The Qualified Sales Leader解説③Championを見極める
こんにちは。Magic MomentでAccount Executiveをしています、渡邊(@Yusuke_W8)と申します。前回に続き、”The Qualified Sales Leader: Proven Lessons from a Five Time CRO”の解説、やっていこうと思います。
前回はScopingの3つのジャーニーについて、1度で完璧な提案を目指そうとはせず、まずは素案をスピード感をもってあてにいき、さまざまなステークホルダーと提案を作り上げていくことについてお話しさせていただきました。
本noteを理解いただくために必要な前提知識↓
今回は第3回、”Championを見極める”についての解説を行っていこうと思います。よく聞く、Championって、なんとなくわかるようでわからない・・・。そんな方にぜひ読んでいただけたら嬉しいです。もちろん、ここで書かれていることはChampionを示す要素の一部かもしれませんが、これまでさまざまな文書を読んできた中でいうと、かなり主要な部分を押さえている印象でしたので、とても参考になると思います。
Championを見極める ←今回の内容
前提:Championはたったの数ヶ月では育たない
エンタープライズ企業におけるChampionは、商談期間となる数ヶ月〜1年くらいじゃ育たない、だから見つける必要がある。
上記が今回の解説における、前提になると思います。なぜなら、Championが纏う影響力には役職やプロジェクトが紐づきますし、スタートアップや小さな企業であればまだしも、エンタープライズ企業においてはこれらは数年単位でのアサインになるからです。もちろん、数ヶ月で対面の担当者が劇的な成果をあげたり、成長をされることはあるでしょう。ですが、顧客社内におけるプレゼンスと影響力は遅行指標です。まず今回の提案を決めるためには、じっくり社内での影響力を育ててきたChampionを探し当てる、というアクションが一番初めになるとご理解ください。
CoachとChampionの違い
初回商談において、お会いできた商談相手がChampionであることはさほど多くはないでしょう。BDRががっつりターゲティングして獲得したアポイントですら、半分でもChampionであればかなり精度が高いと思います。ましてや、SDRが獲得する、問い合わせ経由のアポイントではさらにその率は下がってきます。
したがって、商談の初期段階においては、Championにいかにたどりつき、見極めるかということが重要になってきます。
また、よりこれを具体的な振る舞いにして比較しているのが下記の表です。
やはり、一定の工数をかけてリスクも背負い、具体的なアクションまで実行してくれるのがChampionの特徴となります。
ですから、商談序盤では、CoachからChampionの情報を引き出し、つないでもらえない場合にも、あの手この手でChampionにたどり着くことが必要になってきます。
なぜ推進にChampionが必要なのか
上記の振る舞いにも表現されていますが、なぜChampionにたどり着く必要があるのか。それは下記の3つだと言っています。
もっともこの中で大きな要素が、取引をコントロールするという点にあるとみています。では、コントロールとはどういう状態か。本書では、ルートも行き先も完全に決められているバスに乗るか、こちらで行き先を指定した上で、いくつかの指示をだしながらたどり着くUberに乗るかの違い、という比喩で表現されています。つまり、こちら側から要所要所で適切な介在ができる状態、Close Dateまでに適切な状態で着地させられるかどうか、ということを言っていると理解しました。
ジュンヤさんのtweetを読んで思ったのが、商談に巻き込んで当事者にしておくことができている、というのはそれだけ顧客の情報を正しく認識しコントロール下におけていないとできないことだなと。スリップや、ヨミを外すということは、Championを握れていないから起きることなのです。
また一方で、Economic BuyerにとってもChampionは非常に重要な存在です。多額なコストをかけてソリューションを導入する、その意思決定を下すわけですから、ちゃんと推進されなければ全く意味がありませんし、その判断責任をEconomic Buyerは負わなければいけないわけです。社内での推進力があり、何がなんでもコミットできると信頼できる懐刀に任せる以外の選択肢はないわけです。
Championを見極める4象限
組織図は多くのことを教えてくれますが、ことChampionを見極めるにはあまり役に立たないかもしれません。なぜなら、影響力という可視化されない要素も踏まえて見極めていく必要があるからです。権限と、影響力の2軸で、4象限に分けて考えていくとよいでしょう。
右上、権限も影響力も持っている場合は、典型的なビジネスChampion候補といえるでしょう。
右下、権限はないが影響力がある場合は、えてして深いドメイン知識を持っている場合が多く、技術的なChampion候補になることが多いでしょう。そしてビジネスChampionは技術面での評価をするにあたり、彼らに意見をよく求めます。
Economic Buyerたちは、重要なビジネス課題の解決策を検討する際に、彼らに相談をし、その専門性と過去の意思決定で勝ち得た信頼をもとに、さらに影響力を発揮できるようにします。彼らの振る舞いは、Economic Buyerの将来の意思決定に影響をするわけです。
一方で、左側の2象限にあたる方には当たる必要はありません。彼らはコーチになることはあれど、いくら彼らを説得しようとしても、時間の無駄になるだけです。
Championを発見しよう
上記の4象限を頭に入れた上で、右側に当たる人たちを探り当てるための問いが下記になります。
話しただけで、この人は影響力がある!と思うこともあるかもしれませんが、ほとんどの場合は、役職ではなく、役割として、なんらかその影響力が発揮される(された)過去の仕事があるはずなのです。誰が相談したか?会議中の発言力は?など、かなりインターナルの深めの情報もありますが、この辺りはCoachと対話をするなかで確認していくとよいでしょう。
Championかどうかを見極める
さて、いろいろなつながりの中で、Championと思われる方とお会いすることができたとします。ただ、これから苦楽を共にし、ビジネスパートナーとなる上で、その方が本当にChampionであるかどうかを見極め、Championかどうかを試す必要があります。
ただ、この試す行為は、第一回の解説でもお伝えしましたが、絶対に信頼を勝ち得てからにしてください。順番が逆になると、逆に信頼を損ねるだけでなく、機会自体を失うことにもなりかねません。絶対にです!
大事なことなので再掲です↑
では、信頼を勝ち得たうえで、どんな質問をしていくべきか。
これらの問いに共通しているのが、”ディテールの解像度”かなと思います。過去さまざまなソリューションの導入と運用を経験しているからこそ、その際の評価基準、誰がどう関わるか、Economic BuyerがAs-Isで事業をどうみているか、手なりの未来としての事業シナリオを把握しているか。競合の(競合となりうる製品や動き)動きや評価も捉えられているか。そういった観点を解像度高く捉えてアドバイスをしてくれるわけです。
そして、彼らがChampionであれば、こんなことをお願いできるようになります。
高い解像度をもちながら、これらのお願いを一つ一つ叶えて商談を前に進めてくれる。もしくは自発的にこうした機会を設定してくれる。そうした振る舞いを確認し、Championであることを確かめていきましょう。
競合/反対者のChampionへ備える
また、忘れがちなことですが、Championは一人ではありません。競合や反対意見にChampionがつくこともありうる話です。
常に打ち手として、どんなシチューエーションでも勝てるよう、複数のChampionにアクセスしておく必要はあります。最低限でも、把握はできるようにしておきましょう。
Championの見極めは数多くの経験と社内に目を向けてみて
今回はChampionの見極めについて詳細をまとめてきました。今回のまとめを通じて思ったことは、プレゼンもしながら質問もして、こんなのすぐに見極められたらすごいわ!ということでした。もちろん一朝一夕でできることではないと思います。ただ、顧客に聞かなければずっとこの嗅覚は磨かれないままです。たくさんの商談相手に質問をぶつけて、自分の中にフレームワークを落とし込み、見極められるようにしていきましょう。
また、本noteをお読みいただいた皆さんが、エンタープライズ企業に属しているのであれば、この辺りを一番早く理解するのは、顧客ではなく、自社におけるChampionが誰でどういう振る舞いをしているか?ということを考えてみるのが良いかもしれません。片手に収まるくらいの、ごくわずかな人数しかChampionと思われる人がいないこと、そして彼らの際立った振る舞いから、見極めるためのヒントを得られるでしょう。
さて、次回は見極めたChampionをどう握るのか?握れているというのはどういう状態なのか?というテーマを解説していこうと思います。引き続きお読みいただけたら嬉しいです!
Championを握れているとはどういうことか ←次回の内容
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