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聖女の仮面を剥ぐ:『聖女の救済』/東野圭吾

『聖女の救済』(著:東野圭吾)読了。
ガリレオシリーズはやっぱり面白い!



ややネタバレがあるので未読の方はスルーしてください。

叙述トリック系の小説は
「何も知らずに素直に読む」ことが何より大事!
ほんの少しの事前知識でも読後感に影響するので注意です。


大丈夫ですか?



あらすじ

男が自宅で毒殺された。
しかし動機のある妻には鉄壁のアリバイがあった。
湯川学が導き出した結論は虚数解。驚くべき事件の真相とは?

救済という言葉

■救済
 救い助けること。

『聖女の救済』、
タイトルにインパクトと違和感がありますよね。

まず聖女は誰か。
初めは主人公(毒殺された夫の妻)だと思ったけど
彼女には夫を殺す強い動機がありました。
夫に「こどもが出来ないから離婚しよう」
と告げられた挙句、夫は妻の部下と不倫していたんですね。
妻に離婚宣言をした直後、夫は自宅でひとり毒殺されました。
しかし妻は遠方に行っていて自宅にはおらず、
どれだけ調べても完璧なアリバイがありました。

作中ではずっと「それでもたぶん妻が犯人なんだろうな」
という印象で進行していきます。
そうなると「聖女」って?殺人犯とはかけ離れています。
他に出てくる女性は警官と、不倫相手…。
女性警官が犯人を逮捕するから「救済」?
それはなんだかつまらないし、不倫相手はさすがに…。

「聖女」は誰を「救済」しているのか、
早く知りたくてどんどん読み進めてしまいました。

最終的にトリックはみんな大好き湯川先生が見破り
犯人は見事逮捕されます。
でもここで終わらないのが東野圭吾です。

トリックが破られて尚、最後の数ページで驚かされるんです。
(ここは実際に作品を読んで頂きたいところ!)


先入観

多くの読者が同じ先入観を抱き、
こう勘違いするだろうな~という細部まで計算されていて
改めてこの著者はすごいなと。

東野圭吾は何も書いていないのに、
私が勝手にそう解釈して勝手に騙されていたんです。

「何かあったから殺した」
のではなく
「何かあるその日まで救済し続けていた」
というトリック。

まさしく彼女は聖女でした。言葉のままです。


感想

東野圭吾作品はどれを手に取っても面白いです。
「そんな大御所ばっかり読んで、逃げてるぞ」
と言われる(誰に?)気がして一時期離れていましたが、
面白いものは面白い。

映画も大好きなんですが、
小説は脳内で自分劇場を開くようなものなので
こっちの方が好き勝手できて好みです。

5月はたくさん本を読もうと思います。


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