野 翼

俳優と小説 宮崎県宮崎市出身 つらつらと。

奥野 翼

俳優と小説 宮崎県宮崎市出身 つらつらと。

最近の記事

命懸けで命が巡っている 

9月が終わる 2024年9月 ここまで激動な月がこれまであっただろうか、そのくらい激動な月だった。 9月になると徐々に、夏休みの終わりを告げられた学生たちが学校へ脚繁く通うようになり、夏らしいことは9月中に終わらせようと予定を詰め込む。 そんな9月に僕は、初めての個展を開く。 個展というと、すごく大袈裟だが 自分の作品をリアルに人に見て欲しい。 ただその気持ちが強い。 個展と言ったほうがわかりやすいからね。 本当は8月に個展をする予定だった。 だけど、何かと忙しく

    • 感謝という波

      ありがとうって伝えたんだけど ほんとうに届いたかどうか不安になるんだ あの夜が最後の会話だとしたら 僕は必ず後悔すると思うんだ 今目の前の君が一生懸命に 何かを伝えようとしているから 抱きしめるように向き合うんだ また同じ場所に戻って 何も変わらない自分を 鏡に映った景色を 見たくはないから イヤホンを外して外に出てみたんだ セミの鳴き声がまだ聴こえる昼に 涼しくなった風と芝生の匂い 青くて綺麗なトンボ ちょっとだけ大きめなアリ 辺りに散らばる松笠 君に感謝を伝えよ

      • にじゅうだい

         「悩みすぎて頭が痛い。心が苦しい。それでもやらなきゃ。失敗してまた挑戦をする。上手くいかないことの方が多かった私の二十代。この気持ちに共感してくれる人は多いと思う」 有名女性DJへのインタビュー記事の見出し。  幸子は気になって記事を読んでみるが、どうにも腑に落ちない。あと一時間ほどで二十代が終わるというのに、恋人や友達と会うわけでもなく、ネットの記事と会話をしている。  成り上がりの物語を綺麗に描くこの記事が、辛い過去を共感へと導くこの文章が、あまりにも出来すぎてい

        • 邁進 (まいしん) part 2

          「司、お前は本当に運がいいやつだな。この前の試合だって、お前がヒットを打ってから試合の流れが変わって逆転しただろ。おみくじだっていつも大吉だ。お前は本当に運がいい」 親父はいつも運がいいと言ってくれた。スポーツなどやったことのない親父だが、キャッチボールをしてくれた。他の親と比べて、球技全般下手くそな親父がたまに恥ずかしくなる時もあった。 司が中学一年の夏、全ての景色が変わった。 「失礼します。大久野さん、分かりますか?」 パッチリとした二重の大きな肩幅を持つ医者は、胸

        命懸けで命が巡っている 

          邁進 (まいしん) part.1

          朧げな記憶の中で私が見るものたちは、全てが一瞬でした。 時計は0時を指す。 今日も私は何もせずにいた。 目に映るのは真っ白い天井。 視線を下ろした先には焦茶色の時計。 その先にはつま先があり、視線を自分に近づけると腕から伸びる点滴の筒。首にはガッチリと固められたギプス。右目でしかこの世界を捉えていない。左目は陥没してしまったらしい。半目になっているのかもしれない。私の脚は動くのかわからない。左の小指が辛うじて動くだろうと思っていたあの時間は、本当にあったのかわからない。

          邁進 (まいしん) part.1

          どうにかこうにか(一文)

          最近のメモ帳をここに。 好きなことや、やりたいことをやる為に私は、日々を積み重ねているわけでありますが、その中で苦しむことがあるとすれば、それは本当の私を知られてしまったという絶望が一番でしょう。 やりたいことをやる為に色んなことをやってきた二十代ですが、それでも今私なりに好きなことをできています。その上で人生の中で何が辛いのか。日々幸せではあるが、敢えて考えてみると、これだと思った。本当の自分を知られる時、心地良くなるよりも先に辛くなる。もっと言えば私を知られることが怖

          どうにかこうにか(一文)

          緑道 全編

          第二回目の小説イベントを終えました。 お集まりの皆さま、本当にありがとうございました。とても良い時間でした。 また小説の内容を全て載せましたので、当日来れなかった方や、なかなか集中して読めなかった皆様、是非とも読んで頂ければ嬉しいです。 感想なども是非ともお待ちしています。 良ければ、いいね。お待ちしてます! オクノツバサ

          緑道 全編

          甘えた影

           二〇一八年 三月一三日  朝だ。窓から差し込む光を顔に浴びて、朝を迎えた。  コーヒーとトーストの匂いに囲まれた部屋で、私はその目をこすりリビングのほうへ目をやる。少し遠くで、ゆったりと丁寧に朝の準備をしている背中を認識する。  男にしては華奢な背中と、細く伸びた手足と、右肘をポリポリとかく癖。最近パーマをかけた髪の毛は、無造作の中にこだわりが見える、これがいいんだよね。パーマはセットが楽だし、汗かいてもいい感じというか。そんなことを言っていた。この朝の姿を見れるのは、

          緑道 「녹도」

          この記事はイベントに向けての宣伝です。 6月も半ばに差し掛かりそうだ。 後ろ髪を引っ張られるような春の気候はもう終わり、ここ東京はいよいよ夏への準備が始まっている。 太陽が近くなっているので、公園でベンチに座るだけでも肌がジリジリと焼けるのがわかる。もはや恒例行事のように、この時期になると今年の夏を乗り切れるのか不安になるだろう。 夏が始まる前に、僕は三十歳になった。 とうとう来たか。 思い描いていた三十歳には程遠く感じるが、それなりに楽しく生きている。これに名前

          緑道 「녹도」

          孤独

          ある程度孤独である必要がある それなりに孤独である必要がある 独りで夜を過ごすことが 次の自分への糧になる 楽しいと思うことを 楽しいと感じるのは素敵である 独りで独りを噛み締める そんな孤独な作業も等しく素敵である 孤独が無ければ 世に何も生み出せない 僕は最近 あまりにも人に恵まれている 少しだけ 独りでいる時間を作ろう

          眩しい記憶

          「二人とも、もう少し右かな。あ、うん、そこで」 「本当にいいの?一緒に撮らなくて」 「いいの。撮るほうが好きだから。しかも、誰が撮るの?」 「タイマーとかあるだろ」 「あ、そうだった。んーでもやっぱり二人で!」 春先になり 温かい春風が吹いている青と緑を背景に 若菜は写真を撮りたいと言った。 「なんだよ、こんな時に男二人で」 ハジメは少し照れながら森下の右肩に腕を回す 筋肉質の腕と体重が森下の身体を押してくる ハジメは昔から身体が大きいほうであったが 高校二年から筋トレを

          眩しい記憶

          大切な時間

          久しぶりのnoteだ 包み隠さず伝えることができればいいが そんなこともできない気もする 私はここ2週間ほど、書けなかった サボっていたなーとか、時間を作っていなかったなーとか、色んな要素はあるが、とにかく何を言っても自分への言い訳になるので一言 見失っていた 自分自身を見失っていた 何をやるにも心ここにあらずで 日々の美しさと儚さに目を向けることを とても安易に受け流していた 強迫観念に近い何かが常に私の心の周りを包み、その灰色の霧の先に明るい道が続くということ

          大切な時間

          僕らが見ている世界

          少し科学的な宇宙的な、量子力学的な話になるのだが 知っている人も多いだろう 有名な実験である『二重スリット実験』を 光の粒を飛ばしてその波の流れを観測するもの(だいぶザックリ)で、2枚の板を通った後の光の動き方をみたもの。だったはず。 実験をしてできた光の粒の波がなんとも不思議であったことから、実験者たちは、もっと細かく詳しくその光の粒たちを知るために、板を通るとき何が起きているのかを調べようと観測した。するとさっきとはまた異なる結果になる。 詳しくはここでは述べない

          僕らが見ている世界

          「好き」とか「嫌い」とか (短編)

          「人それぞれ、好みはあるからね。気に入らなかったのかな私のこと」 うつろな目をしながら隣で 短い前髪の分け目を気にして彼女は言った。 二人の目の前には 夜の街のネオンが広がる。 この街じゅうで奏でる音たちが 混ざりあって今私たちの世界を作っている。 「あんなこと言われるなんて、思わなかった。私たち、何か間違ったことしちゃったかな」 「まさか、俺たちは何も悪くないよ」 二人でなんとなく立ち寄ったバーで たまたまそこにいた客から、彼女は罵声を浴びた。 顔見知りではない、

          「好き」とか「嫌い」とか (短編)

          その思い出が今を彩るときもある

          世の中には沢山の音楽がある。 そのすべてを聴くことはほとんど無理なほどにある。 だからこそ、自分の好きな曲に出会えた時はたまらなく嬉しい。 忘れてしまった感覚を、時間が経っても思い出させてくれる。 僕にもある。 僕は小学校4年生の時に初めて触れたアーティストに夢中になった。 オレンジレンジだ。 あの時の衝撃は今でも覚えている。 あれは新しい年が始まる日だった。歳が近いいとこのお兄ちゃんと初日の出を見に行こうと約束した。祖父の家に親戚が集まって、思い思いの年末を過ご

          その思い出が今を彩るときもある

          3月の振り返り。イベント大成功。

          新年度になり、4月ももう数日過ぎましたね。 皆さん新年度はどうですか。 新年度の1月には多くの計画や目標を立てた方々も 一度立ち止まり、振り返り、軌道修正をするいい時期が この新年度のタイミングでもあります。 ちなみに僕は 新年に目標を立てていた「筋トレ」が2月半ばまでしか 続かなかったので、4月からまた再開しております。 いやはや、習慣になったはずだが、 僕は本当にサボり癖があります。 また新たに、自分のライフスタイルや やりたいことへの着手、準備を並行しつつ 日々

          3月の振り返り。イベント大成功。