天野純、今年3度目の古巣・蔚山HD FC戦へ意気込み「フィジカルでも球際でも技術でも圧倒して勝ちたい」。マリノスは守備崩壊を食い止められるか【無料記事】
ACLエリート初勝利へ! マリノスは2日に蔚山HD FCと対戦
横浜F・マリノスは10月2日、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のリーグステージ第2節で韓国Kリーグ王者の蔚山HD FCと対戦する。
試合に先立って10月1日には公式記者会見が行われ、マリノスからはジョン・ハッチンソン監督と天野純が出席した。
2022年にマリノスからの期限付き移籍で蔚山に在籍した経験を持つ天野は「蔚山で戦った仲間とは本当にいい思い出があります。一緒に優勝した時のメンバーが大半だと思っていて、その選手たちとまた戦えるのは幸せなことです。ましてアジアのNo.1を決める大会で戦えることを本当に幸せに感じています」とかつてのチームメイトたちと再会することへの喜びを語りつつ、警戒心を隠さなかった。
両チームは前身のACLでも対戦しており、今年3度目の顔合わせになる。4月に行われたACL準決勝では2戦合計スコア3-3でPK戦にもつれこむ大激闘を演じた。その後、マリノスでも蔚山でも監督交代があった物の、天野はキム・パンゴン新監督が率いる蔚山にこれまでと変わらない印象を持っているという。
「蔚山の強みは全く変わっていなくて、フィジカル的にも優れていて、なおかつ技術的にも優れている、アジアのトップクラブだと思っています」
それでも勝利だけは譲らない。「フィジカルでも球際でも技術でも自分たちが圧倒して、明日は勝ちたいと思っています」と、トリコロールの背番号20は強い意気込みを口にする。
チーム状況は対照的だが…
監督交代後のチーム状況は対照的だ。マリノスはジョン・ハッチンソン監督が就任した7月中旬から一時的に持ち直したものの、最近はリーグ戦でも複数失点が続く。ACLEのリーグステージ初戦では韓国の光州FCに3-7で敗れ、続くリーグ戦のサンフレッチェ広島戦を2-6で落とすという屈辱的な連敗もあった。
直近のリーグ戦では先制しながらFC東京に1-3で逆転負けを喫した。天野は「マリノスは自分たちのスタイルに自信を持っていますし、確固たるものがあると思っています。明日はそれを見せるだけです」と蔚山戦に向けて自信をのぞかせるが、大きな課題を抱えているのは疑いようのない事実。崩壊状態の守備をどのように立て直せるかが、Kリーグ1で首位を走り、韓国FAカップでも決勝に進出するなど好調の蔚山をホームに迎える一戦での鍵になるだろう。
天野とともに記者会見に出席したハッチンソン監督は「光州FC戦では恥ずかしい結果を残してしましましたが、タフな試合はまだまだ続きますし、戦う意欲は失っていません」と述べ、「多くなっている失点を減らすことを大前提にやっています」と守備改善への道筋を示していた。
「(課題として)目立つところは攻守の切り替えです。FC東京戦の2失点目も、切り替えの局面から3本のパスでゴールを奪われ、3失点目も同じように3本のパスでやられてしまいました。
自分たちはリスクを冒してでも攻撃的に戦うサッカーをやっているので、もちろん相手には裏のスペースが見えていると思います。なので、今日もどれだけスペースを閉じながら戦うか、そしてセカンドボールをどのように拾っていくかについて取り組みましたし、プレッシングに関してもどこからどのタイミングで、どのようにかけていくのかの修正もしてきました。
もちろん相手がいることですし、全てこうなったらこうなるというものでもありません。蔚山も非常に優れたチームですが、自分たちがどんな目的を持って向かっていかなければいけないかわかっています。修正ポイントがさまざまある中で、まずは守備の部分、守備に回った時にどう守るのか。そのうえで自分たちらしいボール支配をどれだけ見せられるかだと思っています」
JリーグとACLEは別物のようで実は地続きな部分もある。韓国屈指の強豪・蔚山を相手にしっかりと守れる手応えを得られれば、今後のリーグ戦や国内カップ戦にもポジティブな影響が出るだろう。
マリノスは目下の最重要課題を克服し、前に進むきっかけをつかめるだろうか。蔚山現代戦は横浜国際総合競技場(日産スタジアム)で10月2日の19時キックオフ予定。試合の模様はDAZNで独占ライブ配信される。
蔚山HD FCのチーム状況について
直近のリーグ戦の段階で複数の負傷者がいるとの情報があった蔚山HD FC。それでもキム・パンゴン監督が「我々はマリノス戦を非常に重要なものと捉え、勝ちに来ている」と力強く述べたように、本気の編成で来日してきた。
負傷のため日本遠征への帯同を取りやめた主力選手は、オム・ウォンサンのみ。前回ACL準決勝の第2戦で果敢なドリブルから上島拓巳のハンドと一発退場を誘発し、重要なPKも獲得した快足ウィンガーの不在は蔚山にとって大きな痛手だろう。
一方、ACLEリーグステージ初戦の川崎フロンターレ戦で負傷し、その後のリーグ戦2試合を欠場していた江坂任は日本遠征に帯同している。10月1日に行われた前日練習ではスパイクを履き、チームメイトたちと元気にボールを蹴る姿が確認できた。
同じくコンディションが心配された韓国代表のチョン・ウヨンも来日している。ジュビロ磐田やヴィッセル神戸、京都サンガF.C.でも活躍し、中東でのプレーを経て今夏から蔚山の一員となったベテランMFもマリノス戦に向けて調整してきたようだ。
外国籍選手に関しては前回ACL準決勝第2戦で途中出場から試合の流れを変えたダリヤン・ボヤニッチをはじめ、今夏新加入のギオルギ・アラビーゼ(下写真)やヤゴ・カリージョ、前回大会に出場していたマテウス・サレスの姿が確認できた。だが、スウェーデン出身のウィンガー、グスタフ・ルドヴィグソンは来日していない模様。
元Jリーガーではチョン・ウヨンの他にキム・ヨングォン(元FC東京、ガンバ大阪など)、ファン・ソッコ(元清水エスパルス、サガン鳥栖など)、キム・ミヌ(元サガン鳥栖)、そしてユン・イルロク(元マリノス)が来日メンバー入りしている。