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短編小説

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短編集です。
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#短編小説

この街について

この街について

人生は上手く出来ている。悪いことが起きればその後に少し良いことが起きるし、そのあとは悪いこと、良いこと、堂々巡りである。
だから今日のこの不運も次に起こる幸運の為の試練なのだと考えれば少し心が救われるのだ。

ルガン=ジャネス=アンデルセン (1912〜1979)

僕の住んでいる所(といっても僕はその場所に僕の能力によって住まうことが出来ているという訳でなく、只家族に寄生して存在することが出てき

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朧気な男

朧気な男

男は不毛な思案に明け暮れていた。先程から、もう何分、何時間、何年と、熟慮を尽くしている。男の前には背の低い安物の長机があり、その机の上に深緑の布生地で覆われた手帳と先の丸い6Bの鉛筆が、丁度手帳と机の段差にもたれ掛かるように転がっている。どうやら今夜も又、全く無意義な、無稽の思惟に没頭しているようである。この男はよく、哲学的思考実験などと、称して、『恐怖と好意の差異とは?』やら、『執拗な憎悪は嫌悪

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