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ひとりに戻る時

女が少し苛ついたように男に絡む。
傍から見ていたら取るに足らない事で。

私がいてこの状況か。

男はただ笑っている。
もうとっくに諦めているんだ。
男は女に苛つかれている事を充分感じとっているが、それを覆すほど
女を愛することはもうできない

その事実にますます女は苛つく
女のイラつきも、男の諦めも
もうどうする事もできない

前に二人に会ったのは5年前
まだはじまったばかりだった。
お互い家族から離れた後に
またこんな幸せがやって来る事もあるんだと新しい可能性を見せてもらった。

今はもう流れる空気がすっかり変わっていた。かろうじて惰性で繋がってるだけ。
どちらも離れゆく心を止めれない。

女が男に投げつける気分の悪くなる口調を聞きながら
こうやって男女関係は終わっていくんだったと思い出していた。

まだ続いているという体で成り立つ場に居合わせた私は
それに気づかぬほど鈍感でいるしかなかった。

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