家族に嫌いって伝えた話

 突然ですが、僕は実の家族が嫌いです。それをもう16年くらい抱えて生きてきて、きょうだいを通じて一度伝えたことがあった程度で自分の口から伝えたことはありませんでしたが、先日、思うところがあって、手紙でこういうことをする家族が嫌いと伝えた。

 僕が6歳の時に両親が離婚し、母方の実家での生活が始まってからというもの、ストレスしかなかった。
 まず、友達を大勢リセットされたこと。小さい子供にとってこれほど辛いことはないと思う。どんな年齢でも一度できたクラスのグループは崩れないから、夏休み明けでの転校はかなり痛かった。
 次に、祖父母の存在。祖父母とはあまり会ったことがなく、たまに会えば笑顔で挨拶してくれるいい人だとばかり思っていましたが、違いました。新しい生活での不安から、いっぱい話そうと頑張っていた。食事中に大きな声で話せば、無言でテレビの音量を爆音にするか、テレビ見てるから黙れと怒鳴られた。正直、一番しんどかった。
 最後に父親の不在。父とはあまり話したことはありませんでしたが、休日に社会人のサッカーの練習に行く父を車から見たり、サーフィンをする父を見てるのが好きでした。僕としては嫌いになる理由もない父を、周りが僕には話せない何かを抱えつつ、嫌っている。そんな状態でした。

 新しい家での生活をしていくうちに、うるさくて怒鳴られることが多く、そのストレスから、かなり酷い癇癪を母や姉にしていました。怒鳴らなければ、祖父母は面倒見が良いし、調子に乗るようなことを言っていればいいんだなと思うようになっていった。祖父とは同じテレビを見て話せば怒鳴らないし、お菓子もくれるとわかった。祖母には簡単な手伝いや料理を褒めればいいと分かった。
 ただ、この家族はまだ壊れていた。今から思えば、誰でも怒ると思うのだが、祖父に対してみんなの当たりが強かった。夕飯は祖父だけ早く食べさせ始めて、食べ終わったら早く寝ろってキレる。祖父もそれにキレる。これが毎日。祖父とは誰も会話すらしようとしないから、案の定認知症になった。その症状から来る物忘れが、暴言に繋がり始めた。今でもハッキリと覚えているが、僕の高校時代、夕飯を食べていて祖父の物忘れから、祖母や母が怒り始め、その日は祖父もすごい怒りようで、外に食器を投げ捨て始めた。田舎とはいえ近隣の方には聞こえるレベルの騒音と怒鳴り声が響き、早くここからいなくなりたいと思った。

 大学入学が決まったとき、心の底から嬉しかった。受かった喜びではなく、家族から解放される日がついに来たと。周りもとても祝福してくれたが、僕の中での喜びとはズレまくってていたたまれない気持ちもあった。
 家族から解放されたとはいえ、家族は家族なわけで、姉が一人暮らしを始めたときは僕や母は姉のところへ遊びにいくことが多かった。当然、周りの学生も家族が家に来ると言っていたので、自分のところへも来るものだと思っていた。ところが、大学生活を始めて一年の間何もなかった。仕送りの連絡や業務連絡しか取らず、僕のところへ来ることはなく、愛情なんてないんだなと思った。
 僕が大学でのある出来事で強い鬱状態になり、学生生活どころでなくなったことがあったのだが、その時に連絡を途絶えさせてしまった。家族や友人と連絡を取ることすら、辛くなってしまって、メールやLINEといったものを全て拒絶していたのだ。その数ヶ月の間で、母親はようやく何があったのかと思ったのか、留守番電話などがあり、悪いとは思ったが、連絡する気力もなく、それすら無視をした。そしたら、最終通告だなんだと言われ、このまま行けば仕送り全て止めるとまで言い出し、姉が介入してきてなんか連絡しないとまずいとのことで、姉を通して経緯と、この際だからいうけど実家が嫌いだし、最低限の連絡されたら既読だけするといった。
 その一件後も、別に僕の方からは帰省は年2回はしていた。親から特に問われることもなかった。今でも聞かれることはない。帰省するたびに、小さいいとこが2人とよくタイミングよく帰省していたのだが、そのいとこたちを見るとすごく辛くなる。いとこは歳がすごく離れているけど、遊ぶのは楽しいし、無邪気な様子は癒される。だが、伯父さん伯母さん夫婦といとこや、いとこと触れ合う実家の面々を見ると、僕には愛情なんてなかったんだなと思った。同じきょうだいでも、姉にはすごい心配もするし、遊びにもいっていた。僕には拒絶したのもあるけど、拒絶する前にも何もなかった。
 離婚の真相だって、姉は知ってるような口ぶりをしているが、僕は一切知らない。未だに僕だけ家族から外されているのだ。家族なんていないのだ。

 そんな家族が好きなわけはない。だから、手紙を書いて全ての気持ちを伝えた。実家での生活が嫌いだから、数年は帰らない、と。
 ようやく僕はいい子の仮面すら脱げたのだ。これでいい。そう思い込んでいる。
 ここ数年からはっきりと意識し始めた家族が嫌いと鬱屈した気持ちが、わからないという人が多いと思う。それはそれでいいと思う。僕はわかってもらいたくて書いたわけじゃなく、どうしようもない気持ちの掃き溜めを作りたかっただけ。読み手なんて考えていないのだ。

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