見出し画像

交換日記 vol.01 僕は死んだ。

注意書きと、いたしまして
この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

プロローグ

きっと自分自身と言う「物」がなかったんだ。あの時は。
未だに今、「自分自身」と言う定義を問いかけたら、わからないけれど、あの時は、もっとわからなかったんだ。
でも体は生きたくて、心は死にたかったんだ。無意味だからと。
そうすれば、咲き誇った花が土に種を残すように、何かが残ると思っていたんだ。
あの時は、、、。
でも 僕はたった今も、まだ生きている。
その意味を探し続けて、今やっと少し気づけたことがある。
だから、諦めないで欲しいんだ。
希望はあるのかもしれないって思った。優しさが一番自分を強くしてくれたんだ。
だから僕は生きて行かなければならないんだ。

僕は死んだ。

ある朝、「ドン」と音がした。
最初に気づいたのは姉だった。
「ゆうじ!!、ゆ、ゆうじ!!」
姉が駆け寄る音が聞こえた。でも体はもう動かなかった。
自分の部屋で、電気の傘を外し、ロープを引っ掛け
僕は首を吊ったんだ。
でも重さに耐えきれず、しばらくして落ちた。

自殺未遂だった。

姉が母を呼び、大声で自分の名前を叫んでいた。
だけど、僕は目覚めなかった。気絶していたからだ。
自分の体の重さだけが今も意識に残っていて、
まるで自分の部屋の床に沈み込むような気持ちだった。

救急車を呼ぶまでには至らず、しばらくして目が覚め
母と、姉が自分の横で横たわる私を押さえつけるかのように
泣いていた。何がなんだか、わからなかった。

「もう大丈夫だよ、でもやっぱり死ねなかった、、笑」

また強がった言葉を言ってしまった。
こんな時にまで強がる僕は一体なんで、生きているんだろうって
目には涙が溢れていて、声ももう出なかった。。
でも悲しませないように笑顔だった。

でもわかっていたんだ。自分の強がりこそが、最大の悪だと。
でもただ、もう傷つくのが嫌で仕方なかったんだ。
しょうがなかったんだ。

僕は、しばらくして家を飛び出した。
やっぱり居てはいけないと思う自分と、
でも生きてしまった自分の葛藤が、気持ちがまた爆発しそうになったからだ。

幼い頃から、落ち着く場所があった。
タバコ屋の隣のベンチに腰掛け、
ただ、朝日が登るのをじっと待って、タバコを吸った。

朝日はとても綺麗だった。

自分が死を選んだ数時間後、世の中はこんなにも綺麗で、でも僕は何を目的に、ただ生きてる事が素晴らしいなんて言う、単純明快な言葉などでは片付けられない心境だった。

ポケットにあったスマホを手に取り、カメラをONにして
自分の首を見た。ロープの後がくっきり残った首の跡を見て、
一瞬の後悔と同時に、何故生きてしまったのかを、感じた。

もう全てがどうでもいいと感じた。
でも朝日はとても綺麗だった。

そんな時、スマホがブルっと震えた。
LINEだった。その通知は姉からのメッセージだった。

「お前、どこにいるの?本当に最低だね。早く帰っておいで」

涙が止まらなかった。
いつも変わらない姉のテンションのLINEは、
僕にとってはいつも通り、ただ

「うるせーな。しばらくいつもの場所にいるから安心して」

と、いつも通りの返事しか返せなかった。

僕は、この日に死んだんだ。



続く。。。







是非、よろしくお願いします♪