田中一郎

母子家庭で統合失調症の母親の元で育った体験談。自分のための覚書と、統合失調症の身内を持…

田中一郎

母子家庭で統合失調症の母親の元で育った体験談。自分のための覚書と、統合失調症の身内を持つ人の参考になれば。 奨学金で高校大学を卒業し、某メーカーのSEに就職。現在は結婚して地方で家を買い、家族と暮らす。家庭が貧しくても進学や人生何とかなることも伝えていきたい。

最近の記事

[母子家庭統合失調症の母との生活]12歳その1 私はじいちゃんの子供じゃないかもしれない

午後18時半。普段なら仕事から帰ってきているはずの母親がまだ帰ってこない。 (もしかして、、) こういうことは初めてではなかったので、なんとなくこの後どんなことが起こるかわかっていた。 しばらくして家の電話がなった。かけてきたのは予想通り母親。 「今東京にいる。お前は子供だからわからないかもしれないけど、私はじいちゃんの子供じゃないかもしれないから調べにきてる。ご飯は妹と好きなもの食べて先寝てて」 「何それ?仕事はどうしたの?」 「仕事はやめた」 やっぱりか。内容も

    • [母子家庭統合失調症の母との生活]11歳その3 母がアダルトビデオに出ている?

      母親がタンスの上にビニール袋を置いていた。 中に何か入っていたが、普通の袋だし僕は全く気にしていなかった。 数日後、いつもの様子で母親が意味不明なことを言い出した。 「私がアダルトビデオに出てるらしい。鈴木さんの旦那さんがそういうビデオを持っているらしいから借りてきた。」 よくよく聞いてみるとタンスの上の袋には、母が知り合いから借りてきた知り合いの旦那のAVが入っていたらしい。 僕も当時詳細を聞いた訳ではないが、おそらく鈴木さん(母がその頃入っていたママさんバレーのチー

      • [母子家庭統合失調症の母との生活]11歳 その2 あいつはおかしい

        家族3人(母親と僕と妹)で祖父の家に泊まりに来ている時のこと。 22時を過ぎて僕と妹は居間の隣の、祖父の寝室で横になっていた。 居間では母親と親戚がまだ起きていて、会話している声が聞こえてきていた。 なかなか寝付けず、ゴロゴロしていると居間の話の中で私の名前が聞こえてきた。 「一郎はやばい、おかしい」 母親が私が変だと親戚に必死で訴えていた。 前にも何度か言った通り、母親とはちょいちょい口論になる。 母親が意味のわからないことを言ってそれに対して、僕が正論を言い

        • [母子家庭統合失調症の母との生活]11歳 その1 東京から迎えにくる

          夏休みのある日、親戚が祖父の家に遊びに来るということで、僕たちも祖父の家にお邪魔することにした。 が、母親は「東京から迎えにきてくれて、東京行ってくる」と聞かず、一人家に残ることになった。 今思うとありえない話なんだが、当時の僕はあまり深く考えていなかったのか、さっさと祖父の家で親戚と遊びたかったのか「ふーん、そうなんだ」くらいの感じだった。半分くらいはほんとに誰か来るのかなとか思っていたと思う。 午前中、親戚が迎えにきて、僕と妹は祖父の家へ。 しかし、しばらくして忘

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          [母子家庭統合失調症の母との生活]10歳 その4 田舎道で放り出される

          家から車で20分ほどの祖父の家に行った帰り。(もちろん私はまだ運転できないので、母の運転です) 「今の聞こえた?」 いつものやつが始まりました。 「聞こえないよ、聞こえる訳ないじゃん」 「そんな訳ないだろ!お前は聞こえてるのに聞こえていないフリをしてるんだ!なんでお母さんを馬鹿にするんだ!」 「いや、だって何も聞こえないし。意味わかんない」 「なんでお前はそうなんだ!降りろ!」 「あっそ!降りるよ。馬鹿じゃないの?」 と、いう感じで10歳の私は田舎の田んぼ道で

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          [母子家庭統合失調症の母との生活]10歳 その3 母親が帰ってこない

          いつも18時前には仕事から帰宅する母親が、その日は帰ってこなかった。 その時はちょっとした用事か何かで遅れているのかな?くらいでたいして気にもせず適当にテレビでも見ていたと思う。 18時半くらいに家の電話が鳴った。 「もしもし…」 めちゃくちゃテンションの低い母親の声だった。 「もしもし、どうしたの?」 「今東京にいる。適当にご飯食べといて」 「は?東京?なんで?仕事は?」 「やめた。お前にはわからないかもしれないけど、私はじいちゃん(母の父親)の子じゃないかもしれないから調

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          [母子家庭統合失調症の母との生活]10歳 その2 有名人が車をくれる

          「今の聞こえた?そこにタモリさんとさんまさんがいるんだって。車くれるみたいだよ。どんな車がいい?」 母と妹と3人で買い物に出かけた帰りの車の中での会話です。 何言ってるかわからないですか?僕もです。 母は順調に悪化していた。独り言も増えたし、意味のわからないことを言ってくることも増えた。 夜になると「体がだるい。動けない」と言って、コタツに寝る事も増えた。(体が動かないのは当時は気にしていなかったが、今となって思うと統合失調症の症状だったのかなと思う) 最初の会話に戻り

          [母子家庭統合失調症の母との生活]10歳 その2 有名人が車をくれる

          [母子家庭統合失調症の母との生活]10歳 その1 ある朝

          「お父さんそこにいるの?うん…うん…そうなんだ…」 ある日、目を覚ますと、隣の部屋で母親が父親に話しかけている声が聞こえてきた。 母親は今にも泣き出しそうな声で話し続けているが、父親からの返事はない。 それもそのはず、父親は1週間ほど前に持病が悪化して死んでいる。 僕は咄嗟に「父が死んだショックで、母が狂った。今出て行ったら殺されるかもしれない」と本気で思い、怯えながら寝たふりを続けた。 (今思うとなんで"殺される"なんて思ったのか謎だが、その時は本気でビビっていた。)

          [母子家庭統合失調症の母との生活]10歳 その1 ある朝