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タツミマサアキ・グレーテストヒッツ

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2024年でデビュー30周年を迎える推理小説評論家・巽昌章氏の散文がレーベルを越えてここに集結。リマスター音源使用。
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記事一覧

『ナイン・テイラーズ』(ドロシイ・セイヤーズ)解説~タツミマサアキ・グレーテスト…

《つまり、この小説の奇妙な味わいは、謎解きの過程を経て事件の論理的なつながりが明らかにさ…

松井和翠
3年前
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『いざ言問はむ都鳥』(澤木喬)解説~タツミマサアキ・グレーテストヒッツ(6)~

《無数の小さなものたちに、緑のものたち取り囲まれて、彼ははたして、自分一人で思考したとい…

松井和翠
3年前
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『緑衣の鬼』(江戸川乱歩)解説~タツミマサアキ・グレーテストヒッツ(5)~

《この書物が人々を驚かせた理由のひとつは、乱歩の評論活動が井上の甚大な影響の下にあったこ…

松井和翠
3年前
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『バイバイ、エンジェル』(笠井潔)解説「始まりの赤い印」~タツミマサアキ・グレー…

《しかし、そうした微妙な行き過ぎにこそ、この作家と本格推理小説の接点が現われているとみる…

松井和翠
3年前
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巽昌章:bibliography

《1990年》 10月 小説「埋もれた殺意」 〈小説現代臨時増刊〉講談社 → 『有栖川有栖の…

松井和翠
3年前
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ザ・ロード・トゥ『タツミ マサアキ・グレーテスト ヒッツ』

 作家略歴  1957.4.5~  三重県上野市生まれ。京都大学推理小説研究会出身。  2007年『論…

松井和翠
3年前
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『囲碁殺人事件』(竹本健治)解説「かすかな悲鳴を」~タツミマサアキ・グレーテストヒッツ(1)~

《『囲碁殺人事件』をひきおこしたのは、この世の規則からいつのまにか抜け落ちてしまった人間、いわばいきながらの幽霊である》  誰が言い出したのか判然としないが、かつて〝黒い水脈〟や〝黒の水脈〟と呼ばれる一派が存在し、風の噂によればそのどす黒い血脈を受け継ぐ者が現代にもいるらしい。中には、その血筋を公然と標榜するさながら現代の天一坊のような者もおるそうで、小心者の私などは、そのうちお上から天誅が下されやしないかと他人事ながら、心配してしまう。  さて、この〝黒〟の一派の共通する