佐鳥ゆう

パートナーの彼女と鳥が家族 解離性障害らしい たまに詩や短い話を書いたり、焼き菓子を作…

佐鳥ゆう

パートナーの彼女と鳥が家族 解離性障害らしい たまに詩や短い話を書いたり、焼き菓子を作ったりします he(preferable)/they

マガジン

  • 解離性障害 

    解離性障害らしいことのはなし

  • パーマネントカーマイン

    創作集です。

  • まりの詩

    23番(まり)の詩をまとめています。

最近の記事

多分わかったこと

このnoteには、私がノンバイナリーらしいことに気付いた後の感じ方や考え方の移り変わりが綴られている。一つ一つはそれほど深くは練られていない雑な記事ばかりだが、読み返してみると、思いのほか変化し続けていることがわかる。 一度気付いてしまうと、自分は本当にノンバイナリーあるいはトランスジェンダー?、それともやっぱり違う?で悩んだ。そうだと思う気持ちと、否定する気持ち。その比率は、常に変わり続けた。 パーツたちの存在に気付いて解離性障害らしいことがわかってからは、ノンバイナリ

    • 今回は性別の話 最近ちらほらと聞く言葉でいうと、私の性自認は、多分、男性である。 「多分」というのは、自認という言葉の定義がよくわからないから。社会的にどう自分を認めますかというのであれば、男性で間違いない。でも、本当に自分を男性と思っていますか?と聞かれたら、答えは「わからない」になる。 それは解離のために、比較的はっきりと感じることのできる女性のパーツが何人かいるからかもしれない。彼女たちの存在が性別の感覚に揺らぎを与えていることは確かだと思う。例えば、考えている内

      • 草原をわたる風

        美しい声の人たちがいる。 低い共鳴音を含む声の人たちである。 性別は問わない。だが、女性であれば、表面にある高い音と低い共鳴音が合わさることでとりわけ美しく聞こえる。 低い声の女性が好みなんでしょうと言われればそうかもしれない。 人は自分にないものに憧れる。 まったく低くなく(低さなんかどこにあるのか?)で、ふにゃふにゃとした印象を与えるらしい、おまけに離人感があるときはピッチが不安定(高くなることが多い)かつ平板でそもそも自分が喋っている感覚がなくて(口が勝手に動い

        • アラセイトウ

          猛暑はおさまるけれど来月の中旬ごろまで残暑が続くらしい。これからは、厳しくて長い夏が普通になっていくのだろう。 それでも秋は来る。 秋がそのピークを迎える頃、花屋の店先には、まっすぐに伸びた茎に白く小さな花と蕾がたくさんついた花が並ぶようになる。 ストック(アラセイトウ/Matthiola incana)である。白以外にも黄、ピンク、マゼンタなどがある。 白のストックが好きだ。 白のストックを見ると、前に飼っていた鳥を思い出す。 彼女は、とりわけ好奇心が強くて勇敢

        多分わかったこと

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        • 解離性障害 
          47本
        • パーマネントカーマイン
          33本
        • まりの詩
          6本

        記事

          【詩】きこえる

          よこ… …… よこたわ よこたわる よこたわる よこたわ たわって たわって たわってる いる そら そらが そらがみえ そらがみえる みえ み みえる くら くらい くらいところ せま せまい せまいくらい せまいくらいところ むこ むこう むこうに そらがみえる みえる めを めをほそめ ほそめたみたい みたいに そらが そらが そら そら そら そら… …… …… みえてる とおく とてもとおく とおくとおくに そらがみえる … き… きこえ きこえる こえ こえ こえ

          【詩】きこえる

          All your base are belong to us

          最近、イソヒヨドリの綺麗な声が毎日のようにすぐ近くで聞こえる。どうやら、今住んでいる部屋を含めた広い範囲が、あるメスのイソヒヨドリの縄張りにすっぽりと入っているらしい。この子が縄張りを巡回しながら、要所要所で歌っているようだ。 だいぶん前からオスの声(メスよりもメロディが複雑で長い)はよく聞こえていたが、メスは見かけるだけだった。イソヒヨドリのペアはヒナたちがある程度大きくなると、オスとメスで場所を分ける(ヒナも分ける)らしいので、今はこのメスが一帯を支配しているようだ。多

          All your base are belong to us

          【詩】坂道

          夏の終わり 学校帰りに駅からの坂を下る 黄色い自転車はスピードを上げて 踏切を渡る 線路の一つ一つを超えるたびに ガタガタと響く大きな音は 私たちを引き離そうとして うまくいかない ひとつめで人差し指を ふたつめで中指を みっつめで薬指を よっつめで小指を 腰に絡めて 頬を背中につける ねえ 知っとう? 正面に見える月 横向いて知らん顔をして うちらのことをちょっとだけ引っ張ってる 自分の方に 自分も今気付いたよね 私が後ろにいることに ちょっとだけ引っ張ってみたんよ

          【詩】坂道

          ぽろろんぽろろん

          確かお盆のあたりに回復しましたよとか書いてたように思うんですが、その後、8月の終わりごろに細かなフラッシュバックらしきものと離人感(だと思うんだけど)が発生しまして、つらい感じになっていました。 それにnoteでおすすめに出てきたカテゴリ「虐待サバイバー」にある記事をうっかりいくつか読んでしまったのが良くなかった。気分が落ち込んでしまい、しばらく何も読まないようにしていました。今は大丈夫です。 ところで、不思議なことに、気分が落ち込んだ原因の一つはエアコンの風による体の冷

          ぽろろんぽろろん

          天使

          どーん、バリバリバリバリ 近くを雷が通ったらしく、驚いて落ちてしまった。 せっかくうとうとしてたのに。 たくさんの人が駅のあたりにたまっているのが見えたので近づいて覗き込むと、記録的短時間大雨情報とか運転見合わせとかが表示されたモニターを皆眺めていた。 時間が経つにつれてどんどん人が増えてきて、これ全部魚とかだったら面白いのになとかどうでもいいことを考えていたら、少しは仕事をする気が出てきた。 ここしばらく10年ほどは仕事をサボりがちだった。 定期的に上役からどうな

          生きる意味って

          夏は夕暮れ 夏という季節の一番の美しさは夕暮れから宵にかけての空の光にあると思う。他の季節では感じることのできない複雑な光と生きものの気配。そして匂い。 意外と夏は繊細なんだなということがよくわかる。 生きることに意味などないと、小さなころからずっと思っていた。 生まれたことに動機も意志も何もない。もしかすると自分以外の他の人の動機や意志がそこにはあったのかもしれないが、それは私の知ることじゃない。 他の無数のものたちと同じく、生物としてのCodeに則って生まれ、プ

          生きる意味って

          【散文詩】ひつじ

          僕にはちいさな子がいる。 いるというかくっついているというか右側に佇んでいる。 その子は、ちょうど僕の肘のあたりに頭がくるくらいの大きさ。ずっと変わらない。 歳はわからない。僕が子どものときからずっといて、家族はみな同じような子を見かけたことがあると言っていたので、もしかして座敷童?と思っていたけど、僕が家を出ることにしたらそのままついてきたらしい。 家にいるときは、たまに階段を上り下りする音が聞こえていた。でもそれから階段のある部屋には住まなかったので、長いこと小さな

          【散文詩】ひつじ

          回復

          ※虐待と自殺に関する記載があります。 ※虐待シーンが含まれた配信ドラマに関する記載があります。 ※自殺を連想させるシーンが含まれた映像(イギリスの慈善団体であるCampaign Against Living Miserably(CALM)とタイアップしたMV映像)へのリンクがあります。 ☆ ☆ ☆ 体調と感覚がほぼ元に戻った。まずは回復。 初めてのことも多くて、正直なところ今回はちょっと参ってしまった。せっかくの連続した休みに2日ほど寝て過ごすことになったし。 寝て過

          修理の時期

          ※性的な話があります。 ※具体的なエピソートは出てきませんが、性加害に触れています。 ☆ ☆ ☆ ひなたさんが見つかった何日か後、怖い夢を見た。 もともと明晰夢を見ることが多く、明晰夢を見たときには現実と夢の中の世界が曖昧になりがちである。目が覚めてからしばらくの間、幻覚を見ることも多い。 夢から現実に戻るのにしばらく時間がかかることもある。でも、怖いと思うことはほとんどない。幻覚にしても、動物や人の顔、景色、本のページ、布の模様などが記憶の中からランダムに出てくるだ

          修理の時期

          ひなたとセブンシブリングス

          今週の日曜日、初めてのパーツに会うことができた。 朝の夢の中で突然耳元にささやきかけてきた。 昨日の詩「日のあたらない場所」は、そのささやきを記したものだ。ただし、公開するために体裁(要するに見た目)を整えてしまっていて、本当の意味での詩とは言えないかもしれない。私の記憶や感情が閉じ込められたパーツである彼女のささやきはもっと生々しく、親密なものだった。 10代の頃、実家にいて、引き裂かれ押しつぶされていたときの私の記憶 とはいっても、このnoteはもう私の心的な回復

          ひなたとセブンシブリングス

          【詩】日のあたらない場所

          不安 理由のない 漠然とした 不安 お腹がざわざわする うなじから胸 右の脇腹に沿って 内側を撫でられている感じがする 世界は 小さくも 大きくもなって 暗い場所にいる私をじっと見ている 私は 服を脱ぎ 冷たい床に横たわり 壁を見つめる 窓のない暗い脱衣所で トイレの冷たいタイルの上で 汚い行為にふける それを見ている私 そして産み落とすのだ 血にまみれた卵たちを ごめんなさいを泣いて繰り返しながら ねえ知ってる? その間だけ世界は私のものだったこ

          【詩】日のあたらない場所

          性別/イマネ・ケリフさんのこと

          パリオリンピックの女子ボクシング、イマネ・ケリフ選手の件、本当にうんざりする。 何も知らないし知ろうともせず、そのときのぱっと頭に浮かんだぼんやりとした何かにだけ乗って、特定の個人に対する永久に消えることのない悪意のある文章を公然とバラまきまくって何が楽しい? 何か良いことをした気分になる? 世の中の間違いを正してやるとでも思ってる? *** ざっと見た限り、彼女に対する誹謗中傷の根拠になっている何かは次のとおり。 ①トランスジェンダー(おそらくMtFのことだと思

          性別/イマネ・ケリフさんのこと