掌編小説 ひとり言
あんたはいいなぁ。まわりから言葉が通じるって思われてなくって。
みんなから言葉が伝わると思われてみなって。そりゃ面倒なことばっかりよ。結局そのうち「どうしてこんなことも分かんないんだ」って、「何考えてんだ」って、そんな風に言われるようになっちゃうんだから。
なー。
それが、あんたみたいに言葉が通じないって前提ならどーよ。伝わらないことに不満を持たれたりもしないし、同調やら共感やらなんてもんも求められたりしないし……。あー、ほんと、あんたがうらやましいわぁ。なー。
ん、次はここ撫でんの? よーし、よし。
なー。
……話、聞いてくれて、ありがとね。
了
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