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【読書記録】楽園の烏(阿部智里)

【あらすじ】
新宿の片隅でたばこ屋を営む安原はじめ。7年前に失踪した父から「山」を相続した途端に、謎の買取希望者が次々に現れる。一体その山には何が隠されているのか?「幽霊」と名乗る美女に導かれ、山の"中"へ降り立ったはじめが見た光景とはー(あらすじより)

【感想(ネタバレあり)】

八咫烏シリーズの第2シーズン!しばらく追ってなかったけど、第1シーズン読み返して、第2シーズンも読まなければ!となって本屋さんで入手。

「幽靈」に導かれて山内に来てしまった安原はじめ。山内の様子を知るため、自分の立場を利用して頼斗とともに山内中を見て回ることになる。

見て回るのも、いいとこばかりではなくて、花街だったり、地下街だったり、地下から連れて行かれた女たち、男たちが働く場所だったりで、山内の闇を見せられてる感じ。

どこもなんだか不穏な感じというか、誰も不平不満を言わない偽りのユートピアというか。実際、みんな不満を言えない、言ったら博陸候の手のものにどこかに連れて行かれて矯正されそうな雰囲気。 

博陸候というのは黄烏になった雪哉のことなんだけど、40歳くらいのいい歳になってて、結婚はしてなさそう。勁草院時代に自分を慕ってくれていた治真が腹心の部下のようなんだけど、めちゃくちゃ悪役っぼいんだよね。家族の平和のために化物になる決意をした雪哉がそのまま非情な為政者となったのが博陸候って感じで、山内の存続のために、治安の維持のためにまじでなんでもする。怖い。

他にも怖いのが、金烏が出てこない。奈月彦は一体どこに…?金烏自体は名前だけでてくるけど、絶対奈月彦じゃない。浜木綿も出てこないし、澄尾も出てこない。勁草院時代の同期の千早は出てくるけど、地下街で用心棒してて雪哉と対立してるっぽいし、明留も市柳も姿どころか名前も出てこない…一体なにがあったんだろう?第1シーズンの終わりは辛いながらもちょっと希望が見える終わり方だったじゃない!みんな死んじゃったわけじゃないよね…?雪哉やっちゃってないよね…?という不安がつきまとう。

まだ若いはずの紫苑の宮も全然出てこないんだけど、これは冒頭に出てきた「幽靈」じゃないかと疑っている。そうなるとやっぱり雪哉が山内のために奈月彦とこ浜木綿を手に掛けちゃってる…?でも長束はいるし、雪哉のことをよくは思ってなくても真っ向から対立してるふうでもないから、流石にそこまではしてないか…?謎が深まる…

物語の最後、安原の養父は地下街の王、朔王であることが判明し、八咫烏たちと安原の駆け引きが続きそうな雰囲気を残して終わる。「幽靈」との絡みもありそうだし、先が気になるけど、まずはこれまでの山内になにがあったのか、奈月彦たちはどうなったのかが知りたすぎる!!

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