ACL決勝に必要な「一体感」とは? 浦和レッズ時代に優勝を経験…榎本哲也コーチが語る「ファン・サポーターの力」
榎本哲也コーチが語る「ファン・サポーターの力」
横浜F・マリノスは5月11日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第1戦でUAEのアル・アインと対戦する。
クラブ史上初めての決勝進出ということもあり、マリノスの選手たちにとっても未知のステージだ。現所属選手の中にACL決勝経験者はいない。だが、スタッフの中にはACL決勝、さらには優勝を経験している人材がいる。
今年からマリノスの一員になった津越智雄フィジカルコーチは、蔚山現代で同職を務めていた2020年にACL制覇を経験した。また、榎本哲也アシスタントGKコーチは浦和レッズ時代の2017年に選手としてACLを制している。
マリノスの下部組織出身で、トップチームでも長く主軸を担った榎本コーチは2017年に浦和へ移籍。リーグ戦での出場機会はなかったものの、同年のACLではグループステージ第6節のFCソウル戦でゴールマウスを守った。
決勝トーナメントで済州ユナイテッド、川崎フロンターレ、上海上港(現上海海港)を破った浦和は、2007年大会以来となる2度目のACL決勝進出を果たす。榎本コーチはサウジアラビアのアル・ヒラルと対戦した決勝で、第1戦、第2戦ともに西川周作の控えとしてベンチ入りしていた。
2017年大会の決勝は、第1戦がアル・ヒラルのホームで行われ、1-1のドローに。埼玉スタジアム2002に戻っての第2戦は、終盤の88分にラファエル・シルバが劇的な決勝ゴールを決めて2戦合計スコアを2-1とし、浦和が2度目のACL制覇を成し遂げた。
2019年にカターレ富山で現役を退いた榎本は、マリノスのスクールコーチを経て2021年からトップチームのアシスタントGKコーチに就任。現在は松永成立GKコーチとともにマリノスのGK陣を精力的に指導している。
そんなACL優勝経験者の榎本コーチに、初めて決勝の舞台に挑むマリノスが初戴冠を果たすには何が必要なのかを聞いてみた。「一体感は必要になる」というのが、その答えだ。かつてマリノスの1番を背負った男は、さらに続ける。
「それはファン・サポーターの皆さんの力、クラブの力でもあり、スタジアムの雰囲気は必要な要素かなと。もちろん選手たちがプレーして100%を出し切るわけだけど、それにプラスアルファを乗っけてもらわないと、決勝を突破するのは難しい」
ホームでのファン・サポーターの声援が「勝利への近道の1つ」だと榎本コーチは語る。2017年大会のACL決勝第2戦で、選手として目にした光景がその裏づけだ。
「あの時は2戦目がホームだったんだけど、地響きを感じるような、今までに経験したことのなかった雰囲気だった。あの熱量は今後また味わえるのかわからないけど、あの時は勝つべくして勝ったなと。ファン・サポーターの皆さんに勝たせてもらったゲームだったと思います」
目の前でアジア制覇を決められる一戦ということもあり、2017年のACL決勝第2戦が行われた埼玉スタジアム2002には5万7727人もの観客が詰めかけた。筆者も現場で取材していたが、スタンドを真っ赤に染めた浦和のファン・サポーターが披露した壮大なコレオグラフィーや90分間途切れることのない大声援に鳥肌が立ったことを覚えている。アウェイチームを威圧し、萎縮させるような圧倒的な空気がスタジアムに充満していた。
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