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うつ病の治療の流れ

本日はうつ病の治療の流れということでお話しします。

スケジュールなどをお伝えします。

これは2022年1月25日、2年半ぐらい前に一回やったテーマなんですけど、2年半ぶりにリメイクしてみようかなと思います。


◼︎うつ病とその治療

うつ病とはどういう病気かというと疲労なんです。

ここに書いてますけれども、問題があって、人生の問題が色々あるわけです。

その問題が解決せず悩んでいくと、だんだん心身の疲労がたまっていく。

心身の疲労というのは脳の炎症反応ですから、その炎症反応が続いていくと、ある日うつ症状、うつ病みたいになってしまうということです。

昔よりもそういう炎症モデルというのがうつ病の理解。

もっと昔は内因性うつ病といって、よくわからないけどうつ、気分の落ち込みを不定期に繰り返すのがうつ病だと考えられていたんですけど、最近は、脳の炎症が起きてきて、そこの扁桃体の過活動など、そこのネットワークがうまくいかなくなってしまった人みたいなイメージです。

だからうつになったら、なかなか脳が回復しないから時間がかかるし、回復を促すために抗うつ薬はあった方がいいし、一度弱くなったそのネットワークは、また再び悪化しやすいというか、そういうイメージに変わってきたなという風に思います。

うつ病と適応障害も、原因があるのが適応障害で、原因がないのはうつ病だみたいな言い方をしてましたけど、何となくそこの境界も曖昧になってきたし、うつ病と不安障害、うつ病と気分変調症の境目というのがだんだん昔よりも曖昧になってきたなというのが、僕の中の精神医学的な歴史観なんですけど、そんな感じです。

初期というのはずーっと落ち込んでて、グチャグチャグジャグジャしている、と。

うつ病と言うと元気がない人、落ち込んでいて泣きたい人という感じがしますけど、最初の頃はむしろイライラしていて攻撃的だったり過活動たりすることも珍しくないんです。

何とか踏ん張ってる。

イライラしながらもなんとか踏ん張って奮い立たせてる。

エネルギーが落ちてるのをカフェイン、エナジードリンクを飲んで無理やり動かしてるようなイメージです。

昔うつがあった人、子どもの時のうつというものも最近、2年半前とは違って僕は結構注目するようになりました。

子どもの時にうつをやってる、脳にダメージを受けてた人たちというのは、やはりうつ病になりやすかったりするので、そこも念入りに聞くように変わりました、この2年半で。

だんだん落ちてきている、と。

最後は踏ん張って走るんです。

ここで診断された後、病院へ行くと何か元気になるんです。

本当は調子悪いけど病院行ったら大丈夫でした、もう薬はいらないかも、やはり休まなくても大丈夫です、と言うんですけど、実際休むとガクンと来ます。

今までは初めて走るフルマラソンみたいで、もう気力で走ってるみたいな。

だけど一回休み始める、ゴールになるとガクッと来て、全然走れなくなってる。

休んだことで悪くなったじゃないですかと家族や本人から言われたりするんですけど、これも2年半前と違って、もう言われなくなってきたんですけど、実を言うと、でも下がりますよ、と。

これもある部分一般的になって、休み始めたら却って調子悪くなったのだけど、そこからが休息ですよというのも、まあYouTubeのおかげで広まったのかアレですけど、言われなくなりましたが、まあ落ちますよ、と。

最初はもう記憶がないぐらいな感じですね、調子悪いよ、と言って。

そういう急性期みたいなのが3~6ヶ月ぐらい続きます。だんだん回復期に移行する、と。

最初はもう寝ててもいいぐらいです。

寝てていいんです。

最初は寝られないんだけれども、回復期に入ると本当に1日15時間とか寝てるのは普通にあります。

脳の炎症なのでうつ病も、脳のネットワークの異常なので、やはり寝て治すんです。

寝ながら無意識に回復したり、崩れたネットワークや固着化したネットワークを脳がグニャグニャ、グニャグニャ変えて、パソコンのアップデートみたいな感じで、再起動、アップデート、再起動、アップデートしてるような感じで寝ながらうまくやってるような感じです。

それで治ってきて良くなると言う感じです。再発予防期は、じゃあ良くなった後に薬をすぐやめていいんですかというと、そうではなくて、今度は再発を予防するための治療期間に移るんです。

どれくらい抗うつ薬を飲むんですかというと、初発だったり、若い人だったら4~9ヶ月ぐらいは飲もうよ、再発や中高年発症だったら1~3年、難治性の人だったらそれくらい飲んだ方がいいよ、とガイドラインには書いてありました。

5年以内の再発率40%、双極性障害に移行するのは5~10%と当時も言っていました。

そういうガイドラインでした。

なるほどなと思いつつ。

じゃあ2年半経って今の自分はどうしてるかというと、この基準は守りつつ、通院が面倒くさいんだったら抗うつ薬は抗精神病薬と違って副作用はあまりないので、肝機能障害もそんなに気にすることもないので、急性期ほど、急性期に使った時ほどは薬いらないかもしれないけれども、まあ飲んでいてくださいよ、と言います。

睡眠薬や抗不安薬を使った増強療法を急性期でしてることも多いんですけど、そうじゃなくて、抗うつ薬単剤だったら1~2ヶ月とか3ヶ月分ぐらいまとめて出すことも珍しくないです。

2~3年経ってやめようかなと思った頃に、またちょっと軽いうつになってしまうということがよくあって、しばらくまだ飲んでおきましょうか、言うことが多いかなという感じです。

️◼︎カウンセリングは学習による成長

カウンセリングをやらないといけないんじゃないですかとよく言われるんですけど、カウンセリングとは何かということです。

カウンセリングというのはうつの原因となったストレス、心身の疲労、透明になった原因、この問題をどうやって解決していくかということなんです。

薬物治療というのは薬の力で脳を変えていき、不安や困難を乗り越える治療。

カウンセリングとは何かというと、言語的介入によって頭の中を整理したり、自分が成長していく、学習されていくことによって不安や困難を乗り越えていく方法。

福祉とは何か、福祉導入とは何かというと、周りの人のサポートをもって自分の不安や困難を乗り越える方法。なので、カウンセリングとは何かというと、成長なんです。

学習による成長です。

じゃあ、どうやって学習による成長を促すのかというと、この問題解決を一緒にしながら、問題がいっぱいあるんですよ、散らかった部屋みたいなもの、散らかった部屋を一人だとやはり腰が重いじゃないですか。

だから一緒にやってもらう。

片づけ方を一緒に教わる。

問題を、部屋を片付けながら、同時に片付け方を学ぶというか、場合によっては部屋の配置を一緒に変えてみる、そういうものがカウンセリングというか精神療法の意味です。

まずは問題、どんな問題があるのかを整理していく。

解決できないと思っているかもしれないけど、解決できない問題は基本的にないので、問題を整理していく、可視化していく。

いっぱいあるかもしれないけれども、それを一個一個埋めていく。

ドラクエみたいに一個ずつやる。ドラクエも魔王を倒すまでにスライム何匹、ザコキャラを何匹、何時間合計かかりますと言われるとうんざりするじゃないですか。

僕らは整理して可視化すると大体こんなものだなとわかるけど、全部を言うと嫌な気持ちになると思うので言わないんですけど、それをやっていくということです。

ドラクエだったら40時間、100時間とかあるように、精神療法もそれくらいかかるということです。

ゲーム1本分くらいは余裕でかかります。解決していく。

問題というのは色々な解決もありますけど、問題を解決していく中で、トロッコ問題みたいなこともあるんです。

こっちに行けばあっちが立たずみたいな、どちらにもメリット・デメリットがあって、全くデメリットがない、というか、全くの正解がない問題というのもあるわけです。

こっちへ行けば若者を1人殺してしまう。

こっちに行けば5人の老人を殺してしまう。

あなたはブレーキの付いていないトロッコに乗ってます。

どちらを犠牲にしますか?と。

人生の中ではそういう決断がありますね。

そういうものまで、そういう問題、トロッコ問題なんだ、とわかるところまで問題を整理していく、そして解決していくということが大事。

解決を選ぶ。

もうあとは運ですよ、ここまでいったら運をやるということです。

よく患者さんはトロッコ問題に到達してもなお全員が助かる手段があるんじゃないかと思って探すんですけど、皆さんがこれだけ悩んでいても見つからないのであればないです、おそらく。

解決策がない問題を悩んでいることも多いので、それはないから諦め、どちらかを犠牲にするしかないので、そういうことをやっていくということです。

でもどうしてもできない、問題整理の中で認知の歪み、極端な思考をしたり、白黒思考だったり、完璧主義だったり、世界とはこういうものであるというものに歪みがあるのであれば、その歪みを取っていくというのもカウンセリングのやり方です。

それは第三者でしかわからないんです。

簡単に、言われたら、ああ、やはりそうだったな、僕だったら、ああ、益田アホだな、口が悪いな、コミュ障だな、ラーメン好きだなと言われたら、ああそうなんだ、と思うけれども、でもなかなか受け入れがたいものもあるんです。

喋りが下手だと言われたら、う~ん、こんなに頑張ってるのに、YouTubeこんなに頑張ってるのにと思うんだけど、でもまあ受け入れるということです。

受け入れる。

でもなかなか大変ですよ。

でも受け入れる。

そういう歪みを第三者から指摘されたり、色々勉強しながら理解したり、補助線を引いてもらって理解したり、患者会や家族会に出ていく中で、テキストデータや頭ではなくて五感を使った他のデータを入力することで理解することもあるので、そういうことをしながら認知の歪みを取っていく。

あとは心理的抵抗です。

山登りをしよう、山登りが正解なんだ、と。

これはもう登るしかないよ、こういう登り方したら楽だよね。

登山靴を履いて、寒くなったら服が着られるように薄着のものを用意して、リュックも持ちました、水も用意しました、じゃあ登りましょう、と言っても痛いし苦しいわけです。

精神科の治療はどこまで準備しても最終的には苦しい。

それを受け入れる過程が苦しいんですよね。

山を登って下りるのと一緒。

それは雪山で遭難した人たちをレスキューするのと似ていて、治療者が行って、今あなたは何持ってるの?怪我したの?どこが病気なの?装備品はどれぐらいあるの?食料はどれぐらい残ってるの?水はどれぐらいあるの?と確認して、じゃあこの計画でいきましょう、怪我をしているけれども一緒に歩いて下山しましょうね、と言ってるのと一緒で、もうやるしかないんだよね。

その時は痛いんですよ。

痛くて苦しいんだけれども、やる。

それは何か変じゃないか、と。

益田は嘘つきなんじゃないか、益田は痛みが必要なんだと言ったけど、こんなに痛いんだったらこの治療間違ってるんじゃないか、やっぱこいつヤブだったんじゃないか、YouTubeを真面目にやってるだけで、患者に対しては別に全然やる気ないんじゃないか、と思うわけですよ。

この作戦が間違ってるんじゃないか。

でもやはり必要なんだよね、この慣れというか痛みを伴う慣れみたいな作業は、失敗や別れもどこか必要だったりするように。

これはきついので、だから慣れていくためには暴露療法といって、簡単なものから慣れていくというやり方、慣れるためのまた別のテクニックもあるんですけど、そういうことをやったりします。

こういうのがカウンセリングなんですよ。

もちろんそれを一人でワークブック使いながらやれる人もいれば、心理的サポートが必要な人もいるし、医者の5分診療+αみたいな心理的サポートで十分な人もいれば、50分のカウンセリングが必要な人もいるし、もうちょっと福祉みたいな、就労移行みたいな形で1日単位のものを何ヶ月もかけてかけたようなサポートが必要な人もいるわけです。

病気の重症度、本人の能力によって全然違うんですけど、そういうのがカウンセリングです。

ということは、これはカウンセリングなのである程度回復しなければできないです。

回復期の後半ぐらいからやっていくというイメージです。

◼︎治療の段階

今自分がどれぐらいの段階なのかということを言うと、1、2、3、4と置いてるんですけど、まず一つの目安は、坐禅の5分なんです、僕が推奨してるのは。

こうやって目を閉じて深呼吸をしていく、と。

こういうマインドフルネスを5分できない、焦ってできないのだったら、今あなたは重症なので、まず休んでもらう。

考えたり内省を深めるタイミングじゃないよ、ということです。

やりながら30分もたない場合は学びと向き合いが大事で、精神医学的なものを学んだり、歴史を学んだり、人間とはこういうものである、人文的なものを学んだり、美徳を学んだり、仏教的なものを学んだり、向き合うことです。

自分と向き合う。

生い立ちから考えたり、自分はどうだったのか、自分は将来どうしたいのか、生まれてきてよかったと思える瞬間はどういうことなのかを向き合うというために時間を使います。

そういうことをしていって、30分以上できる頃には、もう自分のやりたいこと、今やるべきことが見えてくるんです。

その目標に対して、目的をもうちょっと明確化して、計画を立てて行動して、その行動に合わせて結果が出てくるので、その結果に合わせて計画を練り直したり、目標を修正したりする。

このPDCAサイクルを回すということになるんですけど、ビジネス用語だよね、になるんですけど、そういう感じです。

4番になってくると、1から3を繰り返すということなんですけど、こういう流れです。

1番、2番、3番という感じです。

もちろん3番、再発予防期の中でも1番、2番に戻ったりすることはあるんですけど、そういう感じで続いていくということです。

カウンセリングをやらなければいけないんじゃないかと焦る人がいますけど、回復期の後半なので、こういうのを目安にしてもらったらいいなと思います。あとは、治療の中でお金の心配する人が多いんです。

休職している時には社会保険に入っていれば傷病手当金というのが最大1年半もらえます。

給料の2/3ぐらいもらえるので、それを工夫するのがいいかなと思います。

半年ぐらい経つと精神障害者手帳というのが取れます。

そうすると税金の免除が一部あったり、基礎控除の額が増えたり、自立支援はその前から取れるんですけど、自立支援的な要素も含むので、医療費が1/3になるんです。

1割負担になるので、これもいいな、と。

初診から1年半経つと、それでも病気が良くなってなかったら障害年金というのが取れますので、年金を検討するということになります。

ただ年金は結構ややこしくて、年金というのがあるよということが世間に知れ渡ったからかどうかわからないですが、最近厳しいです。

月収20万を超えてると通りにくかったり、障害者枠じゃなかったら通りにくかったりするので、色々やりながら考える。

あと社労士さんを使って書く人が増えてますので最近は、そうすると結構いい診断書や細かく困りごとを載せてる診断書、申請書が出来上がるので、そういうことで、自力でやってる人が負けてしまったりすることはあるのかなとは思いますけど、でもまあそこは主治医の人とよく相談しながら取ってもらえばいい、申請するのがいいかなと思います。

年金が取れなかったら生活保護を取る、そういうのもあったりします。

そんな感じですかね。これを言うと、そんな簡単に生活保護を取れないだろうとよく言われるんですけど、国はそういう風にしろと言ってるんです。

医療は国が定めたルールに則って僕らはやってるので、こういう患者さんがいた時、どういう風にしたらいいですかと言うと、もう答えを用意してるんです。

こういう時はこういう風に医者は答えてくださいと言われてるのがあるので、こういうことです。

傷病手当金、手帳、年金、それでも生活しにくい方は生活保護勧めるように言ってくださいと言われてます。

水際作戦とか色々ありますけど、それはまた別の社会問題なので、それはまた別として、解決しなければいけないということです。

こういうのが治療の流れということです。

2年半前よりはちょっとアップデートできているかなという気はしますけど、皆さんはどう思ったのか、余裕がある方は過去の動画と見比べて成長したなと思うのか、変わらないなと思うのか、昔の方が良かったなと思うのか、言ってもらえたらなと思います。

️◼︎本日の宿題

本日の宿題は、うつ病の治療経験など色々お話ください。

昔よりもはるかにうつ病という病気が一般的になってきてるので、またちょっと捉え方が変わるかなとは思いますけど、昔のコメントを読んだりすると新鮮じゃないかなと思います。

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