文と芸

渡辺元気。小説や言葉をアートにしています。たまに旅に出ます。 watanabe.genkisan@gmail.com

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マガジン

  • 小説

    書いてきた小説を、ここにまとめていきます(フィクションです)。【掌編→数分程度で読めます。短編→それより少し長め】

  • (馬鹿みたいに長い)旅日記

    馬鹿みたいに長い旅日記です。web時代に逆行して写真は少ない、というか最後のほうに少し載せてるだけです。動画もたまにあります。

  • 雑記

    雑記です。

最近の記事

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2024.1.26-29 文と芸展

千駄木 white gallery  以下、雑感。  これまでで一番気持ちの良い展示を開くことができたと感じている。作品それぞれが「言葉」というテーマで繋がっていたためか、完成度の高い展覧会をできたと思っている。また、ギャラリーの雰囲気や、路地中という立地も拙展にとても合っていたとも。  暇な時間もあることにはあったが、今までだったら苦に思っていたその無聊がほとんど気にならなかったように思う。それはやはり、自分の思うようにやれた、という確信があったからだと思う。あとは野と

    • 自由

       肉体、自分のものだけれど決して自分の自由にはなりません。  感情、自分のものだけれど決して自分の自由にはなりません。  人生、  了

      • 2024年9月 燕三条旅7

        (←前)  割烹きくやをあとにして、酔い心地のまま二軒目へとなだれ込むかと思いきや、向かったのは先ほどのスーパー。ここで明朝の飲み物、缶のオレンジジュースを購入。これで明日の朝食セットは揃った。そんで行きに寄ったブックバーへ。書棚の間を奥へと進み、階上にのぼってこんばんはとバーの多分同年代のマスターにご挨拶。旅先でバーに入るなんて初めてじゃないかしらん。まずはスツールに腰掛ける。ここではラム酒を中心に提供しているバーとのことで、だいたい日本酒党なのでまずはラムとは何ぞやという

        • 2024年9月 燕三条旅6

          (←前)  点けたばかりでまだ冷房が効いていないけれど、それでもよければ、とのことで二階の部屋にご案内いただく。「昔は飛び込みのお客さんはいたけれど、今はいなくて」と聞き、そりゃそうだろうなと思う。酔狂な旅をしていてごめんなさい。部屋は松。上等である。6畳、窓あり。古いことはもちろん古いが、掃除は行われているようで鼻がむずむずすることもなく。トイレは階下で、お風呂もある。こういう旅館、ほんと久しぶりです。それでは、と部屋に一人になり、とりあえず冷房を最強にする。懐かしのNat

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        2024.1.26-29 文と芸展

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        記事

          2024年9月 燕三条旅5

           (←前)  北三条駅前。車窓からも見えていたけれど、大きな広場があって洒落た外観の扁平な施設が大小二つ。素朴な色合いの木材が等間隔に配され構成された『三条スパイス研究所』という名前の割には、メニューがドリンクばかり?(あとで知ったことだけれど、カレー屋さんでした。もっと視野を広げましょう)今はお昼時。まずはご飯やさんを探さなくては。その向こうにあるどっしりとした外観の建物は、真新しい図書館。今は書よりもパンです。ただ首をぐるりと見回した感じ、飲食店の姿が見当たらず。駅前の通

          2024年9月 燕三条旅5

          2024年9月 燕三条旅4

          (←前)  御日供祭の帰り、朝の鶏舎に立ち寄り、コケコッコーの応酬を堪能し、神社の方に聞きたい疑問(直角参道やら兎やら)がいくつかあったのだけれど、まだ姿が見えなかったのでそのまま神社をあとにする。そうして旅館へ。そのまま朝食会場へ。卵焼きやらイカ刺はすでに枡弁当みたいな形でテーブルに並んでいて、そのほかの魚なんかを自分で取ってきて固形燃料と網で焼くと感じ。朝からお櫃ごとご飯を平らげました。ごちそうさまでした!  さて、今一度露天風呂へ。鍵を借りるとき、女中さんに弥彦でやたら

          2024年9月 燕三条旅4

          2024年9月 燕三条旅3

          (←前)  一の鳥居。一礼をして参道を行きます。そして石の橋へ。橋の上から左に目を向ければ、玉の橋と呼ばれる日本庭園でよく見かける半円形に盛り上がった朱塗りの橋。人ではなく神の渡る橋だとか。その下に流れる小川。石橋の脇には石段を下って小川の中を抜ける道筋も用意されていて、これは流れに足を浸しての禊ぎのためだろうと推測する。ほどなくして、参道はほぼ直角に左へと曲がります。珍しいな、と思いました。一の鳥居からまっすぐに伸びる参道、その最奥に社殿かと思ったいたのだけれど。とにもかく

          2024年9月 燕三条旅3

          2024年9月 燕三条旅2

          (←前)  カツ丼をいただきながらも、旅の話を弾ませる。まず燕三条という地名はないということをここでちゃんと教えてもらう。高速の出口はその逆の「三条燕インター」という名称であることも(駅の名前も含め、相当揉めたんだろうなぁ)。合併の話もあったけれど、ごにょごにょ……といった感じで。「先入観はあるかもしれませんが、個人的には『つばめさんじょう』のほうが言いやすいですね」と自分が言えたのは、相手が燕市の方であったからか。ちなみにこちらの屋号かどやは、道の角に建っていることからのよ

          2024年9月 燕三条旅2

          2024年9月 燕三条旅1

           何も調べずに旅をしよう。  ということで、お馴染みのどこかにビューンに旅先を決めてもらい、燕三条を旅してまいりました。 初日  朝、上野駅へ。そば屋の天むす駅弁にうまうま言いながら、北西へ。国境の長いトンネルを抜け、以前旅した浦佐駅も過ぎ、初の燕三条駅へ。巨大なナイフとフォークと『燕市』とたすきを掛けたつば九郎のパネルがお出迎え。君はヤクルトだから東京じゃないのか、と思いつつ改札を抜ける。  燕三条。あらかじめ知っていたのは金物の街であるということ。そしてどこかにビュー

          2024年9月 燕三条旅1

          旅と旅行について。

           旅と旅行。  同じ意味合いの言葉ではあるけれど、振り返れば自分の中では明確に使い分けていたように思う。前者は行き当たりばったりの道行き。後者は計画的な観光。宛てのない旅行、家族旅、という組み合わせをあまり見かけないことから、一般的にも同じように使い分けられることが多いのだろうと思う。  ではここ最近の自分の遠出はどうであったか。旅の内情を知っている自分からすれば、それは「旅を装った旅行」であったように感じている。予約した新幹線やバスの発着時間はともかく、どこどこに飲食店が

          旅と旅行について。

          死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、

           死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、もうちょっと頑張ってみようよと言われました。  死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、死んだら元には戻れないんだよと言われました。  死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、生きてたらきっといいことがあるよと言われました。  死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、疲れてるんだよと言われました。  死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、それは逃げだよと言われました。  死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、だったら死ぬ気で頑張っ

          死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、

          耐えられない

           喜びは耐えられる。悲しみは耐えられない。  幸福は耐えられる。不幸は耐えられない。  素晴らしい出会いは耐えられる。別離は耐えられない。  ならいっそ、  了

          耐えられない

          選挙

          「選挙に行かない人間はカッコ悪いよ」 「しっかりと未来のことを考えて投票して下さい」 「投票に行かないなんて、民主主義の否定ですよ」 「報道に流されないでください」 「自分の頭で考えて下さい」 「何となくの気持ちで投票しないで下さい」 「人気投票じゃないんですからね」 「投票に行かない奴が悪いんです」 「この国を変えたくないんですか?」 「流されてばかりでいいんですね」 「搾取され続ける現状に満足ですか?」 「犯罪者たちが喜ぶだけですよ。あいつらを喜ばせたいんですか?」 「普

          言語化

          「はい、こんにちはー。今日はどうなさいました?」 「こんにちは。じつは、一週間くらい前から、この、左の脇腹のあたりが痛いんです」 「あぁ、下腹部のあたりね。そこがどんな風に痛いんですか?」 「なんていうか……鈍い痛み? っていう感じですかね」 「鈍いっていうと、ずーんと来る感じ?」 「いえ、んー……きりきりした痛みですかね」 「きりきりというと、差し込んだような?」 「いえ、そういう感じとはちょっと違って……」 「しくしくした感じ?」 「しくしく……」 「しくしくではない?」

          2024年5月 長野湯治旅3

          (←前)  山を降りる。当然風が冷たい。痛いくらいに指先が冷えていく。が、留まっていても寒いだけなので、とにかく標高を減らしていく。30分ほどして下界へと降りてくる。田植えを終えたばかりだろう、田んぼの景色である。日射しは温かだが、体は芯まで冷えている。そうして地図を眺めつつ、チェックしていた村のピザ屋さんへ。外は少し風が出ていたけれど、日射しを浴びたかったのでテラス席に座らせてもらう。頼んだのはおまかせピザ。チーズピザやら、トマトにハムやらコーンやら。とても美味しくいただき

          2024年5月 長野湯治旅3

          2024年5月 長野湯治旅2

          (←前)  早めのお昼。電車の時間もあるので、参道に戻ってるほどの余裕はない。というわけであらかじめ調べておきました大衆食堂。参道から少し外れた位置に提げられたのれん。がららと入店、1名です。先客が1組。とりあえずテーブル席に着く。カウンターの窓から厨房を見れば、おばあちゃんが一人。「ちょっとお待ち下さいね」と声がかかる。カウンターの上に掲げられたメニュー一覧。もつ煮定食は良さそうだ。ただ時間があまりないから、トータル20分くらいで食べ終えたい。のに、先客にラーメンを運んだと

          2024年5月 長野湯治旅2