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心理学と法律のクロスロード 社労士に心理学がmustな理由③


       ③平成=“助走の時代”から、令和の扉へ

社労士ならば知っていること。日本の労働が世界的に見ても特殊だということです。

時間で給与を払う、成績で解雇できない、故に当初の契約は広範囲でミスマッチが起こりやすい。

マスコミも例外ではありません。新聞記者が時給で賃金を支払われる国というのは珍しいのではないでしょうか?(労基法の38条参照)普通は記事1本につき報酬がでます。

私が新聞社に入ったのは平成の始めです。職場に問題があれば、当たり前のように「それはその人、個人の問題だから」と言われ、企業全体で取り組む、などは雰囲気としてありませんでした。正社員で社内の出世階段を上ることが“勝ち組”であり、途中で退社することはまるで人生の敗北者のようにせせら笑われました。

私にとって忘れられない出来事があります。おそらく人格障がい者だったのか、ある女性社員から「飴をなめるから太るんだよ!デブ!」と5分にわたって顔面を殴打され続けました。会社に訴えると、当時の上司が「おい!中條、お前な、いちいちお前の話を聞いて“一緒に考えましょう”なんていう奴が会社にいると思っているのか?なめるな!」

さらに別の上司は「殴られるから異動したい?そんな主張が通るか!辞めれるものなら辞めてみろ!」。

そしてまるで何事もなかったように仕事は進んでいきました。マスコミがまだまだ儲けていた時代です。どんな理不尽な思いをしても、私の声がこの上司らや会社に届くことはなかったのです

このくやしさは今でも涙が出ます。

平成の30年、正社員万歳の傾向はさらに加速していくことになります。会社は正社員をキープするため人件費のかからない非正規雇用を増やしていきます。

そして、どんなに相談窓口を探しても、私が抱えていた悩みや苦しみを相談できるところを見つけることはできず、「ならば自分がなろう」と、臨床心理士と社労士の資格をとりました。

「その人らしい生き方」など否定された30年間。筑波大の落合陽一さんが「平成という助走の時代」と表現し、私は思わず膝を打ちました。

そして、助走は加速し、いよいよ時代が一気に動き始めます。会社が“それまでの役割”を終え、「いちいちお前の話を聞いて“一緒に考えましょう”」というときが来たのです。今までの思いを抱きしめる時(とき)が来たのです。

続く(5回の③)

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