[母子家庭統合失調症の母との生活]10歳 その2 有名人が車をくれる

「今の聞こえた?そこにタモリさんとさんまさんがいるんだって。車くれるみたいだよ。どんな車がいい?」

母と妹と3人で買い物に出かけた帰りの車の中での会話です。
何言ってるかわからないですか?僕もです。

母は順調に悪化していた。独り言も増えたし、意味のわからないことを言ってくることも増えた。
夜になると「体がだるい。動けない」と言って、コタツに寝る事も増えた。(体が動かないのは当時は気にしていなかったが、今となって思うと統合失調症の症状だったのかなと思う)

最初の会話に戻ります。
「何言ってんの。そんなわけないじゃん。意味わかんないよ。」
もうすっかり母親の言動に慣れてきた僕たちは普通にこんなふうに言い返していた。

「聞こえないわけないだろ!お前は聞こえてるのに嘘ついて、お母さんを馬鹿にしてるのか。」

そして毎回ではないけど、こんな風に理不尽にキレられていた。
今となっては病院に連れていくとか、親戚に相談するとかすればよかったとは思うけど、10歳の僕は統合失調症(当時は"精神分裂症"とか言われていたかも。)なんて知るはずもなく、適当に流すか、本気で言い争いをするかしかできなかった。

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