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田植えの光景から日本人の文化に思いを馳せる

この地域では、4月末から田んぼに水が入り始め、5月のゴールデンウィークに入ると代掻きされた水鏡のようになった田んぼに、ポツポツと行儀良くまだ小さな稲が整列し始めました。

年々、米の消費量が減っています。
人口が減っていますし、食の多様化によって、お米のご飯以外の選択肢もたくさんあります。
それでも「ご飯といえばお米」と無意識的に発想する方も少なくないのではと思います。

その地域、その国の文化と言うものは、やはり生活の中から、長い年月をかけて育まれてきたものだと実感します。

こうして、稲作を行っている地域では、取水・水路・土・除草・農薬の塗布など、一つの田が行うことが、周囲の田に影響を及ぼします。

「我田引水」と言うよく知られた四文字熟語がありますね。
読んで字の如し。
自分の田に水を引く、と言うことですが、自分の都合の良いように、周りのことを考えず勝手なことをする、と言う意味です。

自分勝手なことをする、と言っても、レベル感は様々ですが、田んぼと言うのは、主食を育てる場所です。
昔は年貢を納めなければならないなど、現代よりもさらに生活に直結した、生死に関わる重要な場所だったと言うことが、容易に想像できるかと思います。

田舎は、外からの人間を受け入れない、とよく耳にします。
私も転勤族でしたので、「田舎」とされる場所で、不快に感じる体験を持っています。
その当時は中学生くらいの、まだ世間をよく知らない人間でしたので、どうして田舎の人が閉鎖的なのか、と言うのは考慮する余裕はありませんでした。

今となっては、どうして閉鎖的な文化になるのか、と言う要員が様々なケースバイケースで想定できるようになり、やはりその一つは、田んぼや畑で行う行為が周囲に影響する、と言うことだと考えます。

田舎で生活するということは、人間の力の及ばない自然と隣り合わせにあると言うことでもあるので、協力し合う必要もあります。
そういった点で、よく知らない人と言うのは、お互いに何を考えているのかもわからず、怖い存在ですね。

さて、お米が主食の日本食は2013年ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
ユネスコ無形文化遺産は、グローバリゼーションや時代の変化によって消滅してしまいかねない形を有しない文化を保護するための事業ですが、普段食べているお米のご飯にお味噌汁、といった何気ない日本食が登録されたと言うのは、少し驚いてしまいます。

ですが、日本食を考えてみると、その地域や季節によって、様々な形があり、多種多様で繊細、かつ栄養バランスも良いなど、先人の知恵を結集した誇るべき文化であることに気付きます。

なお、江戸時代から江戸を中心に白米食が普及していきましたが、口当たりの良さ、美味しさとは裏腹に、栄養のバランスが崩れてしまい、ビタミンB1欠乏症「脚気」が国民病として流行してしまいます。

美味しければ身体に良い、に直結するわけではないのは、なかなか悩ましいですね。

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