【育児】ピュアが故の子供の「嘘」と、地道に戦っていこうという話。
人間嫌いで、犬が好き。
そんな人は一定数いるけれど、「汚れた人間と違って、犬は嘘をつかないから信じられる」などと発言する人を、たまに見かけることがある。
断言するが、その人は犬を飼ったことがないか、飼っていても初心者である。
猫は取り繕わないので嘘をつかない傾向はあるが、少なくとも犬は嘘をつく。自分がやらかした失敗の隠ぺい工作をしようとしたり、ご褒美の二重取りをしようとしたり、歩けないふりをして抱っこをせがんだり。
飼い主を騙してでも誉められたい、叱られたくない、甘えたい、おやつが欲しい、そんなピュアな感情から、知恵を絞って嘘をつくのだ。大抵うまくいかなくて、それが微笑ましかったりもするけれど。
同様に、「ピュアな子供」も嘘をつく。
「子供はピュアだから嘘をつかない」というのは「アイドルはウンコしない」と同じ種類の妄想である。大人だろうが子供だろうが、一定レベルを超えた知能があれば、全く何も嘘をつかずに生活するのは非常に難しい。一切喋らず、他人と意思疎通せずに生活するなら可能かもしれないけれど。
暑くも寒くもないと思っている時に、誰かに「今日は暑いですねー!」と声をかけられて、常に「いえ、私はそうは思いませんけど」と言い切れる人は多くないし、出来たら出来たで余計な厄介事が増える。そうこうする内に「そうですねぇ」と曖昧に笑うのが最適解だと知るのは、ピュアさを失っている訳ではなく、純粋な「学習」にすぎないのだ。
さて。
とてもとてもピュアな私の息子は小4で、毎月月末になると「ドリルが終わらないよぅ!」となっている。直近の土日(7/1、7/2)になっても6月分の範囲が終わらず、「終わるまでゲーム禁止」と私に言い渡されて涙目になっていた……はずなのに、ドリルを目の前に広げたまま、2時間かけても1ページも進まないという謎現象が頻発する有様である。やる気を出せ、やる気を。
そして、そもそも7月に入るまで6月分が終わらない状況になったのは、その前の週の時点で息子が私に言っていた「6月分の範囲」に過少申告があったからであり、更には一日ごとの進捗報告にも虚偽の事実があったからである。
要は、「宿題終わった!ゲームやっていい?」のために、本来やるべき量より少ない「今日はこれだけやりなさい」を私に指示させておき、更にそれすら実施をサボっていたと、そういう話だ。
無論、宿題が終わったかどうか、正しい範囲はどこまでかの確認を怠った私にも責任はあるのだが、いやー、いやー、何というか、アレですね。
小4男児が、ゲームやりたさのあまり、親に嘘ついて宿題サボるなんて。
今にも漫画に出て来そうなレベルの健全さで、毒親育ちの私としてはもう本当に、涙がちょちょぎれるわ!!!
なお虚偽報告と過少申告が発覚した先週中ごろからは、チェック体制の厳格化と罰則強化による再発防止に努めてきた。
また、本日行われる二者面談に際しては、担任の先生に、
「いやー、私に嘘ついてまで宿題サボろうとするんですよねぇ、正確な範囲は私には把握できないので息子の言い分を信じるしかなくて……私を誤魔化しさえできれば、宿題が終わらなくても構わないって思ってる節があって……学校で先生に出せなきゃ意味ないでしょ!って言ってるんですけどねぇ」
などの現状報告に見せかけた「学校現場における指導力不足」を暗に指摘する発言を行う予定である。息子の低すぎるモチベーションについて、学校側からも何らかのテコ入れが行われることを期待したい。
っていうかね。マジで「宿題をやらないと先生に怒られる」が脅かしとして成立してないのが問題だと思うんだよな。今の時代だし、学校も頭ごなしに叱る訳にもいかなかったりして、なかなか難しいんだろうけれども。
私の息子はめちゃくちゃ幼い。私が小4だった頃に何を考えていたか思い出すともう、本当に頭がクラクラしてくるほどに幼い。そしてこの上なくピュアである。
だが、息子は息子なりにきちんと知恵が発達しており、発達した知恵で……私を欺いてでも宿題をサボってゲームをしようと、そういう知恵の使い方を、ようやくし始めたわけである。
こう言っちゃなんだが、遅い。びっくりするほど遅い。
正直、小1に万引きをやり始め、小4には卒業していた私と比較すると、本当に本当に眩しすぎて直視できないほど、ピュアである。
だが、そのピュアな息子の嘘と戦ってやるのもまた、親の務めの内だろう。
この先、息子がどこまでピュアでいられるのかは分からないが、暴ける嘘は暴き、目の届く間はせっせと叱って、なるべくピュアさを残した状態で社会に送り出してやれたらいいなと、思っている。
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