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序章【かぐや姫の胸の内】inマレーシア フラワーアレンジメント教室の先にあるもの

旅のはじまりの国としてクアラルンプールを選んだ理由は、ひとつに行ったことがなかったことと、もうひとつにある程度の都会だと踏んでいたことが挙げられる。大前提として、アジアがよかった。第1に時差がない。第2に、本気を出せば翌日朝、いやその日中にだって、数万円で帰国ができる。

私はしなければいけない仕事を持っていたし、何より家庭も持っていた。いきなり知らない国に出て、「佐野さんの行方が分かりません」では、きっとみんなを困らせるし、何より私が不安だった。

そんな気持ちで土を踏んだクアラルンプールは、予想を超えて都会だった。歩けど歩けどショッピングモール、高層ビルに、モノレール。「クアラルンプールらしさ」をツインタワーにしか感じられずに、街を歩いた3日間。

アトリエを訪れたのは、たしかそんな日々を過ごした次の、4日目の朝だった。観光客がまだそこまで多く訪れないバンサー駅から、初めてタクシーに乗ってたどり着いたひとつの家。

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