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今季3度目の「エドゥアルドが決めて勝ち上がり」。5番手としての厚い信頼「なるべくPK戦に持ち込まないことが幸せだけど…」【無料記事】

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大苦戦の末に4回戦進出

 横浜F・マリノスは7月10日、天皇杯3回戦で水戸ホーリーホックと対戦しPK戦の末に4回戦進出を果たした。

 決して簡単な試合ではなかった。水戸が15分までに2点を先行する展開となり、マリノスは常に追いかける立場。84分に植中朝日のゴールで同点とし、なんとか延長戦に持ち込むことができた。

 後半から途中出場したエドゥアルドは「チーム全員が目標のために最後まで諦めずにハードワークして勝ち取った次への切符だったと思います」と4回戦進出を喜びながらも、苦戦したことを認め、その要因を冷静に分析していた。

(撮影:舩木渉)

「自分たちの目的は次のステージに進むことだったので、全員で強い思いを持ってピッチに入りました。ただ、システムが変わっていましたし、先制されて苦しい展開にもなりました。

それに普段なかなか出場機会に恵まれない選手がスタメンで出ていた。最後の方は足を攣りながらプレーするなど、疲れが見られたのも事実です。(リーグ戦などで)90分間を戦っていない選手が、急に120分間プレーしなければいけないので、その疲労感は辛かったと思います」

 直近のリーグ戦からはスタメンを8人入れ替えたマリノスは、水戸に対して4-4-2のシステムを組んで試合に臨んだ。継続的な出場機会を得られていない山村和也や村上悠緋などにもチャンスが与えられた。しかし、序盤から強度が上がらず、緩慢な守備の隙を突かれて2失点。徐々に流れを引き戻し、最終的には次のラウンドへ進むこともできたが、内容面には大きな課題を残した。

 それでもエドゥアルドは「序盤の2失点を除いて、チーム全員の魂がこもったプレーで最後まで戦い抜いた。その魂はリーグ戦にも活かせると思います」と前向きだった。この天皇杯での収穫を、4連敗中のリーグ戦でチームを立て直すことに活かしたい。

「諦めず最後まで戦うこともリーグ戦に活かせる。失点してしまった序盤のところに関しては、しっかりと(気持ちの)スイッチを入れてピッチに立つことが大事だと思います」

今季3度目のPK戦、その全てで最後のキッカーだったのは…

 ところで、エドゥアルドが最後にPKを蹴ってカップ戦の勝ち上がりが決まるのは、ACL準決勝第2戦の蔚山現代FC戦、天皇杯2回戦のFC岐阜戦に続いて今季3度目である。そのことを本人に伝えると、笑いながら“お膳立て”してくれているGKたちへの感謝を述べた。

(撮影:舩木渉)

「まずはGKたちに感謝ですね。(ACLでの)ポープ(ウィリアム)もそうだし、(飯倉)大樹も相手のPKをセーブしてくれた。彼らがお膳立てしてくれたから、こうやって最後の最後に自分が決めることができています。それは本当に嬉しいことですし、チームに貢献できてよかったと思います」

 ただ、3度目の今回は「正直、ヒヤッとした」と苦笑する。エドゥアルドが蹴ったPKはクロスバーを直撃したが、ボールは体を倒した相手GKの背中に当たってゴールに吸い込まれていった。

「(ボールが)あんなに上がるとは想定外でした。クロスバーに当たって入って、チームが次のステージに行けたのは『終わりよければすべてよし』なんですけど、また練習してあんなに上がらないようにしていかなければいけないな、と(笑)」

(撮影:舩木渉)

 危うく失敗しそうになっても、エドゥアルドへの信頼は揺るがないだろう。ベンチでPKキッカーの順番を決めるスタッフ陣も、もはや一切迷うことなく背番号5を5番手に指名しているようだ。「ACL準決勝の後、コーチにちょっと聞いてみた」という本人によれば「自信を持ってそうだし、熱い感じがあるから5人目に入れた」というのが、現在の立場を確立するきっかけになった様子。「2回目も3回目もうまくいっているのであれば、それはいいことだし、自信にもなる」とエドゥアルド自身も“フィニッシャー”を続けていくことに意欲を見せている。

 だが「なるべくPK戦に持ち込まないことが一番幸せなこと」なのは間違いない。4回戦こそは90分で勝負を決めて、次のラウンドへ進みたい。とにかく「もし必要があれば、僕は責任を持って自分の役割を果たしたい」と意気込むエドゥアルドがPKを蹴るようなシチュエーションにならぬよう願うばかりである。

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