[母子家庭統合失調症の母との生活]10歳 その3 母親が帰ってこない

いつも18時前には仕事から帰宅する母親が、その日は帰ってこなかった。
その時はちょっとした用事か何かで遅れているのかな?くらいでたいして気にもせず適当にテレビでも見ていたと思う。
18時半くらいに家の電話が鳴った。
「もしもし…」
めちゃくちゃテンションの低い母親の声だった。
「もしもし、どうしたの?」
「今東京にいる。適当にご飯食べといて」
「は?東京?なんで?仕事は?」
「やめた。お前にはわからないかもしれないけど、私はじいちゃん(母の父親)の子じゃないかもしれないから調べにきてる。」
「え、何?意味がわからないんだけど…」

どうやら幻聴で、自分の父親が祖父とは別の人間だと吹き込まれたらしく、東京でどこかに調べに行ったらしい。
結局どこで何をしてきたのかはわからないが、翌日の朝にはいつのまにか母親は家にいた。
母親が訳のわからないことを言いながらどこかの機関や会社に突撃し、逮捕されたりするんじゃないかと子供ながらにビクビクしながら過ごしたのを覚えている。

ちなみに仕事の帰りが遅い→東京にいる。仕事やめた。
というパターンは、その後5、6回は同じことがあった。私が知る限り母親は20回くらいは仕事を辞めている。

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