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2022年5月 アート&てづくりバザール神戸の出展レポと、神戸旅日記

 noteでは告知する余裕もありませんでしたが、行ってまいりました「てづバ神戸」。5/3、4とゴールデンウィークの開催でした(2日前にPCR陰性確認)。価格を約2倍にして出展してまいりました。新作を引っ提げていきました。が、2日間の売上げは、数字だけのことだけで言えば、今までで一番良くありませんでした。
 来場者数が今までのイベントと比べて割と少ない、というのは把握していたものの、ゴールデンウィークだし、まぁそこそこは行くんじゃないかなと皮算用してましたが、駄目でした。
 ただ、別に数字だけが全てじゃなく、やっぱり自分の作品を買い求めて下さった方が嬉しそうだったりすると(別にキレイゴトを述べるわけじゃなく)、良かったなあ、という気持ちになります。
 ただ、とはいってもコストパフォーマンスは無視できず、ゴールデンウィークのために交通宿泊費はかさんだし、次の参加は厳しいかなぁ、という感じです。

 と、出展レポはこのくらいにして、いつも通りの旅日記を綴ることにします。むしろ、そっちのほうが書きたいのかもしらん。

 初日
 早朝4時半に起き、羽田から朝イチの便で神戸へ。前日も準備で忙しかったし、もう眠いわ腹減ったわ。で、久々の空旅。商売道具を詰め込んだ大きなキャリーケースを転がしていきます。が、空港に預ける前に気づく。「重量オーバーしてね?」キャリーのサイズは確認していたが、重量までは気が回らなかった……ということで、空港内で測ってみたら制限の20kgより、2kgオーバー。もう、手荷物の中に重そうなものをぶち込んで、出発40分前にギリギリクリアしました。行列に並んで朝飯にヒレカツサンドを買って、ロビーに向かえば、もう搭乗案内が始まってるし、なかなかせかせかした空旅になりました。というか流石GW。混雑しておりました。
 で、空へ。上空から湖の形を眺めて「あぁ、あの形と、橋の位置は河口湖だ」なんて一人でほくそえんでは、神戸空港に到着。そのままポートライナーで市民広場駅へ。てづバ神戸会場の、国際展示場へ(ちなみに飛行機にしたのは、そうでないと会場入りに間に合わないからです)。開場一時間前……だのに、あれ、行列ができていない……今まで、参加してきたイベントは長蛇というか八岐大蛇みたいな行列ができていたけれど……という話は、ぐっと割愛して、初日を終えてまたまたモノレールで三宮駅へ。
 さんのみや。神戸市内の繁華街です。繁華街はどうにも旅の鼻が鈍ります。ので、もう事前に決めておいた店へ、餃子屋へ、「定食は完売しました」、いやはやこれだから……というわけで賑わう街に放り出される(イベント中、お菓子を少し食べたくらいでかなり腹が減ってました)。もう面倒いから、グーグルマップで検索するが、そこもお休みのようで。三宮肉劇場……肉という気分じゃないんだよね。博多明太子食べ放題の定食屋……美味そうだけれど、神戸に来てまで博多明太子ですか。で、さっき前を通った、神戸ラーメンなる、多分昔ながらの老舗な中華屋へ。口ん中はすっかり餃子モードなのです。というか、これは別に悪口じゃなく、汚らしい外見が良いです(中華料理屋って、大体汚いほうが美味い印象があります)。踏み入れただけで分かる床のぎとぎと感。とはいえ基本的なコロナ対策はしていました。ラーメン屋なのに、頼んだのは炒飯餃子。そしてなかなか美味い。炒飯は具材たっぷり。ラーメンも美味しそうだった。ごちそうさまです。そんなこんなでホテルへ。大浴場はないけれど、割と脚を伸ばせる湯船でした。というかもう寝よう。眠いんじゃ。さようなら。

 2日目
 
ぐっすり寝て目覚める。無料の朝食会場はまぁまぁ混雑。9時頃に部屋を出て、近くの老舗パン屋でイベント中に食べるパンを買い求める。が、まだ時間が早いので、大抵のパンは焼き上がっていなかった。そんな中、アップルデニッシュと、明太ちくわを購入(これ、どっちもかなり美味かった)。
 30分前に会場入りし、お疲れさまでしたと荷物を発送して閉場後一時間くらいで出る。売上げ的には厳しかったが、まぁあとは旅を楽しもうと、今日は三宮の一つ手前の駅で降りて、少し歩いてみることに。
 すると駅すぐの地図に「神戸震災復興記念公園」。つい最近も、ほぼ同じ名前の公園に行ったなぁ……(あちらは福島)。その後、ビル街を歩き、昨日の繁華街まで戻ってくる。お目当ては明石焼き……と階段を上がれば、満席とのこと。もうお腹空いたし、昨日目に着いた博多明太子のお店へ(というか東京にもある店だな、ここ)。唐揚げ定食。オーダーしてから気づく、明太子と日本酒って合うんじゃね。というわけで、地酒を頼む。そしたら売り切れ。じゃあ、別の銘柄で、と頼めば、なかなか来ない……。でもまた思いつく。さっき駄目だった明石焼きの店で、軽く一杯飲むのも悪くないなぁ、というわけで、酒のオーダーが入ってなかったけれど気にせず、定食とたっぷりの明太子をいただく。しかし、これロシア産なのかなぁ、ということが少し気にかかる。
 で、明石焼きの店。さっきより行列してるー。というわけで退散。何だかすべてが裏目ってる気がする。少し酒を呑みたい気分だが……と、コンビニに入るも、何だか虚しくなってやめる。今日はこのままホテルで休もう。やっぱ繁華街の旅って苦手ですわ。

 3日目
 6時頃目が覚める。ゴールデンウィークでどこも混雑していて、まだ神戸らしい、というか三宮らしい三宮を楽しめていない。駅前に昔の街道筋があったりと、好きな要素はあるんだけれどなぁ。もっとぐっすり眠りたい気もするけど、人の少ない時間帯に朝ランしちゃう? というわけでウェアに着替えて、ホテルを出る。が、腰のランニングベルトにはスマホと小型ジンバルカメラ。前回みたいにランニング動画でも撮ろうかと思ったが、何だかばからしくなってやめる。走るときは走るだけが気持ちいいんです。朝のビル街を抜け、港沿いのだーっと続くテラスへ(途中、1995.5:16amと大きく書かれたガラス張りのビルの前で立ち止まりました。日付は見当たらなかったけれど、あとから調べたら防災関連の資料館でした)。事前にランニングコースは調べときました。青空のもと、海沿いを緩やかに駆けていきます。結構人気のコースみたいで、ランニング、ウォーキングの方がちらほら。観光名所よりも、こういう感じが楽しかったり。

 7時半にホテルに戻り、シャワーに朝食。そしてどこへ行こう。帰りは昼過ぎに新大阪から新幹線です(飛行機は朝か夜かの選択肢しかなかったので却下)。それまでは……灘の酒蔵巡りでもしようかと考えてたが、時間的に少し難しいかもしらん。まぁまずは三宮の神様に今さらのご挨拶に行きますかと宿を出る。2日間お世話になりました。

 三宮駅北側の今は静まった、路上のところどころにゴミが散乱したネオン街を行けば、その真隣に生田神社が鳥居をでんと構えていました。まずはまわりの参拝客が素通りしてる、入って右の末社の扁額を見上げる。松尾神社。俳聖か? と浅はかに思えば、酒造の神様とのこと。これは詣でとくっきゃありません。そうして参道に戻れば、何やら源平合戦にゆかりのある境内だとか。手水舎で手を清め神前式が開かれている社殿に向かい、手を合わせます。イベント終わったあとだけれど、よろしくお願いいたします。
 さて、生田の杜を散策して(蒲鉾発症の地、という石碑があった。小田原じゃないのね)、北へ抜けます。向かうは坂の上の異人街。明治あたりの洋建築でも見て回ろうかと。大通りを歩くだけではつまらんので、細道を突き進んでいったらハンター坂という上り坂に差し掛かる。狩猟者か、生物兵器か、はたまた人の名前か。特に案内書きはなく、よく分からんままハンター坂を行けば、異人館が点々と並ぶ通りに。

 異人。何かそのうち差別的だ何だと騒がれそうな響きではあるが、往時の外国人に対する空気感がほのかに伝わってきそうです(昔は排外熱が高かったしね)。
 で、公開されていてもレストランになっていたり、準備中なのか門は閉じてたり(昔の洋館の窓から掃除機の音が聞こえてきたのは微笑ましかった)。まぁ異人街の中心地を目指し、よく分からん細道をてくてく行きます。ていうか日差しがきつい。帽子持ってくりゃ良かった。しかし坂の多い街って歩いていて楽しい。あの先には何があるんだろうと興味をそそられます(昔の外国人居留地に坂の街が多いのはどういうわけだろう)。
 で、少し賑わってきた街中。観光用の地図が欲しいなと案内所へ。したら、あれよあれよと異人館巡りのご案内。どうにも異人館一つ一つには入館料があるようで、共通チケットを買えば少し安く巡れるよ、と。修理中の館もあるようで、その日は6館で2500円とのこと。2500円って、たっけーな。でも昔の建築にはいくらか興味があるし、せっかく来たんだし、けれど入ったところで中が混雑していたら……と伺えば、今の時間帯は比較的空いている。昼過ぎから混み始める。というご案内を受ける。じゃあまぁ行ってみますか異人館巡り、と共通チケットを購入。そうして観光用の地図に載っている「ハンター迎賓館」の文字が目に留まる。あぁ、これがさっきのハンター坂の由来なんだろうか、ということを尋ねてみた。そしたら受付のやや年上の女性二人も分からなかったようで、ハンターハンターハンター言いながら、スマホを取り出して「ハンター坂のハンターとハンター迎賓館のハンターは同じハンターか」と目の前で音声検索を始め、思わず笑ってしまう(話を面白くするために「ハンター」の数を盛っているわけじゃありません)。いや、それを調べるなら「ハンター坂の由来を教えて」で済むだろうが、というか今まで同様の質問はなかったのか、そもそも案内所なら知っておいて欲しいなぁ、ということも思ったが、文字の大きなスマホの画面を一緒にのぞきこみ、やっぱり坂の上にハンターさんが住んでいたから「ハンター坂」と名がついたのだということを知る。というかてづバ神戸でも思ったけれど、関西のおばちゃんはノリが良くて楽しいです。まぁ、じゃあ、行ってみますか、異人館。

 というわけでまずは英国館へ。手帳型の共通パスを見せて、ちょっとした列を横目にすんなり入館。イギリス風の食堂や、庭、ホームズの部屋やら(アヘンらしいものはなかった)、煌びやかな装飾品、チェックのインバネスコートと鹿撃ち帽(と呼ぶらしいね)といったホームズのコスプレまでできる。それらを羽織って、ポーズを取って、かわいいかわいい言いつつ皆さん撮影に興じていらっしゃった。しかも割と混雑。一館目から伝わってくる、あれなんか違うぞ感。
 そうしてお隣の仏蘭西館へ。そしたら何か部屋がデコられていて、白黒壁紙のバスルームにホラゲーっぽく連ねられた薔薇の花や、真っ赤に装飾された部屋、色のない部屋、しまいには映画アメリの部屋を再現した展示まで(気づいている人は少なそうだったけれど、中に掛かっている絵や、人形でそうだと分かりました。BGMも映画のものだったし。ただ受付の方に訊けば、著作権の関係で公言できんのだとか)。さらに隣のベンの家に行けば、冒険家の家だったとのことで、剥製だらけ。バイオハザードか。右目から宝石は取れますか。ガスマスクしている山羊の角まであるし、絶対当時はこんなんじゃなかっただろ、と一人でくつくつ笑っていました。

 喉も渇いたので、水の買えるところを伺えば、すぐそこの自販機と、坂の下のローソンとのこと。自販機は水の類が売り切れていたので、小さいペットボトルの茶で喉を潤しつつ、異人街をさらに上へ。その後も展示内容はまぁ少しは落ち着いていましたが、大体同じような感じでした。で、道中にも別の異人館がいくつかあってチケットが異なるとのこと。聞けば、こっちは昔の建造物をそのまま展示している感じで、自分の持っている共通チケットのほうは「美術館」だと、その受付の女性が形容されていて、これまでのコレジャナイ感が腑に落ちる。確かに魔改造と呼んでもおかしくないほどに、自分が巡ったほうの館は中が装飾されていました。ただ、別チケットのほうも3館で1300円して、流石にこれ以上お金は使いたくなかったので、あきらめることに。ついでに言えば、何となくこれらの説明を教えてくれた受付の女性の口吻から「美術館」への対抗意識が漂ってきたような感じが。自分の感覚で言えば、「映える写真」が好きなら自分が巡ったほう、「昔の建築」に興味があるのなら別チケットのほう、という感じかなぁと。しっかしこういうのって、初めての観光客には分からんことだから、異人街全体の観光案内所を設けるなり、もう少し分かりやすいように改善して欲しいなぁ、と(ハンター坂に詳しくなかったのも、「美術館」の案内所だからなのかなぁ、という気もした)。

 ただ、得たものがなかったというと、そうではありません。何だか久々に(言い方は悪いかもしれないけれど)俗な観光名所を巡って、「かわいい」を連呼するお嬢さん方に混ざって、少し気づいたことがありました。
 異人館内のアンティーク家具やら、食堂を見て発せられる「かわいい」。自分の作品を見て発せられる「かわいい」。自分としてはどっちも「かわいい」とは思っていません。でも若い女性は(人にもよるけれど)、「かわいい」という表現を使います。つまり同じ言葉、同じ字面、同じ響きだとしても、自分の「かわいい」の中身と、彼女たちの「かわいい」の中身には、大きな違いがあります。で、こういう差異って、個人個人でも絶対にあるよなぁ、ということを思い返しました。たとえそれが同年代で同性だったとしても。
 例えば自分がケチャップを想像しながら「赤色」と言ったって、受け取り手は朱肉だったり、夕焼けだったり、はたまた鮮血を想像して「赤色」という言葉を受け取っているかもしれない。「かわいい」ほど、乖離はないかもしれないけれど、そこにはたとえ微量でも確実に齟齬は生じています。で、そんな不確かなものを拠り所にしているのが、自分らのコミュニケーションなんだと。自分が書いている小説や、旅日記なんだと。言葉って、どこまで行っても不完全だよなぁ、なんてことを「かわいい」から思いました。
 ただやっぱ2500円は高かったなぁ……。

 さて、お昼。坂の上から三宮駅まで降りてきました。そうしてやっぱりどうしても食べたかった昨晩の明石焼きのお店へ。店の外に並んでる客は3名。特に時間に追われているわけでもないので今日は待ちます。20分ほどだろうか。ようやく案内され、頼んだのは明石焼きのお食事セット。だし汁は熱いのと冷たいのどちらかと聞かれ、冷たいだし汁を選びました(一度だしの中で冷まして食べる、みたいな案内書きがあったから、多分冷たいほうがこのお店では標準なんじゃないかと)。で、美味かった。たこ焼きはふわとろ。だしもさっぱり素朴で。たこ飯も美味しい。ただ一番印象に残ったのは、ゆずたこ。柚子と蛸、それに鱈子だろうかつぶつぶを和えた一品。めっちゃお酒に合いそう(昼だしこれから帰るし、別に呑まんけど)。はー、満足です。ようやく、その土地らしいものが食べられました(神戸なのに明石焼きだけれど)。

 というわけで、その後は一本で新大阪まで出て、混雑を避けて指定席のこだまでぷらっと東京への帰路に着きました。イベントの結果は芳しくなかったし、ゴールデンウィークの混雑に辟易することもあったけれど、何だかんだで楽しい旅でした。
 それではまたいずれ。次のイベントは、5/21.22のデザフェスです。
 アイお世話!


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