【ショートショート】 映画と車が紡ぐ世界 chapter7
シザーハンズ ~ CR-Z 2011年式~
Edward Scissorhands ~ CR-Z 2011~
東京タワーにハートが浮かび上がる季節 Christmas
僕の家には 飾りの無い 右曲りのツリーがある
「今年こそ イブは一緒に過ごそうって 約束したのに！」
一年前・・・ ツリーの飾り付けをする 僕とカノジョ・・・
「仕事だから仕方ないじゃないか!」
Silver Starのオーナメントは 僕の右手の中で行き場を失った
「あなたは いつも 居ててほしい時に 居てくれないのね」
カノジョは Classic carに乗ったSantaを投げつけた
Santaとの交通事故を回避した僕は ツリーに向かって倒れこんだ
Gasharrrrnn!
右曲りのツリーと
タンコブをプレゼントしてくれたサンタクロースは
代わりに カノジョを連れていった
「あれから一年・・・ 何をやってもうまくいかないな・・・」
Foooooooooooooo!（ため息・・・）
モニターの中から
鋏の手を持つ人造人間エドワード（Johnny Depp）が僕を見つめる
「そう 君と同じように 空回りばかりだ・・・」
シャンパンを開ける
Foooooooooooooo!（また ため息・・・）
ルドルフ（オーナメント）は 真っ赤な鼻を一段と赤くして呟いた
「正月早々 風邪をこじらせ 春先には強烈な花粉症！
カノジョがいれば 特製のジンジャーティで無敵だったのにね・・・」
隣にいたスノーマン（オーナメント）も 遠くを見ながら呟く
「大切なパソコンがクラッシュしたときも
CR-Zに少年野球のボールがヒットしたときも
カノジョがいれば 笑い話にかえてくれたのに・・・」
「その通りさ よくわかってるよ・・・ 僕にとって彼女は・・・」 Zzzz
転寝する彼の部屋に ジンジャーティの香りが漂った
右曲りのツリーには
トナカイとスノーマン、そして48個の天使が飾られれていた
彼がこの一年間CR-Zで通った ”Christmas Toys”
そこで手に入れたオーナメントたちは
港の見える丘公園のポストから カノジョに送られていた
Let it snow-Frank Sinatra
カノジョはLet it snowを口ずさみながら
彼が目を覚ますのを待っていた
外はエドワードが削ったような 真っ白な雪が降り始めていた
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