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オタクがコラボ商品を選ぶ基準とは?【連載2・オタク視点で見るアニメ】

前回より。三越オーダースーツからNYツアーまで、高額なコラボ商品が売れるオタク業界。一方で多数の商品から好みの物を選び取っていくオタクという名の消費者。

同じ人気作品であっても、売れる売れないの明暗が分かれることもあります。マーケティング的には「成功事例」という言葉になるのかもしれませんが、私たちオタクは「わかっている」という言葉を使います。
ここでは「わかっている」商品の特徴を考察してみたいと思います。あくまで個人の意見として書きますのでどうぞよろしくお願いします。

1.作品の世界を表現していること
私が始めてバッグや靴のようなコラボ商品を見たのは『黒執事』でした。
https://www.super-groupies.com/title/56
ゴシック調の黒を基調としたストライプ模様のバッグや靴は、まるで作品の中に登場するアイテムのように見えました。「作品に登場してもおかしくない」はオタクにとって重要です。

2.日用品としての持ち物になること
2012年春、『うたのプリンスさまっ♪』のマルイワンで販売されたコラボアクセサリーが大きな話題になりました。1万円前後のアクセサリー展開はおそらくここが早かったと思います。大勢の女子たちがマルイに詰めかけて、ビルの周りに長い列ができました。

「うたの☆プリンスさまっ♪早乙女学園購買部出張所 in 京都マルイ 開催決定!」
https://www.utapri.com/120511_maruikyoto.php

アクセサリーの形がもう「わかってる」ボタン連打ですよ!
うたのプリンスさまが好きな“プリンセス”(公式のファン呼称)には、王冠がぴったり。
キャラクター絵をバーンと表に出して歩けない大人女子の心もつかみました。また、キャラクターごとに色展開があるのも超重要。キャラクターへの所有欲を満たしてくれます。そして、外出着になじむデザインでありながら、街に潜んでいるお仲間だけは気づいてくれる。こうした暗号通信化は隠れオタクが多い女性にとって重要です。(※2019年現在は、缶バッジや痛バッグがメジャーになって、映画館など隠さないで良い場所も増えています)

3.素材と色が、世界観と合っていること
何度もアニメ化されている『夏目友人帳』では、ニャンコ先生のグッズが長く愛され続けています。登場するグッズで私が「わかってる」と唸ったのは、ふわふわぬいぐるみ、のれん、和柄など、ほっこりした布や和風テイストが多いことです。作品は、山間に住む高校生の夏目くんが、妖のニャンコ先生とともに人や妖が抱える悩みを解決していくというものなので、ほっこり素材がよく似合います。
真逆な印象を受けるのは、初音ミクなどのボカロ系ファンに向けた商品です。素材がビニールや発光するもの、人目をひく色が多くなります。ピカピカキラキラしたものは、デジタルガジェットが好きな層に支持されています。

私が特にお伝えしたいのがこちら!
4.作品ファン層が、日常生活でも好むテイストや思想と合致すること
『ガールズ&パンツァー』の作品舞台となった大洗町は、2012年のTV放送開始以来、地元の「大洗あんこう祭り」の集客を3万人から13万人以上に伸ばしたことで知られています。

茨城新聞 クロスアイ(2018年5月27日(日)) 
「大洗あんこう祭 11月開催 宿泊もう満室 ガルパン人気で予約殺到」
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15273369290223

驚くのは、ファンが集まる時期が、声優ステージがある特定期間だけではないことです。毎週のように通い詰めるリピーターも多く、ファンは恒常的に大洗を訪れてお買い物をしています。

大洗町が持つどこか郷愁をさそう街並みや商店街の人々の温かみ、そして名物のあんこう鍋、お刺身、ナポリタンなどのレトロなフード……それらが「ガルパンおじさん」の心に響いたのではないでしょうか。都会のシャレオツなファッションビルより大洗のほうが落ち着く……そんな男性の心理は、我が夫を見ていても容易に想像できます。

また、『ガルパン』の根底のメッセージであろう「みんなでがんばろう」が、観光地として揺らいだ時期もあった大洗町と重なって見えたのかなとも思います。

NYツアーが行われた『BANANA FISH』については、ニューヨークという街が、アッシュという美しい天才少年の孤独と悲運を象徴しているように見える点も大事だと思います。人物の境遇と明暗、手の届かない憧れをNYの街に重ねて描いた原作がそもそも神!という話ですが……。NY自体も、女性の心をつかむ街ですよね。
聖地巡礼が根付くのは、その作品ファンにとって素敵なところに見える場所だなと思います。

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長続きするコラボ商品は、作品の世界観とファン層が求めるものがうまく合致しているのだと思います。
上記の例は本当にざっくりとしていて、その道のファンの方には大変物足りない記述だと思いますが……。

ここでは、「オタクは“世界観”にお金を払う」ということが伝われば本望です。

※写真はコラボではないですが、アニメ「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」(通称キンプリ/全4章連続公開&19年4月8日よりTVアニメ放送開始!)の物販グッズ。キラキラしたプリズムショーを見せる作品なので、キラキラしたグッズが人気です。

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