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製本って実は色々できるんだ「コデックス装」

こんにちは、渡邉製本です。
今回は渡邉製本でこんな製本もできますというお話です。

製本って実は色々できるんだということを知ってもらうことで、本棚や書店、図書館に並ぶ本の見え方がひと味ふた味と深みを増して、楽しい時間になればと思います。

多様な製本様式がありますが、最初は渡邉製本でも引き合いの多い「コデックス装」をご紹介します。

記事を書いた人:ひよっこ河合

開きが良く図録や写真集にも人気の「コデックス装」

糸綴りの背中をそのまま見せる並製本「コデックス装」

【コデックスそう】 コデックス装 Codex
糸綴の背中をそのまま見えるように本を仕立てる仮製本様式。糸綴並製本ともいう。特徴として、本の開きがとても良くノド元まで開くため、手で押さえなくても開いたままの状態を保つことができる。図録などの見開きページの多い本に適した製本方法でもある。最近では"バックレス製本"などとも一部で呼ばれている。

渡邉製本株式会社「製本用語辞典」

糸綴りの背中をそのまま見せる並製本の一種。
ここ10年ほどで認知度も上がり人気のスタイルです。

開きが良いので見開きページが多い書籍にも適している

開きがとても良く垢抜けたカッコよさがあるので、写真集や図録、アパレルのカタログなどで引き合いを多くいただきます。
キーワードとしては、無骨・ミニマル・スマート・都会的といったところでしょうか。

様々なアレンジのコデックス装

一般的な「本」のイメージを離れ、手に取ったときに純粋に面白いデザインだと感じられるのもコデックス装の良さ。
表紙の素材や厚み、綴じ糸の組み合わせ次第で、書籍内容に合うイメージに仕立てることができます。
それでは、事例をご紹介します。

カラー糸で綴じたコデックス装

綴じ糸はカラー糸を選ぶこともできます。
背中は綴じっぱなしだと余分な糸がチョロチョロと出ているので、背掃除と呼ぶ工程を行い、見栄え良く仕上げます。

寒冷紗を巻いたコデックス装

寒冷紗を巻いたコデックス装なんていうのもできます。
文具好きの方はピンとくるかと思いますが、ミドリさんのMDノートが一番身近に手に取りやすい寒冷紗巻コデックス装かも知れません。

コデックス装×三方小口色塗りの組み合わせ

背中以外の三方(天・地・小口)に色を塗り、綴じ糸と色を合わせている

こちらの作品集には、コデックス装の背中以外の三方に、綴じ糸と同様の色塗りをしています。
上の写真では本文のみに色塗りを施しましたが、表紙のボール紙断面まで色を塗るパターンもダミーで制作しました。

背中に書名・著者名が浮かび上がるコデックス装

落丁や乱丁防止のための背標せひょうとコデックス装を効果的に利用した装丁。背標は一般的に階段状の模様で付けられることが多いですが、書名と著者名が浮かび上がるよう計算されています。

折(おり)の工程の正確さがあってこそ実現できるデザイン

きちんと文字に見えなければいけないため、わずかな折りのズレにも気をつけ慎重に作業しました。

B4ヨコサイズに幅広の帯をかけたコデックス装

帯のない部分に寒冷紗巻コデックスが見える

こちらはB4ヨコサイズの写真集。B4ヨコサイズを手掛ける製本会社は少ないのですが、このサイズでもコデックス装が可能です。
表紙にカバーではなく幅広の腰帯を巻くことで、コデックス装の醍醐味である背中を魅せながら、判型の特大さに輪をかけて、写真の力強さを際立たせています。

表紙の断面を剥き出しにしないコデックス装

表紙素材には様々な用紙を用いることができますが、厚口のボール紙を使い箔押しやエンボスを組み合わせたコデックス装もデザイナーさんに好まれるようです。

ボール紙の断面を見せないように四方貼りをしてある

上の写真は展覧会の図録です。表紙に使うボール紙の断面を見せたくないとのことで、四方貼り加工をしました。
工程が増えもちろん手間とコストはかかりますが、丸みが出て、やわらかな品の良さがあるように感じられます。

【番外編】背中にクロスを巻いたコデックス装

茶色の方はデザイナーから「綴りの糸の跡が見えるように」と希望があった

番外編。コデックス装は背中の綴じ糸を見せるスタイルが定番ですが、こちらは布クロスを背中に巻き込んでいます。
ドイツ装とコデックス装の間の子のようなスタイルとも言えましょうか。

デザイン性と読みやすさの二刀流ができるコデックス装

たくさんの事例を見ていただき、コデックス装でデザイン性と開きの良さを両立できることがお伝えできたかと思います。

最近では、レシピ本やデッサン教本でもコデックス装が採用された本があるようです。
料理もデッサンも、手が離せなかったり汚れていたりして、本を開きっぱなしで使いたいシーン。コデックス装がピッタリですね。

次回からは、社長の持ち込み連載「国名がついた製本様式」の記事を3回に分けてお届けします!


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