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【読書記録】眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学(亀田達也)

【あらすじ】

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。集団や社会の中の個、対人関係を「心理学」から読み解く1冊!(本の概要より)

【感想(ネタバレあり)】

わかりやすく図解されてるのと、見開き1ページで1つの内容なので、気が向いたときにちょこちょこ読み進められる。時間がない人におすすめ。

おもしろいな、と思ったキーワードをピックアップしてみる。

①プロセス・ロス
一般的に集団は個人より優れた判断ができると思いがちだが、実は必ずしも集団が個人に勝るわけではない。

たとえば、グループの話し合いでいいアイデアを思いついても、それを良いタイミングで発言できなければ、せっかくのアイデアが生かされにくい。特に他の人の発言中は、なかなか自分の意見は言いにくい。(これはめちゃくちゃわかる。)
また、他の人に任せておけばいいかという手抜きが生まれることもある。(これもちょっとわかる。)

このように、集団による話し合いの過程において、メンバーが本来持っている素質が活かされず損失が生じることををプロセス・ロスという。

5人グループに問題を解いてもらう実験では、グループの中に正解者がいれば協議して正しい答えを導けそうだが、正解者が1人だけだと27%、2人だと8%、3人でも4%は間違えた答えを導いてしまうらしい…!びっくり!

集団で出した答えが必ず正しいものなのか、常に疑ってかかる視点は大事だな、と思った。

②投票のパラドックス
話し合いは全員の意見を反映させた民主的な方法と思われがちだが、実は合議の進め方次第では結果を操作できる。投票のパラドックスという有名な命題があって、例えばA党、B党、C党がそれぞれ出すA案、B案、C案のうち、A案を通したい場合は下記の順番で投票するとA案が通りやすいらしい…!

1.B案とC案で投票
 
A党→B案に投票
 B党→B案に投票
 C党→C案に投票
B案勝ち上がり!

2.A案とB案で投票
 A党→A案に投票
 B党→B案に投票
 C党→C案に投票
A案勝ち上がり!

確かにこの順番だとこうなっちゃうかも!民主主義で決めてるつもりでも、実はこういう思惑で決まってることがあるのかも。自分が決められちゃう側だったら気をつけたいし、逆に仕事の会議で案通したいときは活用したいなって思った。

③泥棒洞窟実験
人は自分が所属する集団(内集団)にはおもいやりをもち、他人が所属する集団(外集団)には敵愾心を抱く。こうした集団間の対立を集団間葛藤という。

集団間葛藤を解消する方法を探すために行われたのが泥棒洞窟実験で、詳細は本を読んだりネットで調べてみてほしいんだけど、この実験の結果、

・内集団は外集団の存在を意識することで「われわれ意識」が強まり、より仲間意識が強まるとともに外集団への敵愾心を燃やす。
・集団間葛藤を解消するには、単なる集団間の交流ではなく、各集団が協力しなければ解決できない上位目標を与えることが効果的

ということがわかったそう。これも自分がチームを運営するときに役に立ちそうだな〜と思った。

④フット・イン・ザ・ドアと一貫性欲求
アイテガ承諾しやすい小さな要求から段階的に要求を大きくして本来の欲求を成功させるテクニックのことをフット・イン・ザ・ドアテクニックというのは知っている人も結構多い気がする。

人は小さな要求を承諾するとその行動に一貫性を持ちたいという心理が働いて、さらに大きな要求も承諾しなきゃ、という心理になるらしい。これを一貫性要求という。

こういう人間の心理があるから、フット・イン・ザ・ドアみたいなテクニックが有効になるんだ〜と興味深く読んだ。

⑤バランス理論
人(P)が相手(O)に対して持つ態度(PO)は、ある対象(X)に対して持つ関わり方(PX)と、相手とその対象との関係(OX)からの影響を受けるという理論。これを好きを+、嫌いを−としてそれぞれの記号を掛け算したときに+であれば、バランスが取れた関係、−であればバランスが取れていない関係らしい。

例えば、私(P)と私が好きな夫(O)との関係(PO…+)については、私は犬(X)が好き(PX…+)なのに、夫は犬が嫌い(OX…−)だと、
(+) ✕ (+) ✕ (−) = (−)
で結果マイナスになるので、同じものを好きになってもらえない…!というストレスが生じるということらしい。

このバランスの取り方は
 ・自分の態度を変える
 ・相手の対象への態度を変える
 ・相手との関係を解消する
の3つらしいんだけど、人間関係はそんな簡単に理屈通りには行かないでしょ〜と思いながら読んでいた。

でもバランスの不均衡の解消には役立たなくても、自分のストレスの原因を自己分析するのには役立ちそう。

他にも面白そうなキーワードがいくつかあって、人によってそれぞれ刺さるものは違ってくると思う。気になるキーワードだけぺらぺらと捲ってみても面白いかも。

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