【1分講義パロディ】汚いって何だろう (人類学入門:3)
このnoteは「汚いとは何か」がテーマなため、全体的に汚い言葉が使われています。もしかすると気分を害する方もいるかもしれないので、不安な方はここで見るのをやめていただけると嬉しいです!!
教授「道端に『犬のうんち』と『人のうんち』が落ちているのを想像してみてほしい。さぁ、どっちが汚いかな?」
この講義はこんな中学生の会話みたいなノリで始まりました笑
とは言っても、この質問は至って真面目で「汚い」という概念の本質に迫る問です。さて、皆さんはどっちが汚いと思うでしょうか?(真顔)
恐らくほとんどの人が「人のうんちの方が汚い」と思ったでしょう。道端に人のうんちが落ちているなんて、想像しただけで嫌な気持ちになりませんか?おそらく皆さんもそう感じたと思います。後者の方が汚いと思った方が大半なのでは無いかな。
そして、ぼくが「うん、後者の方が汚い!」と確信したところで、教授は次の質問をしてきました。
教授は「ではそれはなぜでしょうか? なぜ犬のうんちよりも人間のうんちの方が汚いと感じるのでしょうか?」
うっ!!こう問いかけられた時、少なくともぼくはスッと答えることが出来ませんでした。皆さんはこの質問への答えを思いつくでしょうか。
この二つのうんちの間で、「雑菌の量が違う」とか「ウイルスの繁殖度合が違う」など、「明らかにこっちの方が汚い!!」と言えるような判断材料があれば、すぐに答えることが出来ます。
でも、、、、無いですよね。何となく「当然人間のうんちの方が汚い」というイメージを頭の中に持っているだけで、「これこれこうゆう理由で人糞の方が汚いです!!」という論理的な説明はできないのです。
うぅんんん、、、、
ぼくがボディを喰らって弱っているところ、もう一つ例が挙げられました。今皆さんの口の中には、ある程度のつばがたまっていると思います。
それ、汚いですか?
別に汚くないですよね。普段「マジできたねぇ~」と思いながら唾をのみこんでいる人なんて殆どいません。では一度、そのつばを机の上にダラ~っと垂らすイメージをしてみて下さい。イメージできましたか?
その机の上にあるつば、それは、、、、、汚いですよね。
机の上に、自分の唾とちょっとした汚れが落ちているのを想像してみてください。どちらも直ぐに拭きたくなるでしょう。少なくとも、机の上に垂れている水と唾を比べたら、後者の方が明らかに汚いイメージがあります。
でも、いやなんでやねん!!と思いませんか?
なんで机の上に出したら汚いものを、ぼくたちは常時口の中に分泌させているんだ!!おかしいだろ!!
そう!この二つの例を踏まえてよく考えると、ぼくたちの「汚い」という考え方はあまり論理的ではないんですね。
うんち、つばに対する「汚い」という感情は、実は絶対的なものではなさそうだと。
さて、このような「僕らの固定観念に関する問題」を考えるとき、人類学者は他の文化を見ます。今の西洋的な考え方に染まっていない、過去にあった資料や世界中にある民族の文化を参照して、人類学者はその「汚いとは何なのか問題」を考えました。
するとやはり、ぼくたちの持つ「汚い」という考え方は絶対的なものではないことが分かったんですね。
イギリスにいたジプシーという集団はその例の一つです。ジプシーは割と最近まで存在していた集団なのですが、彼らはトイレなどを一切使いません。うんちを外でしてそのまま置いておきます。彼らはそのポツンと落ちたうんちを見ても、全くもって汚いとは思わないのです。
その分彼らは「外から自分の体内に入って来るもの」には強い関心があります。だから彼らは外でうんちをするのであって、例えば割れた皿を使って何かを食べることにすら強い抵抗を示し、汚いと感じるのです。ぼくたちからすれば「はぁ?割れた皿で食べることの何が汚いの笑」といった感じですが、彼らからしてみれば「はぁ?うんちを置いとくことの何が汚いの?笑」と感じるわけです。
じゃあ、これを踏まえた上で「汚い」とは一体何なのでしょうか。
教授はこのような説明をしていました。
汚いものとは、それ自体として「汚く」「穢れて」から排除されるのではなく、分類秩序から零れ落ちたり、排除されるから「汚く」「穢れて」いる。「不浄性」は、関係性の産物であり、事物そのものに内在しているのではない。
つまり、ぼくたちの頭の中にある「分類」や「秩序」からはみ出しているものをぼくたちは「汚い」と感じるのであって、汚いものはそれ自体が「汚い」わけではないということです。
ぼくたちは「道端に犬のうんちが落ちている」ことよりも「道端に人間のうんちが落ちている」ことの方が秩序からはみ出ていると認識するわけです。
だから、「犬のうんちより人間のうんちの方が汚い!!」と感じるのだそうです。
ほぉーーー。面白いですよね!ぼくはこの話、超興味があります。
でも、この考え方に対する疑問点もちょこちょこあるので、今度詳しく調べてみようかな。
というわけで、汚い言葉が多い中最後まで読んでいただきありがとうございました!
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