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上島拓巳はブリーラムの強力2トップにも臆さず「僕自身の良さを発揮できる土俵」。指揮官も信頼を強調「タクミが止めてくれる」【無料記事】

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マリノスはACLE第4節でタイの強豪ブリーラムと対戦

 横浜F・マリノスは11月5日、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)リーグステージ第4節でタイのブリーラム・ユナイテッドと対戦する。

 マリノスは現在3節までを終えて1勝1分1敗で、東地区12クラブ中7位につけている。中位グループは拮抗しており、ホームでのブリーラム戦で勝ち点3を積み上げることができれば決勝トーナメント進出に向けて大きく前進できるはずだ。

(撮影:舩木渉)

 11月5日に試合前の公式記者会見に出席した上島拓巳は「明日にかける思いは僕自身も強いですし、チームとしても非常に強いので、勝利して、これから先のリーグステージで戦いやすいようにつなげていけたら」と意気込みを述べた。

 上島も先発出場していたACLEリーグステージ第3節の山東泰山戦で、マリノスはアウェイでの貴重な勝ち点を取りこぼした。終盤までリードしながら、後半アディショナルタイムに追いつかれて2-2のドロー。この苦い経験を糧に、引き締まった試合を期待したいところだ。

 ブリーラムは主に3-5-2を採用し、2トップには強力な長身ストライカーを並べる。タイ代表にも名を連ねているスパチャイ・チャイダドは2023-24シーズンに21得点を挙げてタイ1部リーグ得点王に輝いた。相方のギリェルメ・ビゾーリも2023-24シーズン後半戦だけでリーグ戦15試合出場16得点と驚異的なペースでゴールネットを揺らし、得点ランキングで3位タイにつけていた。

 今季もスパチャイが国内リーグで9試合出場5得点、ビゾーリは9試合出場8得点3アシストと圧巻のパフォーマンスを続けている。彼らをいかに抑えるかは、マリノスにとって非常に重要なポイントになりそうだ。

 ディフェンスラインの中央で強力2トップと対峙する上島は、「2トップが大柄で、非常に強力な外国籍選手もいる」と承知のうえで完封に燃えていた。

(撮影:舩木渉)

「強力なアタッカー陣と戦うことは僕自身にとって一番の喜びですし、僕自身の良さを発揮できる土俵だと思っているので、明日はその2トップをいかに抑えてゲームを優位に進められるかがキーポイントになると思います」

ハッチンソン監督が語った信頼と試合のポイント

 同席していたジョン・ハッチンソン監督は「ブリーラムの前線には2人の素晴らしい選手がいます」と述べたうえで、「相手のストロングポイントである2トップに関しては、私の隣にいる彼が怖がることなく戦ってくれると思います」と上島への信頼と期待を口にする。

(撮影:舩木渉)

「ボールを奪ってからの切り替えに相手の強みがあるので、そういうところも(上島)拓巳が止めてくれると思いますし、自分は信じています」

 上島がスパチャイとビゾーリを止めたうえで、どのような試合展開を理想とするのか。マリノスを率いるオーストラリア人指揮官は「大事なのはボールとのつながりです。笛が鳴った瞬間から支配したいと思っていますし、敵陣でボールを握る展開を望んでいます」と語る。

「(ACLEの)ヴィッセル神戸戦を見ていると、ブリーラムは4-4-2でやっていましたし、3バックに限らずいろいろなやり方を持っているのではないか。もちろん相手によって変えてくる可能性もあると思います。

(撮影:舩木渉)

(中略)とにかく相手にトランジションからの攻撃をやらせないこと。それに関しても自分たちは過去の経験から学んできているし、明日はしっかりそういうところを止めて、自分たちらしい形で試合を進めていきたいと思います」

 ハッチンソン監督が理想的な展開として例示したのは、4-0で勝利したACLEリーグステージ第2節の蔚山HD FC戦だった。「ホームで見せた蔚山戦のような戦いができれば、絶対に負けないようなビッグゲームにもなると思います。明日の試合に勝てば順位も上がるし、いい順位で決勝トーナメントに進みたい」と、本拠地・横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で韓国Kリーグ王者相手に演じた大勝の再現を狙っている。

ブリーラムの監督から見たマリノスの現状とは?

 一方、ブリーラム・ユナイテッドを率いるオスマール・ロス・ヴィエイラ監督は「マリノスとしては日本のチームらしい戦い方を追求している印象」と語り、「明日の試合運びにヒントを与えることになってしまうので、弱点に関してここで述べるのは控えたい」と言及を避けたものの、警戒すべきポイントを的確に指摘していた。

「相手が最近の4試合で勝てていないことはわかっていますが、深く分析してみたところ、ボール保持率はマリノスの方が高いことの方が多く、チャンスがないことはないんです。チャンスはあるが、効率的に決め切ることができていないように見えました。

(撮影:舩木渉)

マリノスの強みは連携が非常にいいこと、そしてスペースを見つけるのが非常に上手いことです。攻撃的な布陣で、アンデルソン・ロペスに対してクロスを入れていくこともうまく、セカンドポストを使った攻撃もうまい。マリノスの強みを発揮させず抑え込むことが命題になるので、非常に面白い試合になることを期待しています」

リーグ優勝に貢献したマリノスファミリーが横浜に帰還

 2019年から2021年にかけてマリノスの一員としてプレーしたティーラトン・ブンマタンも記者会見に出席した。ブリーラムではチームキャプテンも務める“ブンちゃん”は横浜で試合ができることへの喜びを語ったうえで「マリノスがリーグ戦でパフォーマンスを発揮しきれていないことは承知しています。しかし、明日に向けてマリノスというチームを過小評価はできません。精一杯頑張っていかないと厳しい相手だと感じています」と警戒心をあらわにしていた。

(撮影:舩木渉)

 マリノス時代は左サイドバックが定位置だったティーラトンは、今年で34歳になった。ブリーラムではダブルボランチの一角を担うことが多く、持ち前のテクニックを活かしてプレーの幅を広げている。強力2トップを操るゲームメイクだけでなく、極めて精度の高い“悪魔の左足”も健在だ。対戦相手となった今、マリノスにとって非常に危険な存在になるだろう。

(撮影:舩木渉)

「日産スタジアム(横浜国際総合競技場)に戻ってこられてとても嬉しいです。退団する際にファン・サポーターの皆さんにお別れを伝えることができなかったのはとても残念でした。マリノスには忘れ難い思い出があります。リーグ優勝してシャーレを掲げた時も、マリノスのファン・サポーターの皆さんはタイから来た自分を温かく応援してくれました。きっと明日も歓迎してくれるのではないかと思っています」

 かつてトリコロールのエンブレムを胸に戦って2019年のリーグ優勝にも貢献したファミリーの帰還も大きな注目ポイントになるのは間違いない。ただ、マリノスとして勝利だけは絶対に譲れない。ACLEリーグステージが折り返しを迎える第4節のブリーラム戦は、11月6日19時キックオフ予定で、試合の模様はDAZNで独占ライブ配信される。

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