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小説

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書いてきた小説を、ここにまとめていきます(フィクションです)。【掌編→数分程度で読めます。短編→それより少し長め】
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記事一覧

死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、

 死ぬほど苦しいときに死にたいと言ったら、もうちょっと頑張ってみようよと言われました。 …

文と芸
3週間前
8

耐えられない

 喜びは耐えられる。悲しみは耐えられない。  幸福は耐えられる。不幸は耐えられない。  素…

文と芸
1か月前
7

選挙

「選挙に行かない人間はカッコ悪いよ」 「しっかりと未来のことを考えて投票して下さい」 「投…

文と芸
2か月前
5

言語化

「はい、こんにちはー。今日はどうなさいました?」 「こんにちは。じつは、一週間くらい前か…

文と芸
3か月前
7

掌編小説 ひとり言

 あんたはいいなぁ。まわりから言葉が通じるって思われてなくって。  みんなから言葉が伝わ…

文と芸
2年前
20

掌編小説 写真

 旅先で写真をたくさん撮りました。  山の景色に電線が映り込まないよう、ズームをしました…

文と芸
2年前
15

掌編小説 執筆

『お客様は神様じゃありません』という小説を書こうと思いました。テレビでカスハラ特集を見ていて、そんな着想を得ました。 「お客様は神様だろうが!」と凄む客に対して、店員が「それは失礼致しました。お客様が神様だとは存じませんでした。しかしお客様はどのような神様ですか? 産土神(うぶすながみ)ですか? 氏神(うじがみ)ですか? 陰部に紐を垂らして踊りますか? 岩穴に引きこもりますか? それとも言語をバラバラにしますか? 大洪水で全てを流す系ですか?」といった感じで、店員側の専門的

掌編小説 落ち葉

 いつもの公園のベンチで、いつものように文庫本を読んでいたら、頭上からからからと乾いた音…

文と芸
3年前
16

掌編小説 断末魔

 旦那ぁ! 殺生な! どうしてあっしを殺すんです!? どうしてあっしをそんなに毛嫌いする…

文と芸
3年前
19

掌編小説 あけましておめでとう?

 通勤電車ん中。  今朝は眼鏡がいつもより曇ってスマホも文庫本も見るに堪えないので、手を…

文と芸
3年前
38

掌編小説 何考えてんのか

 陰口を撫でられました。  えぇ、撫でです。叩かれるが正しい用法だとは存じ上げております…

文と芸
4年前
23

掌編小説 指の形から、

 お昼によく寄るチェーンの定食屋で、六本指の男性を見かけた。  アルコールを揉み手で馴染…

文と芸
4年前
26

掌編小説 傷痕

 電車の中で、夥しい数のリストカットの痕を見た。  朝晩に肌寒さを覚えるようになった秋の…

文と芸
4年前
22

掌編小説 note

 その書き手は、スキをあまり押さないように心がけていた。  noteを始めた当初は、そうではなかった。  ほんのわずかでも、自らの胸に響く投稿を見つけたときには、積極的にスキを送っていた。また、自分の投稿した作品に対してスキをつけてくれた人々に対しては、必ず相手のページをのぞきに行き、何かしら目を引く語句や写真を探し出し、お返しのスキを送った。  そうやって顔も知らぬ様々な人々と繋がっていった。そうやってお互いに心地良いサインを送り合った──ときにはコメントも残し合った。