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【自分語り】相貌失認 -誰が誰かはっきりしない世界-

こんばんは。
突然ですが、「相貌失認」という言葉を聞いたことがありますか?

人相の「相」と美貌とかの「貌」。
つまり人の顔のことです。

それから「失認」。
これはこの記事を書こうとして初めてきちんと調べたんですが、

失認(しつにん)とは、ある一つの感覚を介して対象物を認知することができない障害のことである。視覚、聴覚、触覚などの他、病態失認や半側空間無視なども失認に含まれる。高次脳機能障害のひとつである。

Wikipedia

……とのこと。
なんて?って感じですね。

あるいは、もしこれを読んでいるあなたが何かの失認症の当事者だったら、
なんとなく分かったのではないでしょうか。
私も難しいことは知らないのですが、上記の説明が何を言っているか、なんとなく分かってしまいます。


これを書いている私は「相貌失認症」というものに当てはまります。
しかしそのことに気が付いたのは、大学生になってからでした。
なんとそれまで、人の顔を覚えるのが苦手だということにすら気が付いていなかったのです(無頓着だっただけかも……)。

しかし「相貌失認」だと自覚してから思い返すと、私の人生は確かに
誰が誰かはっきりしない世界でした。(タイトル回収)


例えば小学校の休み時間。
私は同じクラスで仲良しのAちゃんに話しかけようと思いました。
教室を見渡すと、女の子も男の子も何人か残っています。

ここで普通の人だったら、まず顔を見るのだと思います。
当然です。休み時間だから席にいるとは限らないし、服装は毎日変わるし、
髪型も、昨日はポニーテールでも今日はツインテールかもしれません。

一般的に、絶対に不変のもの。
その人をその人だと断定できるもの。
普通はそれがなのだと思います。


しかし、私が「あの子がAちゃんだ」と確信を持つために見ていたのは、顔でも服でも髪型でもありません。


筆箱です。


窓際の席にいるあの子が使っている筆箱は、昨日Aちゃんが持っていた筆箱だ。だから、あの子は間違いなくAちゃんだ。

そういう思考を挟まないと、私は窓際にいる女の子がAちゃんだという自信を持てなかったのです。Aちゃんとは普段から仲が良く頻繁に話していたはずなのに、顔を見ただけではAちゃんだと確信が持てないのです。


といっても筆箱はあくまで確信を持つためのもので、筆箱を持っていなかった場合、私は顔と声と雰囲気で判断していました。


ここまで書いておいてなんですが、私の相貌失認は軽い方です。
顔でもある程度判別できます。確信度は30%くらい。

確信度30%というのはつまり、私が同じ顔の人に100回遭遇した場合、
「あれは我が友Aちゃん」と確信して話しかけられる回数が30回ということです。(伝わりますか?)

リアルで自分以外に「相貌失認だよ」という方に出会ったことがないのでこの確率が高いのか低いのか分からないのですが、相貌失認でない方は90%くらいいくんでしょうか?
もし読んでくださっている方がいれば、コメントで教えて頂けると勉強になります。



※今さらですが、この記事に書いてあることは全て私個人の場合ですので、すべての相貌失認症の方が同じ感覚・判別方法を用いているわけではありません。念のため。


筆箱を持っていなかった場合の話に戻ります。
というか日常生活で筆箱を持っていることが稀なので、日常的に私が人を判別する時の話になります。


私の場合、まず顔を見てなんとなく「あの人は〇〇さんっぽいな」とあたりをつけます。しかし先ほども書いたとおり、顔で確信を持てるのはせいぜい30%。

そこで顔の次に判断材料にするのがです。
これは相手が誰かと一緒にいる場合に限られますが、声と顔の組み合わせで「あの人だ!」という確信度は跳ね上がります。


ここで小学生時代の筆箱のようなアイテムがあれば大勝利ですが、大概そんなものはないので最後の判断材料。


雰囲気
です。


最後がそれ!? と思われるかもしれませんが、意外と大事です。
人見知りの私にとって人違いは人生を諦めるほどの絶望ですので、念には念をいれます。

雰囲気というより、その他すべての情報と言った方が正しいかもしれません。顔と声で大体のあたりはつけてありますので、予想した人物に目の前の人が当てはまるかを瞬時に判断します。

  • 髪型、眼鏡の有無(重要)

  • この時間この場所にいることに違和感はないか。

  • どんな表情をしているか。

  • 一緒にいる人は誰か。

  • 着ている服の系統、持ち物に見覚えはないか。

話しかけられた場合は、「私のことを知っている人物」というところまで絞れます。


そこまで考えて考えて、確信度90%を越えてようやく

「おー!(^o^)/」

とかなんとか反応できます
(コミュニケーション能力についてはスルーしていただいて……)



私が見ているのは、そんな世界です。
10年前に会ったきりの同級生なんてもう全く分かりません。
街中で出会ったものの、確信を持てずに曖昧な返事をして別れた同級生(仮)が何人いることか……。

他にも、手を振られても知り合いだと気付かず無視してしまったり、顔を見てなんとなくあの人だな、と思ったのに確信が持てず声をかけられなかったり、昔の写真を見せられて「どれが私か分かる~?」が冗談抜きで見当もつかなかったり……そのほか、いろいろ。


「覚えられないのではなく、そもそも人の顔を見ていないのでは?」


というご意見もあると思います。
私の場合は、それもあります。


人の顔を見ないから相貌失認の影響が強くなっているのか、
そもそも相貌失認によって人の顔を見ない癖がついたのか。

それは永遠の謎ですが、一つ言えることは


覚えていないのではなく、特徴が掴めない


ということです。


覚える覚えないではなく、
最初から「覚えるために必要な特徴を捉えられない」のが相貌失認です。


私に言わせれば、全員目も鼻も口も眉もだいたい同じ場所についているのに、何をもって「これはあの人だ」と個人を特定できるのかが理解できません(これは頑張っても分からないのでもう開き直っています)。


こんな経験もあります。
私は家で家族と映画を見ていました。日本の映画です。

しかし見ていると突然、見覚えのない登場人物が出てきました。
当たり前のように出てきて、そのキャラについての説明も何もなく、当たり前のように話が進んでいきます。

ん? 新キャラじゃないのか?
最初の方に出てきたモブか何かだけど、私が覚えていないだけなんだな。

そこで隣にいた母に聞きました。
「このキャラ誰だっけ?」


母「この人? 主人公だよ


日本の俳優さんでこれです(笑)
大概顔が分からなくてもストーリーで分かるので、ほとんどの映画やドラマは楽しんで見られるのですが、たまにこんなことが起きます。


ちなみに芸能人もほとんど分かりません。
綾瀬はるかさんは声を聞けば一発で確信できます。綺麗なお声ですよね。

俳優さんは作品によって雰囲気が違うので、同じ人だよと周りに言われても分からないことが多々あります。

知り合いでさえ、髪型や眼鏡を変えられたら分かりません。
最後の砦にして最大の判断材料、雰囲気が変わるからです。
待ち合わせしている友だちがいつもと持ち物や髪型が違ったら、話しかける前にドキドキしてしまいます(人違いじゃないかと思って)。


あと、これは私が時代に追いついていないだけかもしれませんが、
アイドルグループのメンバーも男女問わず見分けがつきません(泣)

綺麗な方というのは、顔のパーツが整っている=最も平均的な位置にある方です(一般人100名の顔を平均したら美形になるという検証?がありますよね)。

顔の特徴をとらえるのが苦手な相貌失認。
特徴(=平均からのズレ)がほとんどないアイドル。

個人的な見解に過ぎないのですが、相貌失認の人間が綺麗な方々を見分けるのが難しいのにはそういう因果関係があると思うのです……。


星が眩しすぎて肉眼では違いが分からないのと同じですね!



えーと、この記事どうやってしめよう……(困)

noteを始めたのは創作物を公開するためで、あまり自分のことを書くつもりはなかったのですが……。

この記事は、ふと書こうと思いました。

「人の顔を見ても誰か確信が持てなくて、知り合いにも話しかけるか戸惑ってしまって、なんだか生き辛い……」

もしも日本のどこかにそんな人がいて、
もしもこの記事に辿り着いて、読んでくれたら。


「似たようなことで悩んできた人間が、
 少なくともここに一人いるよーーー!!」


なんの解決策にもならないけれど、いるよってことだけ届いたらいいなと思いました。



誰が誰かはっきりしない世界、怖いですよ。

向こうから歩いてくる人を知ってるか知らないかって、
けっこう大事じゃないですか。
そんな中で生きている私たち、偉いです。
もはやちょっとした冒険家です。

外向的な性格の人なら、人付き合いするうえでこんなキツいハンデはないし内向的な性格の人なら、怖すぎる世界から目を背けてしまいそうになるし

全人類名札を付けてくれればいいのにって思いますよね。




これを読んでくださっているあなたが相貌失認でなくても、
「そんな人もいるのか―」と思っていただけたら、それだけでも何時間か描けてこの記事を書いてよかったなと思います。


そう、何時間かで書いたんですよこの記事。
だから構成も文章も下手くそだし、読みづらいと思います。
それなのにここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

書いたらすぐに上げないと、冷静になったら消してしまいそうで……。


こういう記事のしめ方が分からないので、もう終わります。
読んでくださってありがとうございました。


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