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AR/VRのUXはSGE時代のコンテンツの夢を見るか?(前編)

ページからデータ、そして体験へ

SEOさん、少なくとも9回目のご逝去

WordPressのSEO系プラグイン、YoastSEOでもおなじみのYoast SEO for everyoneでGoogleのCore Updateの歴史=SEOとの戦いの歴史がまとまっていました。
左列の項目が大きなアップデートで、これが行われた度にSEO終了のお知らせが飛び回ったものです。

Yoast SEO for everyoneより

ところが、今回のアップデートは本当にSEO終了になりそうです。
長らく親しんできた〝紙〟の概念で、〝ページ〟を構成する考え方は終わりを迎えそうな空気感がバリバリです。
またテクニックSEOを基本に考えていたカスタマージャニーはそう遠くない未来に崩壊する可能性が濃厚になってきました。
オワルオワル詐欺はついに詐欺じゃなくなりそうです。

ユーザー(利用者)が幸せになる検索

SEO終了〜で一喜一憂しているのは主にSEO業者界隈。
ユーザーから見たら、何らかの問題解決のために検索をしているにも関わらず、サービス契約や物品購入へ誘導されるページが検索結果の上位を占められると、本来の目的を果たせないどころか、フラストレーションも貯まるという不幸が訪れてしまいます。

また現在のキーワードを区切って検索する方法は、向いている人には何ら問題なく使いこなせるのですが、向いていない人も確実に多く存在し、目的の情報にたどり着けないケース(アナリティクスでデータが取れないやーつ)も多々考えられます。(Google検索でサジェストが導入されたことがその証明でもある)

それを考えると今の流れはユーザーが幸せになれる方向に進んでいるのではないでしょうか?

Microsoft Edgeの新しい検索UXはGoogleに先駆けて提供されており、一度使うとその便利さは忘れられません。

Googleは後発となっていますが、Edgeと同様のUXの実装を進めています。

ページからデータへ

上記2つの検索体験を見ると、従来のような検索結果一蘭は出てきません。代わりにAI要約文と関連性の強いコンテンツが表示されています。

Googleの要約表示と関連コンテンツ
Microsoft Edgeの要約表示と関連コンテンツ

AI判断によってここに表示されるには…
いろいろ研究も進められているようですが、少なくとも『信頼のある情報を要約している』ようで、信頼度判断の土俵に上がるためには、基本的に『学術論文形式』で記事が書かれていることが重要。
さらに情報の裏付け参照リンク(今までは被リンクと言われていたもの)を入れたり、引用元をはっきりさせたりすることで判断スコアが上がっていくようです。
またSNSやTwitterなどの短文コミュニケーションでの拡散もスコア上昇の要因となっているようなので、今までのように代行で記事を書いてもらう形式では、関連コンテンツとして拾われない可能性がぐっと上がっています。

つまり記事そのものがリポジトリ(データ)としても扱われるようなコンテンツを意識する必要が出てきたというタイミングです。
結果的にプロ的な見識を持ったコンテンツが採用される確率が高くなるわけですので、内容が薄いコンテンツは新しい検索カスタマージャニーから除外されると考えるべきでしょう。

検索体験?
いやいやコンテンツ体験のほうが重要やし。

さてさて、ここまでSEO終了の話でしたがGoogle公式にもSEO終了らしき記事が掲載されています。内容としては生成AIによる検索体験。

SGEって言うらしい⁉

Search Generate Experience。生成AIによる検索体験。
新しい検索体験でハッピー的なやーつですが、カスタマージャニー的には中間段階に過ぎません。
「あの検索、凄かったぜっ」なんて会話しないでしょう。
だからSGEのExperienceは、コンテンツ側での体験のことを指していると理解すべしです。

生成AIであなたが幸せになれるコンテンツ体験をアテンドします的な理解が正しいのかと。

SGEでのカスタマージャニーをちょっとだけ整理

実際AI学習部分はブラックボックスなので、どのようなスコア処理がなされているかまったくわかりませんが、そもそも検索とか関係なく、役に立つであろうコンテンツや面白いコンテンツを用意することで、拡散しやすくなるし人が集まるようになります。

つまりコンテンツによって得た情報からの体験やコンテンツそのものからの体験を何らかの手段でシェアしてもらう行為そのものを設計しないとマーケティングが難しくなると考えても良さそうです。

観光による体験は強いと思うのだけど…肝心の観光事業者…

DXと言われる部分の幅が広いわけですが、最終的には民間企業ならば売上利益に直結する話なわけです。
観光事業者に限らずなのですが、DXで行き詰まっているところは、現状の業務に支障がないので進んでいないというだけです。
ところがサービス業界に目を向けた場合、主体となる顧客層は年代が変化していく中で購買目的が大きく変わってきます。
イオンなどの大規模小売を主体としている場合、幅広い年齢層を対象としているので影響は見えにくいはずですが、あらゆる手段を使ってユーザーの行動を分析し、店舗経営に活かしている姿勢は見習わなければいけません。
これは飲料メーカーをはじめとした大企業でも同様で、小さな変化を見逃さないよう、あらゆる手段でユーザーの行動分析をしています。
DXの最も重要な部分はこうした「変化」を「定量分析」して「経営に反映する」ことでしょう。

コンテンツとコラボレーションとDXと体験

アニメ作品とイオンネットスーパーをはじめ、数々の企業とのコラボレーションアニメ「とんでもスキルで異世界放浪メシ」▼

現在数々の「コラボレーション」企画が生まれているわけですが、中小企業になれば大手のように手段を問わずユーザーの行動分析をすること自体が難しく、コラボレーションと言っても何をどうすればよいかわからないというのが現状でしょう。
しかしただやり方を探るだけではなく、小さなことからやってみることが重要で、やってみることで始めてDX化する部分が見えてきます。

さて、例に上げたイオンネットスーパーと数々の企業がコラボレーションした「とんでもスキルで…(略」ですが、今まででは考えられなかったことが起こっている異例のアニメ作品です。

エンドロールの「企業協力」部分にそれは現れています。

とんでもスキルで異世界放浪メシ12話エンドロールより

この表現は制作スポンサーというわけではなく、なんらかの作品権利を有するわけではないと考えられます。(製作委員会に入っていれば別ですが)
この場合作中で企業商品が出てくる事自体が宣伝だろうと考える人が多いと思われますが、上記記事を読んでもらうと分かる通り、実際に同じ材料を使って調理したこと(体験)をシェアすることで、自社コンテンツの優位性を高めていると考えられます。宣伝以上の効果を狙っていると思われます。

Twitterには投稿ごとのアナリティクスが装備されていますし、セールスフォースなどのSFAツール(営業支援サービス)と連携させることで、シェアの様子や自社内の売上データと組み合わせた影響度などを分析することができます。DX化してある強みです。
その結果を踏まえた次の企画など、分析結果を活かすベースデータとして集積していき、データさえ揃ってくればAIによって次の企画案生成を自動化させるといった動きが可能になってきます。

またSFAツールを使わなくとも、Google Analyticsという無料ツールも存在するので、工夫次第では低予算でもやれることはあります。

アニメ作品に限らず、今は小さなコラボレーションができそうなことはTwitterなどにあふれています。キャッチアップできるかどうかにかかるわけですが、本当に困っているのなら、こうしたところから情報をキャッチアップできる体制を作り上げるのもDXへの第一歩ですし、SGE時代に生き残れる一つの考え方だといえるでしょう。

業務連絡:AR/VRまでつなぎたかったけど、一足飛びすぎるので記事を分けます😅
が、検索のカスタマージャニーが大きく変わることだけ分かればならばこの記事だけで十分なのではないかと…。

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