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生理前のイライラ…「PMS(生理前症候群)」って何?対策も知りたい!【医師監修】

■生理前のだるさやイライラ…どうすればいいの?

定期的にやって来る生理は女性にとって憂うつなもの。
お腹の痛みや眠気、だるさなどを引き起こすだけでなく、生理のモレにも気を付けなければならない…しかも生理が来る前から何となく体が本調子ではなくなるという方も多いでしょう。

生理前に見られるだるさイライラ女性ホルモンバランスの変化によるもの。生理がある女性であれば誰もが一度は経験する症状であり、うまくやり過ごしていくしかありません。

しかし、あまりにも強い症状が出て日常生活などの日常に支障を来しているような場合には「PMS(生理前症候群)」という病気かもしれません。

そこで今回は、PMSとはどんなものか詳しく解説します。
PMSへの対処法もご紹介しますのでぜひ参考にしてください。


■PMS(生理前症候群)とはどんなもの?

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PMS(生理前症候群)とは、その名の通り、生理前だるさ眠気を感じたり、イライラしやすくなったりするといった身体的・精神的な不調を引き起こす病気のことです。
多くは生理の3~10日ほど前から症状が現れ、様々な症状を引き起こします。
まずは、PMSの症状発症メカニズムについて詳しく見てみましょう。

・PMSの症状

PMSの症状は大きく分けると2つ、「身体的な症状」「精神的な症状」があります。
身体的な症状でよく見られるのは、お腹腰の痛み頭痛むくみ乳房の張り痛みなどです。

また、生理前の体温は女性ホルモンの影響でいつもより高め
身体が火照る・汗をかきやすいといった症状が見られる方も少なくありません。

一方、精神的な症状としては、イライラ、気分の落ち込み、眠気、だるさ、集中力の低下などが挙げられます。

症状の現れ方には個人差があり、身体的な症状のみが強く現れる方もいれば、身体的・精神的な症状が両方現れる方もいます。
症状の強さも人それぞれで、「ちょっと身体が変だな」と軽く感じるだけの方もいれば、非常につらい症状に襲われて寝込んでしまうような方も。

特に重い症状が現れる方は、生理に伴う不調を誰にも相談することができずに我慢して生活を送り、生理前になると憂うつな気分が強くなってしまうというケースも少なくありません。

しかし、PMSの特徴は、生理前にひどい症状があったとしても生理が始まれば自然に改善していくことです。

・PMSの発症メカニズムは?

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実のところ、PMSがどのようなメカニズムで生じるのははっきりしたことは分かっていません。

しかし、生理は2種類の女性ホルモン・エストロゲンプロゲステロンの分泌バランスの変化によって増殖した子宮内膜が剥がれ落ちることによって生じる現象です。

生理の約2週間前には排卵が生じて、排卵が終わるとプロゲステロンの分泌が盛んになります。
そして、生理を迎えようとするころにはエストロゲンもプロゲステロンも一気に分泌量が低下します。このような女性ホルモンの分泌量の急激な変化が脳内のホルモンなどに異常を引き起こすことが原因との説が有力です。

さらに、このような脳内のホルモンなどの異常はストレスの影響も受けやすいことが分かっており、PMSさまざまな要因が重なって発症すると言われています。


■つらいPMS…どう向き合うべき?

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生理を引き起こすエストロゲンプロゲステロンの分泌バランスの変化は、子どもの頃は起こらず思春期を迎えた頃から少しずつ始まっていきます。

皆さんにとって生理は嫌なものだと思いますが、生理はやがて迎える妊娠や出産に必要な過程…。規則正しい生理があるということは、卵巣などの機能が健康的に成長している証拠でもあります。

症状の強さには個人差がありますが、生理に伴うPMSは女性にとって避けられないものです。では、つらい症状に悩まされるときはどう向き合っていけばよいのでしょうか?

・気分を変える

PMSは身体的な症状よりも精神的な症状の方が強く現れるという方もいます。イライラ気分の落ち込みなどが強いときは、とにかく気分転換をするのがおすすめ。

趣味に没頭したり、カラオケで歌ったり、おいしいものを食べたり…皆さんが一番リラックスしてゆったりした気分で過ごすことができるようにしましょう。

そのためには、自分自身の生理周期を把握しておくことも大切です。手帳やスマホアプリなどに生理周期やPMSの症状があった日を書き留めておくとよいですね。

・ゆっくり休む

身体的な症状が強いときは、無理をせずにゆっくり休むのが一番の対処法です。
寝込むことはできなくても、駅の階段をエスカレーターに換える、電車で座る、体育を見学するなどちょっとした対策で身体を休めることは可能です。

生理に関することなので誰かに相談するのは恥ずかしいという方も多いかも知れませんが、無理は禁物!十分に身体を労わってあげましょう。

・栄養バランスのよい食事を

イライラなど心の不安定さを落ち着かせるにはカルシウムマグネシウムなどのミネラル、ビタミンB6などのビタミンを多く摂るとよいことが分かっています。
一方で、気持ちを興奮させる作用のあるカフェインPMSの症状を悪化させることも…。

PMSになりやすい方は、日ごろからミネラル・ビタミンをたっぷり含んだ栄養バランスの良い食事を心がけ、生理前のコーヒーや紅茶は避けた方がよいでしょう。
また、大豆製品にはエストロゲンと似た構造のイソフラボンと呼ばれる成分が含まれています。生理前の変化しやすい女性ホルモンバランスを補うために豆腐、納豆、豆乳などの大豆製品を積極的に摂るのもおすすめですよ。

・いざというときは薬に頼ろう!

PMSの症状が非常に強く、学校へ行けない、起き上がれない…という方はに頼るのも一つの方法です。
婦人科では女性ホルモンの変動を止める低用量ピルを使用してPMSを根本的に改善するための治療のほか、それぞれの症状を改善するための鎮痛剤精神安定剤などを用いた治療が行われます。

また、効果には個人差があるとされていますが、当帰芍薬散抑肝散などの漢方薬もPMS改善に役立つとのこと。
薬を飲むということに抵抗のある方もいるかも知れませんが、PMSは毎月やって来るもの。快適な毎日を過ごすためにもひどい症状が続くときは、まず病院に相談してみましょう。


■PMSは誰にでも起こるもの…うまく付き合っていこう!

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PMSのはっきりした発症メカニズムは解明されていませんが、生理前に身体の不調を感じるのはよくあることです。性の機能が順調に成長している証でもあります。

そこまでひどい症状でなければ、気分転換をしたりゆっくり休んだりしてやり過ごすこともできるでしょう。
しかし、症状が重い場合は日常生活に支障を来すことも…。無理せずに病院で治療を受けることをおすすめします。

みなさんは、これから閉経までの間PMSとうまく付き合っていかなければなりません。
まだPMSのやり過ごし方が分からないという方も、少しずつ自分のリズムをつかんで対処の仕方を身に付けるようにしましょう。

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・医師監修:成田亜希子先生
一般内科医として幅広い分野の診療を行っている。
保健所勤務経験もあり、感染症や母子保健などにも精通している。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会、日本健康教育学会所属。




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