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幽霊と生きている人間

夏ですねえ
夏は怪談👻

子どものころ幽霊がめっちゃ流行ってた。多分、テレビの影響である。

夏休みの昼間にテレビをつけると、心霊写真特集だの怪談特集だのが流れていた。扇風機にあたりながらぼんやりと眺めていると、なんだかその辺りに幽霊がいるような気がした。

だいたい「幽」にしても「霊」にしても漢字自体の造形がすごく怪しくてずるい。これまで幽霊は、雰囲気一発勝負で我々に勝ち続けてたんじゃないかと思う。


今となっては(経験したことのある一部の例外を除き)幽霊なんてものはさらさら信じていないが、子どものころから若いときは割とまじめに信じていた。

一つには解離性障害がある。

普通に部屋にいるときや外出中も何かのはずみで人の濃密な気配を感じるのである。これは解離によって自分自身の拡張された気配を感じていたのだな、ということが今ではよくわかる。しかし、当時それを知らなかった私は、幽霊はその辺にいるに違いねえずらと思い込んでいた。

震災後の荒れ野では、おそらくは家々の玄関だったと思われるところ(コンクリの一部が残っていたりする)に人の気配だけが点々と散らばって座っているのを感じた。

第一、自分の右後ろには常に人の気配があって、守護霊がー背後霊がーなどと呪文のように繰り返すテレビ番組を頻繁にやっていたこともあって、この右後ろにいるものはなにかの霊や物の怪の類だと思っていた。

正体がわかればなんのことはない、それ全部自分の一部(パーツ)やで、である。しかしパーツたちもさあ、今みたいに「うちらおるでね」とさらっと言ってくれればよかったのに。パーツたちとの窓(window, 技術用語、感覚的に一番しっくりくるのはこれ)ができたのは最近だから仕方ないけどさ。

それにね、家族も皆幽霊を信じていた。よく考えれば、全員が酷い家庭環境で育ったわけで、家族の証言は幽霊の存在の何の根拠にもならん。


幽霊は雰囲気一発勝負
所詮は雰囲気

やっぱり生きている人間が怖い

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さて、私はサピオロマンティックである。こんな感じ(👇)

人の「知性」にとても強く惹かれる。無意識に。抗えない強い力で。
理由は知らないが、そうできているから仕方ない。
子どものころからずっとそうだ。

ただし、その人に惹かれたからといって、恋愛感情や性的な感情を持つわけではない。純粋にその人に惹かれるのだ。そして、私のサピオロマンティックには性別フィルタがない。惹かれるかどうかに、その人の性別は何も影響しない。例えば、女性であっても男性であってもノンバイナリーであってもトランスジェンダーであってもアジェンダーであっても一切何も関係がない。

知性を無意識のうちに感じるか

条件はだた一つ。それだけ


ところが、ずいぶん最近になるまで気づかなかったが、世の中の結構な割合の人が、惹かれるということ≒恋愛感情や性的な感情を持つこと、らしい。


すると何が起きるか。サピオロマンティックが発動したときに、あいつは恋愛感情や性的な感情を持っていると誤解されて、意図せずにいろいろな問題が発生することになる。(最近は十分に注意するようにしているのだが)惹かれると自然にテンションがあがって、相手への態度や言葉に出てしまうらしいことが問題をややこしくする。

例えば
①ゲイと間違われて酷いことを言われる(惹かれた相手が男性)。
②相手に至極警戒される(惹かれた相手が女性)。

まあ、でもこれらは大したことない。ゲイにしても昔はいろいろ言われるのが嫌だったけど、今は別に構わない。そう思いたければ勝手にどうぞ。違うけど。ゲイだとしたらなんやねん。お前に何の関係があるんや?という気持ち。

そして女性が警戒するのは当たり前である。それに話をしているうちに恋愛感情や性的な感情を持っていないことは普通は相手に伝わるので、問題がなくなることも多い。相手との相性によっては、シンプルな友情関係が築かれることもある。

一方、テンションがあがったこちらを見たからか、相手側が恋愛感情を持ったらしいことがあって、あのときはちょっと困ったというか、困ったことが実際にあった。そして、最近になってパーツ(まり)から教えてもらったのだが、状況は結構深刻だったらしい。

どうやらストーカー的な状況になっていたようだ(多分、女性の人にはよく理解してもらえると思う。パートナーの彼女もストーカーにつきまとわれたことがある)。

らしい、とか、ようだ、とかいうのは、要するに自分には恋愛感情や性的な感情が何もないために(趣味が同じ人との認識だった)、ぼーっとしててあまり真剣に捉えていなかったから。

当時あったことを整理して考えてみると、どうやら私の過去のこととか調べてたみたいな形跡がある。まあ、確かに、あのときはなんか変だなとは思っていました。それに、パートナーの彼女といるときにだが、おかしなことが散発的にあった(当時はたまたまそのときに起きた別のことだと思っていたけれど、危険を感じたこともあった)。その人が関与しているという確証はなく、今となっては何も検証できないけれど。


自分の気持ちすらよくわからないのに、人の感情はもっとわからない。

生きている人は雰囲気勝負でない分、幽霊よりも怖い。

やっぱり生きている人間が怖い
夏に限らずね


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記事中、「性別フィルタ」という言葉は、こちらの記事を拝見して使いました。一度見たらもう他の言葉は考えられないというか、これしかない、というシンプルで透明でとても良い言葉だと思います。

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ところで….

「経験したことのある一部の例外を除き」ってありますよね。

一つだけ、幽霊としか思えないことがあります。

今でも怖くて言えないけど